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Monday, February 26

先週の京都旅で宿泊したホテル「MOGANA」の朝食が素晴らしく、充実した朝食は生活に彩りを添えることを再認識したところで、あらためて食事の支度に精をだす朝まだき。朝食、半熟卵、玉葱とベーコンのグリル、サニーレタスと紫玉葱とトマトのサラダ、人参のマリネ、バゲットとフィゲット、クリームチーズとブルーベリージャム、ヨーグルト、珈琲。

朝は快晴。昼食、お弁当。帰宅時、冷たい風が強く吹く。夕食、卵かけご飯、茄子と白菜と絹ごし豆腐の味噌汁、「一保堂茶舗」の玄米茶。

読書。京都旅の地続きとなるような選書として、三島由紀夫『金閣寺』(新潮文庫)を再訪する。「龍安寺」の石庭を一度は見ておきたいと思って旅程に組み込んだ際に、併せて徒歩で20分程かければ辿り着く「金閣寺」も見学しておこうと思ったのは、この機会を逃すと中学校の修学旅行で訪れて以来の見物となる建造物をもう二度と見ることはないかもしれない気がしたからで、三島由紀夫の小説『金閣寺』もまたこのタイミングを逃すと再読することは生涯ないかもしれないと思って本棚から抜き取る。

夜、筑摩書房のPR誌『ちくま』3月号と「郷土食ステイケーション」特集の『メトロミニッツ ローカリズム』3月号(スターツ出版)に目をとおす。

Tuesday, February 27

朝食、半熟卵、玉葱とベーコンのグリル、サニーレタスと紫玉葱とトマトのサラダ、人参のマリネ、バゲットとフィゲット、クリームチーズとブルーベリージャム、ヨーグルト、珈琲。賞味期限の迫る「満月」の阿闍梨餅を朝食にひとつ。昼食、お弁当。夕食、水餃子と貝割れ菜と柚子ぽん酢、茄子と小松菜の味噌汁、冷奴と生姜、「柳櫻園茶舗」の焙じ茶、「特別純米酒 酔鯨」。

終日強風。三島由紀夫『金閣寺』(新潮文庫)を最後まで。京都の街の地理がようやくわかるようになってきた。「金閣寺」を見学したついでの連想で三島由紀夫の『金閣寺』を再読したが、「金閣寺」が登場するフィクションで想起するのは三島由紀夫の小説よりもW・G・ゼーバルト『移民たち 四つの長い物語』(鈴木仁子/訳、白水社)のこと。

Wednesday, February 28

「古楽の楽しみ」(NHKFM)を聴いていたらバッハの「G線上のアリア」について解説していて、「G線上のアリア」はドイツのバイオリン奏者であるウィルヘルミが編曲したものであり、原曲であるバッハの「管弦楽組曲」ではバイオリンはG線を使わないので、混同しないように注意が必要だと指摘している。クラシック音楽ファンであれば旧聞に属するであろう話を今更知る。朝食、半熟卵、豚肉のソテーと粒マスタード、玉葱のグリル、サニーレタスと紫玉葱とトマトのサラダ、人参のマリネ、バゲットとフィゲット、クリームチーズとブルーベリージャム、ヨーグルト、珈琲。昼食、お弁当。夕食、チキンカツ、ブロッコリー、ミニトマト、人参のマリネ。ジョージアワイン「NIKA Rkatsiteli Tarieluna」を飲む。

郵便受けに「TOMORROWLAND」のカタログが届く。読書。高階秀爾『エラスムス 闘う人文主義者』(筑摩書房)を読む。新刊として上梓されたので90歳を超えて単著を書き下ろしたのかと思ったら、1970年代前半に雑誌に連載していた原稿の単行本化。

Thursday, February 29

朝食、半熟卵、玉葱とベーコンのグリル、サニーレタスと紫玉葱とトマトのサラダ、人参のマリネ、バゲットとフィゲット、クリームチーズとブルーベリージャム、ヨーグルト、珈琲。昼食、お弁当。夕食、白米、絹ごし豆腐と若布の味噌汁、豚肉と白菜の炒め物、しらすと胡瓜の塩揉み。「エチゴビール」の「のんびりふんわり白ビール」を飲む。

読書。高階秀爾『エラスムス 闘う人文主義者』(筑摩書房)を最後まで。京都を旅するごとに訪れるワイン店「仔鹿」の店主が書いた本、室原卓弥『美味しさの傾き ワイン屋がオーストリアを訪ねた記録』を読む。日本のワイン市場に漂う「パリピ感」や「上昇志向」にずっと違和感を拭えずにいたので、とても好感をおぼえる「仔鹿」の佇まい。

Friday, March 1

「古楽の楽しみ」(NHKFM)で毎月2回放送される「リクエスト特集」では、素っ頓狂なラジオネームでのお便りがしばしば登場する。本日現れたのはラジオネーム「古楽の宇都宮餃子」さん。

朝食、半熟卵、玉葱とベーコンのグリル、サニーレタスと紫玉葱とトマトのサラダ、人参のマリネ、バゲットとフィゲット、クリームチーズとブルーベリージャム、ヨーグルト、珈琲。昼食、お弁当。夕食、粗挽き胡椒の合鴨パストラミ、カレー風味のジャーマンポテト。「黄桜 LUCKY DOG」を飲む。

このたびの京都旅行での一番のイベントは「桂離宮」の見学である。2003年刊行の磯崎新『建築における「日本的なもの」』(新潮社)のつぎのくだりを読んで興味をもって以来、実際の「桂離宮」を確認するまでに20年以上かかってしまった。

