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Monday, December 23

本年のベストアルバムを特集している『ミュージック・マガジン』を読んでいると、サブスク音楽配信が一般化した昨今において、アルバム単位で音楽を聴いている人がどれほどいるのだろうとの指摘が目につく。しかしながら、個人的にはSpotifyでもなおアルバム単位で聴いているし、あるミュージシャンのデビューから現在に至るまでを順繰りに聴いたりもして、サブスクの登場によって音楽の聴き方はむしろ「体系化」を志向するようになっている。

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、サニーレタス、ミニトマト、バゲット、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、お弁当。ほうれん草とベーコンとミニトマトのバジルソースパスタ、ブリオッシュ・ノワール、チーズ、赤ワイン。

長谷部恭男『憲法学の虫眼鏡』(羽鳥書店)を読む。まえがきに目をとおすと、話の通じない人たちを相手にする気はないという諦念を感じなくもない。

実践理性の回帰を呼びかける憲法は、少なくとも典型的な法ではありません。法と言われるものの中でも特別に不透明で不確かに見えるところがあります。そうしたこともあって、憲法についても祈りに頼ろうとする人たちが現れることがあります。自分たちが確かだと信ずる価値を実現するために、憲法にすがろう、憲法を変えればこの世もこの国も変えられる(自分たちがそうあってほしいと思うような国に)。そうした旗印を掲げて突き進もうとする人々が現れます。
憲法が何かということが分かっていない人たちなのですが、分かっていない人に分かってもらおうとしても難しいでしょう。実践理性の働きが不透明で不確かである原因の一つとして、人は自我が肥大化しがちで(性的衝動や権力への意思や経済的利害も働いているかも知れません)、自我と手を携えて肥大化する妄想に妨げられて、周りが見えなくなりがちだという事情があります。そのため、そもそもなぜ憲法があるのか、なぜ法があるのか、法にはいつも必ず従わねばならないのか(そうではありません)、人とはそもそもどうしたものなのか、そうしたこの世の実際のありようが見えなくなってしまうのでしょう。自分の膨れ上がった妄想を投影したものが憲法だと思い込んでいるわけです。
そうなってしまった人たちは、こんな本は読まないだろうと思います。そうなっていない方にとっては、そうならないためのよすがになるかも知れません。

夜、音楽と映画。Robbie Williams「The Christmas Present」を聴く。『少年たち』(ジャック・ドワイヨン/監督、1999年)を見る。

Tuesday, December 24

下夷美幸『日本の家族と戸籍 なぜ「夫婦と未婚の子」単位なのか』(東京大学出版会)を読む。

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、トマト、サニーレタス、バゲット、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、お弁当。晩ごはん、骨付き鶏肉のコンソメ煮、サラダ、レモン、タコとオリーブ、シュトレン、赤ワイン。

夜、Vince Guaraldi Trio「Charlie Brown Christmas」のレコードを流しながら、よしながふみ『きのう何食べた?』(講談社)の最新刊を読む。

Wednesday, December 25

佐藤真『パリっ子の食卓 フランスのふつうの家庭料理のレシピノート』(河出書房新社)を読む。

日本に住んでいる読者の方に、材料がそろわないからとサジを投げてもらっては困る。ウサギや子牛がなかったらトリで間に合わせればいい。牛の腎臓がなかったら豚マメでいい。死のトランペット茸が見つからないのは当然で、それならキクラゲではどうだろう、と想像力を動員してもらいたい。
「ポワローネギでなければいけない」などと主張するグルメには、ここでもひじ鉄を食らわして、日本のふつうのネギを使えばいいのです。ぼくの経験では、かえってフランス人の方が、そんな風に一味ちがったフランス料理を評価してくれるはずだ。家庭料理は百人百様であるのが当然だと思う。

午後は半休をとって、品川駅のecuteでチキンとケーキを買って自宅に帰る。『死刑執行人もまた死す』(フリッツ・ラング/監督、1943年)というまったくクリスマスらしくない映画を見る。

フィル・スペクターによるクリスマスアルバムのレコードをフル回転させながら晩ごはんの準備。チキン、レタスと紫玉葱のサラダ、レモン、焼きトマト、ほうれん草と玉葱のコンソメスープ、胡桃とレーズンのパン、苺のショートケーキ、赤ワインの夕食をとりながら、radikoのタイムフリー機能でJ-WAVEの「沢木耕太郎~MIDNIGHT EXPRESS 天涯へ」を聴く。

Thursday, December 26

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、トマト、ベビーリーフ、胡桃とレーズンのパン、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、お弁当。晩ごはん、白米、ちりめんじゃこ、ほうれん草と豆腐の味噌汁、焼き魚(ほっけ)、レモン、麦酒。

MUBIで『シャレード』(スタンリー・ドーネン/監督、1963年)が配信されているので鑑賞。『シャレード』は好きな映画で何度も繰り返し見ている。洒脱なお気楽サスペンス。

Friday, December 27

サザンオールスターズがサブスク解禁とのことで、Spotifyでファーストアルバム「熱い胸騒ぎ」から順番に聴いている。桑田佳祐の天稟は凄いと思うが、世間的にどうしてサザンが「国民的なバンド」として受け止められているのか、アルバム単位で聴くと理由がよくわからなくなる。サザンより桑田佳祐のソロのほうが好み。

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、トマト、ベビーリーフ、バゲット、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、お弁当。退屈かつ徒労な会社の納会と相殺するかのように、晩ごはんは高輪の「AUX BACCHANALES」にて。ニース風サラダ、鴨のコンフィとポテト、赤ワイン。

