Monday, September 12
「ワタリウム美術館」への準備運動として草間彌生『無限の網』(作品社)を再読。夕食、白米、葱の味噌汁、鯵のひらき、大根おろし、冷や奴、ビール。夜の読書、『みすず』(みすず書房)9月号と港千尋『パリを歩く』(NTT出版)をどちらも途中まで。
Tuesday, September 13
古きものを慈しみながらも懐古主義に陥ることのない現在形のパリ案内、港千尋『パリを歩く』(NTT出版)のつづき。ページの途中にフロイトの「自我とエス」という論文にでてくる自我やらエスやらの説明のための図に似たイラストがあったので、精神分析学の話でもするのかと思ったら港千尋による手書きのパリの地図だった。
夕食、グリーンカレー、ビール。
Wednesday, September 14
サルバドール・プラセンシア『紙の民』(藤井光訳、白水社)。まったくもって変なものを読んでしまっている(よい意味で)。夕食、味噌ラーメン、具材はほうれん草と葱とコーンと鎌倉ハム。『冒険者たち』(ロベール・アンリコ/監督、1967年、フランス)を鑑賞。
Thursday, September 15
谷崎潤一郎が1960年のノーベル文学賞最終候補であったというニュースをネットで読んでいたところ、アカデミーの選考委員は「ほかの欧米の候補と比べると少し表現力が落ちるようだ」と結論づけたらしいのだが、いまここで1960年のノーベル文学賞受賞者を確認してみたならばサン=ジョン・ペルスで、谷崎の文学がサン=ジョン・ペルスの作品と比較して「少し表現力が落ちる」と判断したアカデミーの選考委員たちの読解基準を問うのはさておくとして、このニュースに接して思い出したのは、のちに『近代日本の批評』として単行本にまとめられた『季刊思潮』誌上でおこなわれた浅田彰、柄谷行人、蓮實重彦、三浦雅士による座談会の模様で、
柄谷 谷崎がもうちょっと長生きしていたら、彼がノーベル賞をもらったでしょう。そうすると、三島由紀夫も死なずにすんだ(笑)。しかし、谷崎がノーベル賞をもらっていたら、変なことになったでしょうね。彼は絶対変なことを言うでしょう。
三浦 「美しい日本の私」にはならない。
浅田 「素晴らしい日本のトイレ」とか、そういう講演をするね。
という、突如浅田彰がおもしろいことを言う人になっているくだり。
夕食、イエローカレー。体調が芳しくないので本日はノンアルコール。
Friday, September 16
サルバドール・プラセンシア『紙の民』(藤井光/訳、白水社)を読んでいる。夕食、白米、キャベツの味噌汁、鯖の味噌焼き、冷奴、キムチ、ビール。
Saturday, September 17
外苑前駅下車。「ワタリウム美術館」で「草間彌生展 Kusama’s Body Festival in 60’s」。あちらこちらに月曜日に読んだ自伝『無限の網』からの言葉が引用されているので意図せずして再々読の様相。ところで「マンハッタン自殺未遂常習犯の歌」を歌いあげる草間彌生が日本語の歌詞であるにもかかわらず何を言っているのかさっぱりわからなくて、映像に表示される英語字幕によって成程そういう歌詞であったかと理解に至るという妙。
青山通りを歩いて「BOOK246」へ。昼食は「CAFE246」で。表参道に移動して、「zucca」と「COW BOOKS」に寄り道。
本日、道中に読んでいたのはしまおまほの『ガールフレンド』(P-Vine Books)で、憧れの雑誌『Olive』から取材を受けたときにきっと素敵なオリーブお姉さんがインタビューに来るのだろうと意気込んで待ち構えていたら豪快な笑い声のおじさんが登場したというエピソードがあって、
Sさんを見た時、きっとオリーブお姉さんたちは忙しくて他の編集部から、例えば「鳩よ!」とか「ダカーポ」とかから、臨時で取材に来たのだろうと思っていたから、名刺を出されて少しショックだった。Sさんは正真正銘のオリーブ編集部員なのだ。名刺の彼の名前の横にはちゃんと、あの見慣れた「Olive」のロゴがあるのだから。
というくだりをおもしろがっていたのだけれど、「COW BOOKS」にはその『Olive』がまとまって面出しされていた。しかし情報筋によればいま並んでいるものは『Olive』全盛期のものではないらしい。いいものはもう売れてしまったのかもしれない。「COW BOOKS」のしおりを購入。
「ラットホール・ギャラリー」で「荒木経惟/彼岸」展。「sacai」の直営店をちらっとのぞいた後、銀座へ移動し、ギャラリー遊覧。「ビル・ヴィオラ Transformations」(ギャラリー小柳)、「SCANDAL 2」(BLD Gallery)、「工藤青石 形と色と構造の感情」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)、「辰野登恵子 抽象 明日への問いかけ」(資生堂ギャラリー)、「橋口譲二 Hof ベルリンの記憶」(銀座ニコンサロン)、「ダグラス・カークランド ココ・シャネル 1962」(シャネル・ネクサス・ホール)。記念品引換券をもらっていた「スターバックス」の銀座マロニエ通り店でミニトートバックを受け取る。
夕食、冷たい蕎麦、ビール。
Sunday, September 18
恵比寿で昼食。「モンスーンカフェ」にて。
東京都写真美術館で「鬼海弘雄写真展 東京ポートレイト」と「江成常夫写真展 昭和史のかたち」。先週に鬼海弘雄と堀江敏幸のトークショーがあったことを知る。またでました堀江敏幸。「ナディフ」に移動し、「高松次郎 言葉ともの―純化とトートロジー」「上田義彦+川瀬敏郎 鎮まる」「原久路 Picture, Photography and Beyond」。
夜、神宮外苑で「森のビアガーデン」。