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Saturday, August 6

『図書』2016年8月号(岩波書店)に掲載された、石坂和子「あの頃」がとてもよい。石坂和子すなわち山田太一の妻による寺山修司の回想記。

きょうは怒涛の美術館・ギャラリーめぐり。まずは高田馬場。昨年に引き続きまた大勢の人でごったがえすオープンキャンパスの日に来てしまった。なにが楽しゅうて、という思い。早稲田大学坪内博士記念演劇博物館で「あゝ新宿 ― スペクタクルとしての都市展」 、會津八一記念博物館で「ル・コルビュジエ ロンシャンの丘との対話展」、「チューリッヒ・ダダ100周年 ダダイスト・ツァラの軌跡と荒川修作」を観る。「あゝ新宿」は見応えあり。オープンキャンパスで訪れた高校生の大半は展示を素通りしていたけれど、ある一人の高校生が、同級生に「そうか、この展示、授業で出てきた寺山修司にひっかけてるんだ、ええと、あゝ、あゝ、何だっけ…」と話していているのが聞こえて、思わず「荒野だよ!」と教えてあげたくなった。でも、やめておいた。自分で調べて思い出したほうが、わすれないものね。

お昼は飯田橋のカナルカフェで、パン、サラダ、サルシッチャとトマトのパスタ、珈琲。市ヶ谷に向かって進み、ミヅマアートギャラリーで「会田誠  はかないことを夢もうではないか、そうして、事物のうつくしい愚かしさについて思いめぐらそうではないか。」を観る。会田誠いわく、駅弁などのお弁当の容器はある意味モンドリアンとの類似性ありと。たしかに。御茶ノ水経由で東京へ。東京ステーションギャラリーで「12 Rooms 12 Artists UBSアート・コレクションより」、三菱一号館美術館で「From Life – 写真に生命を吹き込んだ女性 ジュリア・マーガレット・キャメロン展」鑑賞。夕方になり、心なしか暑さがわずかに、ほんのわずかに和らいできた。メゾンエルメスで「奥村雄樹による高橋尚愛」、資生堂ギャラリーで「石内都 Frida is」鑑賞。奥村雄樹の作品は「六本木クロッシング2013」での展示のさらなる発展系であり、石内都については、彼女がフリーダ・カーロの遺品を撮影した写真を大きなプリントで見られるということでずっと楽しみにしていた。被写体である遺品がただモノとして存在する普遍性と、これらの主がフリーダであるという固有性を、作品の美しさ、冷静さ、叙情性が優しく包み込んでいた。

夜は銀座のAUX BACCHANALESにて、クロックムッシュ、ニース風サラダ、鴨のコンフィ、バゲット、ビール。