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Monday, June 27

通勤の読書にチェーホフ『桜の園・三人姉妹』(神西清/訳、新潮文庫)から「桜の園」を。

帰宅後、本棚として使用しているカラーボックスからすべての本を抜き出してボックスの縦横を変えて並べてみるも、威圧感で部屋が窮屈になるのでこのアイデアは撤回し、ふたたびボックスを元に戻してもう一度本を詰めなおすという、傍から見ると何がしたいのか理解に苦しむ重労働に従事する。読み終えた不要な本はさっさと処分するのが正解だが、読んでいない本が多すぎて正解にたどり着く気配が見えないのが問題だ。読んだら捨てよう、という発言だけが宙に浮いたまま実行せず現在に至る。散乱した本はそのままに、疲れて寝る。

朝食、ピザトースト、珈琲。昼食、弁当。夕食、焼きそば、麦酒。

Tuesday, June 28

朝5時に起床して本棚整理に取り掛かる。

会社帰りの電車のなかで、Chocolat & Akitoのインターネットラジオ [1]を聴く。仕事が減って自暴自棄になり家出を企てようとした片寄明人が盲腸になる話は、何度聴いてもおもしろい。

朝食、目玉焼き、ハム、サニーレタス、バゲット、珈琲。昼食、弁当。夕食は近所のカフェで。

寝るまでの時間に本棚の整理。雑誌類を選別してカラーボックスを2つ解体する。整理はいまだ終わらず。

Wednesday, June 29

イスタンブルのアタテュルク国際空港でテロ事件。

本日も朝5時に起きて本棚の整理。無印良品で収納用の箱を購入。片付けの出口がようやく見えてきた。

朝食、トーストとブルーベリージャム、サニーレタスとミニトマト、茹で卵、珈琲。昼食、弁当。夕食、そうめん、冷奴とかいわれ、きゅうりと味噌、枝豆、麦酒。

Thursday, June 30

本棚の整理がようやく終焉を迎えそう。

既製の本棚を購入せずにカラーボックスをアレンジして使っているのは、一般的に販売されている本棚は「ザ・本棚」感あふれるセンスの欠けるものばかりだからで、一方、それなりにデザインされた棚はたくさんの本を収納するのには不向きなものがほとんどで困る。

通勤の読書にチェーホフ『桜の園・三人姉妹』(神西清/訳、新潮文庫)から「三人姉妹」を。

きのう届いた『図書』7月号(岩波書店)を読む。鈴木大拙について綴った小川隆の小論(「永遠の未完 大拙没後五十年にあたって」)を読んだら、漱石が鎌倉円覚寺で参禅した経験を踏まえて書いた『門』について、

「剽軽な羅漢のような顔をしている気楽そうな男」(岩波文庫、頁202)と描かれているのが若き日の大拙、「もっと、ぎろりとした所」(頁215)をもって来いと迫る恐ろしげな老師が円覚寺の釈宗演(1859-1919)、そして主人公宗助の世話をしてくれている宣道という若い禅僧が宗演の弟子の釈宗活(1871-1954)であったことは、よく知られている。

とあるのだが、岩波文庫の「注」には釈宗演と釈宗活がモデルになっている説明はあってもなぜか鈴木大拙の説明がない。

朝食、トースト、バゲット、小松菜のソテー、ミニトマト、茹で卵、珈琲。昼食、弁当。夕食、ベーコンとほうれん草とトマトのアンチョビ大葉風味パスタ、ツナとかいわれ、バゲット、赤ワイン。

Friday, July 1

朝食、トースト、目玉焼きとベーコン、玉葱とピーマンのグリル、珈琲。

エコノミスト誌のイギリスのEU離脱に関する分析記事を熟読。

弁当を持参せずに会社近くの蕎麦屋で蕎麦とかつ丼のセットを注文するも、あまり美味しくない。

帰宅後、食前のおやつに上野風月堂のクッキー。夕食は、鰻重、いんげんとしめじのお吸い物、きゅうりと味噌、漬物、麦酒。

Saturday, July 2

バングラデシュのダッカでテロ事件。

早朝、片付いた本棚を前にしてソファに座り写真集をめくる。Alexander Gronsky『LESS THAN ONE』(Tycoon Books)を読む。

午前8時に新宿へ。ベーカリー&レストラン沢村でモーニングののち、サザンテラスのスタバで休息。外は蒸し暑いのだがスタバの店内は冷房が強すぎて極寒なので、自動ドアが開くタイミングで室内の冷気が流れてくる入口近辺のテラス席に座る。ちょうどよい体感。ストロベリーディライトフラペチーノを飲みながらエコノミスト誌のつづきを読む。

