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Monday, June 1

約2ヶ月ぶりの出社。かつては家で仕事をするなんて嫌だな、家に仕事を持ち込むなんてごめんだなと思っていたけれど、実際にやってみたら、わたしは会社にいるより自宅のほうがずっとずっと集中できることがわかった。学生の頃から、勉強も自宅でするのがいちばん捗ったし、本もほぼ自宅でしか読めない。周りのことが気になって仕方がないという性質なのがよくわかる。

とはいえ出勤して楽しいのはいろいろな人の洋服が見られることだ。常にファッションチェックをしてしまう。チェックしてしまうなんて他人に対して申し訳ない気もするけど、もうそういう次元ではなくて、とにかく洋服というものが好きなので、もう本能で洋服を貪ってしまう。

Friday, June 5

SNSで、きょうからフランスでレストランとカフェの営業が再開されたことを知る。オープンカフェで飲み物片手におしゃべり、はやはりしばらく失われた景色だったのだな。

先日、クリストの訃報を聞いて、7月にパリのポンピドゥー・センターで『クリスト&ジャンヌ=クロード パリ!』という展覧会が予定されていたことを知った。ポンピドゥーでクリスト&ジャンヌ=クロードかあ、なんて素晴らしい、観たいなあ。パリにはいつでも行きたい、京都に行くように、ふらりと気負わずに行きたい。

Saturday, June 6

東京都写真美術館まで出かける。久しぶりの美術館。開館5分ほど前に着く。来訪者は思ったより少なかった。入館時の手指のアルコール消毒、検温。職員たちのマスク、フェイスシールド、手袋。美術館や図書館や映画館の再開は喜ばしいことだけれど、これだけ世界が変わってしまった状況で、またここに戻って来ることができてほろりとする、という感覚にはなれない。というかむしろこれまでは何だったんだ。無防備で無邪気で屈託のなさすぎた世界だったのか。基本的に潔癖で、マスクや消毒薬を手放せなかったわたしはもはや異端ではない、主流だ。異端のままでいたかった。マスクも消毒薬も買いたい放題だった世界が懐かしい。

「写真とファッション 90年代以降の関係性を探る」、「森山大道の東京 ongoing」を観る。「写真とファッション」の図録も買う。アンダース・エドストロームのある一枚の写真がとても気に入り、観賞後に夫にそれを伝えようとしたら、夫が先に同じことを言った。

渋谷に移動し、「intoxicate」をもらいにタワレコに行く。入店時に検温がある。自分の体温が何度なのか気になる。本日、美術館とタワレコで、自分の体温を測ったのに自分が自らの体温を把握できない、という初経験を果たした。

スクランブルスクエアとヒカリエで買い物して(またかよ)帰宅。サンドイッチと珈琲の遅いお昼を食べながらジョナス・メカスの映画を3本観る。『Travel Songs』(1981年)、『Happy Birthday to John』(1995年)、『This Side of Paradise』(1999年)。『This Side of Paradise』は以前にときの忘れもので観ている。メカスはコロナ後の世界を知らずに行ってしまった。