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Sunday, August 29

前田良三『ナチス絵画の謎』(みすず書房)を読む。ヒトラーにより退廃芸術家の烙印を押されたエミール・ノルデはゴリゴリのナチ党員だった、ということが近年わかったそうで(ノルデの回想録を休暇中の読書に選ぶほどだったメルケル首相もノルデの作品を執務室から撤去させたとのこと)、2019年にベルリンのハンブルク駅現代美術館で開かれたノルデ展ではその証拠となる書簡や文書が展示されたらしいが、会期中の2019年4月27日にわたしはこの美術館を訪れている。しかしチケットはすでに売り切れで、常設展だけ観たのだった。惜しいことをした、図録だけでも買うべきだったか。エミール・ノルデの絵自体はわたしはけっこう好き、というか興味深い。あれほど激しい色彩がキャンバスを覆いながらもどこか気品がある。もっと観たい、と思わせる。

ノルデの絵は後日訪れたブリュッケ派の世界最大のコレクションを誇るブリュッケ美術館で観ることができたが、ここはこじんまりして居心地の良い美術館だった。エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー、オットー・ミュラー、ノルデのポストカードを買い集めた。もともとこの日はバウハウス100年ということでデッサウに行くつもりでいたのだけれど、日帰りでスケジュールもタイトな日帰りスケジュールのなか、ドイツ鉄道の運行状況が芳しくなく行くのを諦めたのだった。その替わりに訪れた場所で当初は旅程には組み込まれていなかったわけだが、行ってよかった。

夜は、海鮮丼(鮪の刺身、鮪のたたき、しらす、卵)、しめじとほうれん草の味噌汁、ビール。