657

Wednesday, May 31

5月末日。『失われた時を求めて 5 ゲルマントのほう I』(プルースト、吉川一義/訳、岩波文庫)読了。

Saturday, June 3


明け方、ベッドの中で長い時間うとうとして、いつも起床時刻には自覚的でいるけれど、今朝はラジオもつけなかったし、起床時間がなんともはっきりしない。また少し頭が痛む。最近、しばしば頭痛に悩まされているのだけど、バファリンを飲むと一瞬で治るのでなんだかすぐにわすれてしまう。

降り続いていた雨がピークを過ぎて、だんだんと空が明るくなってきた。いつもの朝食をとり、『ちくま』2023年6月号(筑摩書房)を読む。昼、しぶそばのカレー(ゆで卵、ミニトマト、紫玉ねぎをトッピング)を食べながら『ベルリンのリュミエール』(ヴィム・ヴェンダース監督、1995年、ドイツ)を観る。とても面白くて、画面に釘付けになってしまった。映写機の一種であるビオスコープを発明し、ヨーロッパで初めて映画を商業的に上映したスクラダノフスキー兄弟を描いたドキュメンタリー。当時の再現フィルムは本物の古い映像かと思ってしまうくらい、本当に当時そのままといった感じの映像になっていた。シネマメンバーズの作品紹介によると「再現パートは1920年代のサイレント映画用カメラで撮影している」とのこと。

雨があがって晴れてきたので、スーパーに食材の買い出し。夜は、ごはん、茄子とかいわれの味噌汁、鶏の塩麹蒸し、鯵のなめろう、しらす、ビール。

Sunday, June 4



朝から青空。外出。木場駅で下車し、木場公園を抜けて東京都現代美術館へ。怒涛のディオール展が終わり、美術館にはゆったりした空気が流れていた。志賀理江子・竹内公太「さばかれえぬ私へ Tokyo Contemporary Art Award 2021-2023 受賞記念展」を観る。志賀理江子の作品は相変わらず凄みがあった。入ってすぐの、堤防をえんえんと歩きながらえんえんと語りづつける映像は、言ってしまえばそれだけのものなのに、吹きつける風を感じてこちらまで思わず眼を閉じてしまうのはなぜだろう。語り部の後ろを眼を閉じて歩き続ける人の、寒さで赤くなった鼻。

太平洋戦争において日本軍が用いた風船爆弾をテーマにした竹内公太の作品《盲目の爆弾、コウモリの方法》をじっくり鑑賞したが、過去の史実をモチーフにイメージやテキストを紡いでいく手法は小林エリカのインスタレーション作品に通じるところがあるように思う。こちらも大変よかった。

美術館2階の、二階のサンドイッチで昼食。サンドイッチ2つと珈琲。清澄白河グルメはいろいろあるけれど、ここのサンドイッチが本当に美味しくこのお店はここにしかないので、この美術館に来ると結局ここで食べたい! という気持ちになる。家のそばにできたら毎日買いに行ってしまうな。それにしても、Soup Stock Tokyo、giraffe、PASS THE BATON、刷毛じょうゆ 海苔弁山登り…遠山正道の手がけるものが大好きマンなわたし。

蔵前を散策。Howmore Living、道具屋nobori、透明書店、鷰、ギンザレコード GINZA RECORDS & AUDIO KURAMAE、NORR LAND、古書フローベルグ、半月焙煎研究所、菓子屋シノノメをめぐる。昔は馬喰横山のレトロビルにたくさんいいお店が入ったりギャラリーができたりしていたけれど、それがそのまま蔵前に移動したような感じ。レトロビルの特徴のある外壁や窓の様子をあらためて眺めるとやはりなかなかいいものなので、うまく再生して活用してほしい。

道具屋noboriでグラスをたくさん買う。ガラスの器やグラスが好きなので増える一方で、もうこれは使わないなというものは増えたタイミングで処分しているのだけど、そろそろ収納も限界だ。そんな時は、ポーラ美術館の展示「部屋のみる夢 ― ボナールからティルマンス、現代の作家まで」に寄せられていた佐藤翠+守山友一朗の文章を反芻してガラスの魅力に抗えない自分を赦すことにする。

またこの部屋には、様々な光が差し込みます。早朝は金色の光が部屋を染めて、それからだんだんと白い光が部屋全体を明るく覆っていきます。日中には強い日差しに変わり、それを受けて植物のシルエットが風に揺れています。移り変わっていく光に照らされて、私達が世界中から集めた愛すべきものたちも同様に、色を変化させます。特に割れ物好きの我が家では、ツルツルとガラスや磁器の表面を流れる光が至る所で輝いていて、それぞれの光は美しくも少しノスタルジックで、旅の記憶とともに、遠い国のことを考えさせてくれます。
(佐藤翠+守山友一朗 作家ステートメントより)

夜は、戸越銀座のストンにカレーを食べに行く。マトンキーマカレーとビール。3年ぶりだけど、変わらぬ美味しさだった。