写真家石元泰博は、1960年に、丹下健三との共著で『桂 日本建築における伝統と創造』をワルター・グロピウスの序文をつけて出版した。ほぼ四半世紀を経て、再度石元泰博によって撮影されたのが、『桂離宮 空間と形』である。いま、この両方を見較べると、これが同じ桂か、と見まがうほどの印象の差がある。
1960年版は、白と黒だけで構成される平面的なパターンへと、桂の庭も建物も、解体されつくしている。モノクロームによる表現の限界を熟知していた石元泰博が、その枠のなかに対象をひきこむのに、断片に解体することが適切であると考えたためであろう。だが、その作業を成立させるため、圧倒的に多くの部分が省略されている。それは、丹下健三が、その序で「……この本の写真が示している桂は、現実に存在している桂そのものではないだろう。むしろこの本は一人の建築家と一人の写真家の心象のなかに生きている桂の記録である」とことわっていることでも、この省略が意図的であったことを知ることができる。
その省略、あるいは排除のやりかたは、当時、丹下健三と石元泰博が共有していた美意識に基づいている。それを精査してみると、特定の範囲に限られている。たとえば、書院は外観に多くの枚数が充てられているが、むくりのついた桂ならではの優雅さをもつ屋根はほとんど省略されている。開口部の明り障子と高床の柱梁の線が生む、モンドリアン風のパターンの抽出に関心が集中している。屋根のような含意性の強い要素は、明らかに排除の対象となった。また、新御殿の上段の間の桂棚や付書院の櫛形窓、二の間床の木瓜形刳り抜き、月の字崩しの欄間といった、曲線の多用された、やはり含意性の強い要素や、笑意軒のゴブラン織り腰張りといったきらびやかな、後期の意匠と思われる部分もみあたらない。実は、ここで省略された部分は、数寄屋的空間としての桂の世評を高めるのに寄与しているものばかりなのだが、あえてこれを排除したところに、1950年代の中期までに確立されてきた、近代主義的デザインの独自の指向性があった。(pp.129-130)

Saturday, March 2

通院のため自由が丘駅で下車し病院へ。自由が丘界隈で朝から開店している数少ない店舗「ALPHA BETA COFFEE CLUB」にて、ワッフルのモーニングセットを食べる。「baguette rabbit」でパンを買って一旦自宅に戻り、珈琲と読書。『図書』3月号(岩波書店)を読む。

ふたたび外出。山手線に乗って新宿駅下車。「新宿センタービル」内の「カフェ・ハイチ」にてドライカレーと珈琲の昼食。新宿線に乗って九段下駅で下車。旧山口萬吉邸の「kudan house」で開催中のアートイベント「CURATION FAIR Tokyo 美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」を見学に行く。屋上に用意されたカフェスペースにて赤ワインを飲む。神保町まで歩いて「東京堂書店」を目指す。向かっている途中で「PASSAGE by ALL REVIEWS」の新店舗「PASSAGE SOLIDA」を見つけたので入り、多和田葉子『飛魂』(講談社文芸文庫)を買う。「東京堂書店」に赴くと併設のカフェが閉店していた。書棚を周遊した結果、予定外というか予想通りというか、荷物が重くなる量の本を買い込んでしまう。澤田直『フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路』(集英社)、『鳥たちのフランス文学』(岡部杏子・福田桃子/編、幻戯書房)、小林エリカ『彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!』(筑摩書房)、塩塚秀一郎『逸脱のフランス文学史 ウリポのプリズムから世界を見る』(書肆侃侃房)、デニス・ボック『オリンピア』(越前敏弥/訳、北烏山編集室)、今村純子『映画の詩学 触発するシモーヌ・ヴェイユ』(世界思想社)、臼杵陽『世界史の中のパレスチナ問題』(講談社現代新書)、エラスムス『痴愚神礼讃 ラテン語原典訳』(沓掛良彦/訳、中公文庫)、『ラジオ英会話』3月号(NHK出版)。

荷物となった本を担いで「ビヤホール ランチョン」に向かって早めの晩餐。カキフライ、ホワイトアスパラガス、麦酒。三田線と目黒線を乗り継いで田園調布駅まで。日用品を買う目的で「マツモトキヨシ」に向かう途中に「くまざわ書店」に立ち寄ってしまいさらに本を二冊買う。モーリーン・ウィテカー『シャーロック・ホームズとジェレミー・ブレット』(日暮雅通/監修、高尾菜つこ/訳、原書房)、江國香織『川のある街』(朝日新聞出版)。「Precce」で食材を調達してから帰途に就く。

Sunday, March 3

デヴィッド・ボードウェルの訃報を知る。洗濯。本日はCT検査のため朝食抜き。検査後、造影剤を注射したので水分をたくさん摂るように云われる。水分は何を飲んでも構わないがアルコールは駄目だとのこと。アルコールの有害性をあらためて思う。

昼食、茹で卵と人参のマリネを添えた「中村屋」のキーマカレー、「Bütz SANDWICH」の苺サンドイッチ、「奈良ホテル」で購入した紅茶ダージリン。珈琲と読書。京都の「誠光社」で購入した二冊を読む。金井久美子・金井美恵子『鼎談集 金井姉妹のマッド・ティーパーティーへようこそ』(中央公論新社)と『コーカサス日記』(金子泰子/文、金子敦/絵、Blood Tube Inc.)。「green bean to bar CHOCOLATE」のチョコレートを食べる。

夕食、ちらし寿司(いくら、人参と油揚げ、蓮根、スナップエンドウ、炒り卵、刻み海苔)、絹ごし豆腐と若布のお吸い物。「柳櫻園茶舗」の焙じ茶を飲む。