いったん自宅に戻って、サンドイッチ、ボールドーナツチョコ、珈琲の昼食ののち、読書。

二階堂奥歯『八本脚の蝶』(ポプラ社)を読み返して読書欲が鼓舞される。最終的には飛び降り自殺した女性編集者の、神経が摩耗していく過程を追うような内容にもかかわらず、その読書量や物欲や変態さや繊細さにおおいに勇気づけられる。タナトス全開の本で元気がでる。二階堂奥歯の日記は読書遍歴にばかり目が行きがちだけれど、時折滲む彼女の「ユーモア」を私は買いたい。『八本脚の蝶』のなかで一番好きな話は、これ。

夕方に神保町を歩く。
私は乙女パワー全開なので古本屋に行くと嫌がられることが多い。なんだかちゃらちゃらした女が興味もないのに入ってきたと思われるのだ。
今では親切にしていただいているある古書店に最初に行ったとき、店主のおじさんは木で鼻をくくったような態度でこう言った。
「何か御用ですか。」
「いえ、見てるんです。」
そして私は店を一回りして、何かの本を買った。
何度目かに行ったときには何を探してるのかを聞かれた。だからあるジャンルを述べた。おじさんは何冊か出してくれたけど、みんな持っていた。
それからは、こんなのが好きじゃないかと教えてくれるようになった。
ある時お店のおばさんが店に出ていた。おばさんは私をじろりと見て言った。
「何か御用ですか。」
奥から出てきたおじさんが言った。
「ああその人はいいの。」
(p.183)

夕方、東京オペラシティアートギャラリーで「ライアン・マッギンレー BODY LOUD!」展を見る。ライアン・マッギンレーによるヌード写真はその色彩感覚に注視すべきであろうが、モノクロのポートレートが意外とよかった。客層は若い人が多くて、年配の人もやや尖った雰囲気を醸し出している人が多いように感じたが、そういう人たちの感想ではなく、展示会場の出口近辺にいた警備員のおっさんがライアン・マッギンレーの写真をどう思うか知りたい。

夕食は、初台の蘭蘭酒家でおいしい中華料理を食べる。

Sunday, July 3

朝5時に目覚まし時計が鳴り響くも二度寝して6時に起床。近所のコンビニで日本経済新聞を買って読む。生真面目にすべての記事に目を通して2時間程で読了。エマニュエル・トッドのインタビューが載っているのだが、イギリスのEU離脱に関してとても独特な見解を述べている。

「英国が孤立するという考え方はおかしい。英の影響が及ぶ米国、カナダ、オーストラリアの人口は欧州より多い。英は非常に早く本当のリーダーとして頭角を現わすのではないかと思う」
「スコットランド独立が言われるが、英国がEU離脱を決めた今、スコットランド人はロンドンかベルリンか選択を迫られる。彼らがベルリンを選ぶとは想像できない」
「大胆な言い方だが、英のEU離脱は冷戦の本当の終わりだと思う。我々は西側世界の内部で対立が激しくなるのを目の当たりにしている。ロシアとの対立は徐々に二次的なものになる」

通説を逆撫でする見解を述べるのは知識人の仕事ではあるが、フランスの知識人が政治経済について語るものはいつも話半分に聞くことにしている(偏見)。

買いものと洗濯。外に出たらものすごい陽射し。

朝食、ソーセージとピーマンと玉葱のグリル、人参サラダ、バゲット、珈琲。昼食兼夕食、トマトとアンチョビのパスタ、鶏肉と浅蜊の白ワイン蒸し、バゲットとオリーブオイル、レタスと糸みつばと紫玉葱のサラダ、チーズ、赤ワイン。『サラダの本。』(プレジデント社)を読む。

イラクのバグダットでテロ事件。

  1. Color of Life – JJazz.Net []