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Monday, June 26

追悼のふるまいをしようにも残念ながら蓮実重臣の音源を所有していないので、代わりに喪主の書いた『反=日本語論』(ちくま文庫)を再読する。

浅生ハルミンがtwitterに書いていた追悼文がじわりとくる。

蓮実重臣さんが亡くなってしまった。闘病、大変だったね。また会いましょう

Tuesday, June 27

昨日の首相動静を読んだら、総理大臣公邸にて藤原帰一と会食とある。藤原帰一の最近の言説を追っていないのであれだが、『戦争を記憶する 広島・ホロコーストと現在』(講談社現代新書)の刊行当時からすると、この人が保守政権を率いる首相と公邸で会食するなんて想像のつかない事態である。公邸で会食するシステムを理解していないのだが、首相が相手を指名して食事に呼ぶのだろうか。たぶん呼ぶのだろう。永田町近辺を食べログで検索しても総理大臣公邸は出てこないので、ふらっと訪れてごはんが出てくる仕組みではないと思われる。

深井智朗『プロテスタンティズム 宗教改革から現代政治まで』(中公新書)を読了。ヴァイツゼッカーが1985年のドイツ連邦議会で演説した内容にみられるように、保守的な政治家が、ほとんどリベラルと見紛うような発言をするドイツの状況を不思議に感じていた。真の保守とは度量が大きいものなのだといささか曖昧な解説で納得させようとするものはこれまで目にしてきたが、ドイツにおけるルター派の思考回路の観点からの説明はとても興味ぶかい。

斬新な改革が、人口のもっとも多いノルトライン=ヴェストファーレン州で行われた。2012年に州議会は、宗教科の授業に「イスラムの授業」を追加することを決議した。2013年にはニーダーザクセン州がこれに続いた。それ以外にも各学校で生徒たちが母国語を学ぶ時間のプログラムとの関係で、その中にイスラムの授業を実際には行う学校が増えている。
興味深いのは、この改革を支持しているのがルター派である点だ。たしかにルター派は社会の保守層を支持母体とし、保守的な勢力として、社会の多元化を嫌い、不寛容な排他主義を容認し、宗教的な真理をめぐっての終わりなき戦いを開始し、その中で不寛容とも思える戦いを続けてきた。
しかし他方でルターをはじめとするプロテスタンティズムは、そのような不毛とも思える争いを終わらせ、政治や宗教におけるさまざまな見解がとりあえず共存可能な社会システムを作り上げるために努力した勢力でもあった。それゆえ彼らは、そのような妥協を許さないように思えた洗礼主義を排除したのである。つまりルター派保守主義は一つの宗教的伝統に固執するのであるが、その伝統を逸脱するような極端な意見や立場に対しては「否」を言うことが自らの使命だと感じるようになった。だからこそ、宗教や宗派の多元性という現実の中での共存の努力という彼らの歴史的な体験を逸脱するような現在の排他主義には「否」なのである。

Wednesday, June 28

閣僚や自民党員による低レベルな失言が断続的に発生している。安倍晋三の取り巻きはどうしてこう有能とはいえない連中ばかりが揃っちゃたのかと思うが、それは「類は友を呼ぶ」という諺ひとつで説明がつく。

坂井豊貴『ミクロ経済学入門の入門』を読む。「できるだけわかりやすく説明する精神」は入門書という領域でしばしばみられる光景だが、それとともに読者の関心を惹きつけようとする意図なのか「笑いをとろうとする精神」も発揮させるのはなんだろうか。

それなりに長いあいだ経済学を学んできてつくづく思うのだが、太陽は偉大だ。どれだけ悩みの種があっても、よく晴れた日に海岸や、野原に遊びに行ってしまえば、わりと色んなことがどうでもよくなる。締め切り仕事も、まあいいや、本当に怒られるまでは放置しておこう、俺に仕事を頼んだやつが悪いと思えてくる。たぶんお陽さまのもとで体を動かすと、幸福感を増す脳内物質が上手く流れるようになるのだ。悩み事などない、悩んでいる状態の脳があるだけである、ならばその状態を物理的に変えてしまえばよい。
個人的な想いを語ってすまない。経済学に話を返そう。

Thursday, June 29

ギャラリー「ときの忘れもの」が青山から駒込に移転すると知る。わたしが引越した途端に盛りあがりだしている駒込。

酒井順子『ananの嘘』(マガジンハウス)を読む。『オリーブの罠』『ユーミンの罪』(どちらも講談社現代新書)ときて、『ananの嘘』。なんとなく三部作っぽい風情。

Friday, June 30

有給休暇。原宿駅から歩いて、MOKUBAZAで昼食。アボガドキーマカレーとラッシー。

六本木に移動。国立新美術館でジャコメッティ展を鑑賞。日本においてジャコメッティといえば矢内原伊作だが、彫刻家との交流を著作にまとめている矢内原は毎度「哲学者」として紹介される。しかしジャコメッティのモデル以外の、哲学者としての矢内原伊作の業績を知らない。

ギャラリー・間で「坂茂:プロジェクツ・イン・プログレス」を見てから、ピラミデビルとcomplex665のギャラリーをまわる。六本木周辺でプレミアムフライデーっぽい人は皆無。

天王洲アイルに移動。T.Y. Harborで夕食。

Saturday, July 1

エイミー・ワインハウスの生涯を追ったドキュメンタリー映画『AMY エイミー』を見る。幼少期のプライベートな写真や映像など、親族の協力なしには成り立たないようなショットが次々と繰り出されるにもかかわらず、ほとんど好感度ゼロで父親の姿が描かれているのに驚く。

Sunday, July 2

東京都議会議員選挙の投票の帰りに、花屋でドウダンツツジの枝を買う。自宅で、エコノミスト誌、『図書』7月号(岩波書店)、『みすず』7月号(みすず書房)を読むなど。

夜、選挙の結果は自民党惨敗。