Saturday, December 28

恵比寿にて。東京都写真美術館で「山沢栄子 私の現代」「中野正貴写真展 東京」「日本の新進作家 vol.16 至近距離の宇宙」を鑑賞。途中、美術館を抜けでて恵比寿ガーデンプレイスタワーの「Longrain TOKYO」で昼ごはん。タイ料理を食べる。山手線で有楽町駅に向かい、銀座を歩く。セール開催中の「BARNEYS NEW YORK」を覗いたり、銀座ニコンサロンで飯沼珠実の写真展「JAPAN IN DER DDR ー 東ドイツにみつけた三軒の日本の家」を見たり。銀座をあとにして表参道へ。銀座線が区間運休なので、日比谷駅まで歩いて千代田線で表参道まで。「FRANÇAIS 表参道本店」のカフェで休息。ここで食べられる生菓子「フランセパニエ」がとても美味しいので表参道での休憩にしばしば利用する。席数は少ないけれど、わりと穴場。agnès b. galerie boutiqueでヴェロニカ・ゲンシツカ「What a Wonderful World」を見て、スパイラルで本多康司+篠崎恵美「wander -めぐる-」を見て、スパイラルマーケットでちょっと買いものをして帰宅。

Sunday, December 29

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、トマト、ベビーリーフ、バゲット、ヨーグルト、珈琲。

昼前に外出。渋谷へ。東横のれん街にある「富澤商店」で買いものを済ませ、「SHIBUYA TSUTAYA」でDVDを返却してから、渋谷駅の「本家しぶそば」で昼ごはんを食べる。九条葱とかき揚げ蕎麦。渋谷駅を歩いていたら、銀座線渋谷駅移設工事の様子をLIVE配信しているモニタを発見。渋谷スクランブルスクエアの「東急ハンズ」で蛍光ペンを買って、たまたま目に入ったポップアップショップの「Floyd」で弁当箱一式を買う。渋谷ヒカリエに移動して「久世福商店」で買いもの。東急東横線で代官山に移動し、「IVY PLACE」で休憩しようと訪れたら15人待ちだというので、蔦屋書店の「Anjin」に向かう。ベイクドチーズケーキとカフェオレを注文。蔦屋書店で正月に見る映画を選んでから、タクシーで中目黒の「Waltz」へ。日頃タクシーに乗る機会が少ないので、たまたま運が悪いだけといえばそれまでだが、東京では乗りたいと思ったときにタクシーがなかなかつかまらない。タクシーだらけの京都の街のことを思い出す。「中古レコードのタチバナ」での買いものが今年最後のレコードのはずが、今年最後は「Waltz」に。一枚買う。東横線で中目黒から自由が丘へ。「TODAY’S SPECIAL」で買いもの。晩ごはんは、自由が丘からだいぶ歩いてたどり着く「中華蕎麦 三藤」にて。モダンなラーメン店。趣味は買いもの、というような一日。

吉田健一『私の食物誌』(中公文庫)を再読する。

もともと江戸というのは田舎の町である。その歴史も江戸開府の時から今日までまだ四百年とたっていなくて更にその後に来た東京に至っては何れこれが町と言える程の個性を持つことになるか持たないうちに消えてなくなるかもはっきりしていない。そこにもし少しでも取るに足るものがあるならば、或いは今日でもまだそれが色々あるとしてその根本をなすものは開府以前にあった関東の漁師の淳朴を都会であることに向う為の洗練が消化し切れずにこれと不思議な混り合い、綯い交ぜをなした結果生じたように思われる。そういう田舎臭さが一つの伝統になった都会というものも考えられる筈であり、それがどんなものかを説明する一例に江戸の鮨の味がある。

夜、Angel Olsen「All Mirrors」を聴く。

Monday, December 30

映画を二本見る。『暗黒街の弾痕』(フリッツ・ラング/監督、1937年)と『ビル・カニンガム&ニューヨーク』(リチャード・プレス/監督、2010年)。

年の瀬最後の街歩き。本日も渋谷へ。東急百貨店の地下食料品売場は買いもの客でごった返す戦場と化していた。「成城石井」と「とらや」で買いもの。「本家しぶそば」で年越し蕎麦を買ってから、渋谷ヒカリエの「久世福商店」に向かう。荷物が重くなるのできのう買わなかった日本酒とドレッシングと瓶詰めのあんバターを購入。渋谷スクランブルスクエアに移動し、「Les Viandes par Table Ogino」でパテとテリーヌを買う。渋谷スクランブルスクエアは専用のアプリがあって、クレジットカードと連携して支払もできる。あたりまえだがスクランブルスクエアでしか使えないので、一応ダウンロードしてみたものの果たして使うだろうかと思っていたら、もの凄く使っている。

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、トマト、ベビーリーフ、バゲット、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、「酵房西利」のちりめん山椒を混ぜたおにぎり、ほうれん草と玉葱の味噌汁。晩ごはん、鶏肉と小松菜とうどんの鍋、卵雑炊、柚子、きんぴらごぼう、麦酒。

Tuesday, December 31

大晦日。スーパーで食料品を調達。昼間は季節外れの暖かな天候だったが、夕方から強い風が吹いて一気に冷え込む。

保釈中のカルロス・ゴーンがレバノンに出国したとの報道。お金があれば大抵のことは実現できるのを証明するかのようで、やっぱりお金は大事であると再認識する年の瀬である。

朝ごはん、目玉焼き、ベーコン、トマト、サニーレタス、イタリアンドレッシング、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。昼ごはん、九条葱と蒸した鶏肉をのせた温かい蕎麦、きんぴらごぼう、紅白なます、蓮根、麦酒。おやつ、「六花亭」のマルセイバターサンドと珈琲。晩ごはん、ローストビーフ、サニーレタスとトマトのサラダ、じゃがいもの白ワイン蒸しのバジルソース和え、マウイチップス、スパークリングワインと赤ワイン。