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Monday, December 14

片岡義男『彼女が演じた役 原節子の戦後主演作を見て考える』(中公文庫)を読む。俎上に載せる対象(作品、監督、俳優など)をつき放して分析している片岡義男の独特な映画論は、ほとんどの作品に対して何かしらのダメ出しをしていておもしろい。

朝、スクランブルエッグ&ほうれん草ベビーリーフのチーズトースト、珈琲。
昼、弁当。
夜、白米、豚汁、ほっけ、ほうれん草のおひたし、麦酒。

Tuesday, December 15

木下惠介監督『お嬢さん乾杯!』(1949年)を見る。佐野周二と原節子が主演のロマンティック・コメディ。傑作ではないし佳作ともいいがたい小品で、原節子が壮大にずっこける場面が唯一の見どころだろうか。『彼女が演じた役』で片岡義男は本作について低評価を下し、「自分が頭のなかでシナリオを書きなおし、そのシナリオに沿って作られたもう一本の架空の『お嬢さん乾杯』を想像のなかで見ていることに、僕は気づく」といって別の舞台設定を書きはじめるという、よくよく考えると脚本の新藤兼人に失礼すぎる批評なのだが、片岡義男の書く設定のほうが実際の映画よりもずっとうまいものだから正当といえば正当。

朝、トマトピザトースト、茹で卵、珈琲。
昼、弁当。
夜、ヤマモリのグリーンカレー、蓮根のきんぴら、りんご、麦酒。

Wednesday, December 16

忘年会ラッシュという事態に縁がない。忘年会をするほどの付き合いのある親しい人がいないので。もっともその事態は寂しいどころかむしろ喜ばしい。

朝、クロワッサン、トマト&ベーコン&ピーマン&人参のグリル、珈琲。
昼、弁当。
夜、仔羊肉のステーキ、豚肉&ピーマン&トマト&人参のグリル、オニオンと舞茸のスープ、バゲット、赤ワイン。

Thursday, December 17

iPadで本年最後のエコノミスト誌を読む。今年のニュースを簡潔にふり返る冒頭の欄で、日本に関するトピックは一切なかった。何もなし。日本では特筆する出来事は起こらなかったと見られているのか、日本の国際的な位置づけが低下していることのあらわれなのか。

朝、目玉焼き、ベーコン&トマト&キャベツ&茄子のグリル、バゲット、珈琲。
昼、弁当。
夜、クリームシチュー、くるみパン、赤ワイン。

Friday, December 18

平野紗季子が最新号の『POPEYE』(マガジンハウス)で、菊池亜希子はカルチャー女子の神だといっているのを読んで、降誕祭も近いことだし神の声に耳を傾けようと『みちくさ』(小学館)の1から3を図書館で借りる。

朝、クリームシチュー、バゲット、茹で卵、珈琲。
昼、弁当。
夜、最寄りのカフェにて。前菜とパスタと赤ワイン。

Saturday, December 19

美容院で髪を切る。新宿の紀伊國屋書店でファイナンシャル・タイムズ紙とメルケル首相が表紙のタイム誌を買った。FT紙の文化欄には今年ノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチの記事。リディア・デイヴィスの短篇も載っている。

朝、わかめのおにぎり、油揚げと長葱とわかめの味噌汁、緑茶。
昼、鶏肉と油揚げの鴨だしうどん、緑茶。
夜、浅蜊&ベーコン&長葱の白ワイン蒸しパスタ、バゲット、赤ワイン。

Sunday, December 20

落葉と青空がうつくしい。

今年一年も終わりかけている時分にあたらしいことを始める。日曜日に新聞を読むことにした。それも電子版ではなく紙で。いまや斜陽といえるかもしれない所作のために、朝起きぬけに最寄りのコンビニまで日本経済新聞を買いにいく。朝食後、広告とラテ欄以外のすべての活字を追っていく。それにしても常用漢字表に準じたものだとはいえ、日経の読者相手に「牽引」を「けん引」と表記しているのを見ると脱力する。

図書館で『群像』(講談社)の特集「21世紀の暫定名著」に目をとおす。「一般書篇」「日本文芸篇」「海外文芸篇」と三部にわかれた構成のうち、「一般書篇」と「日本文芸篇」の座談会はどこかどんよりとした空気が流れているように思えて、かたや「海外文芸篇」は出席者みんな楽しそうで、マーケットのなかでは絶滅危惧種として扱われかねない海外文学というジャンルであるが、わいわいやっているなかに不思議と「終わっちゃった感」があまりなかった。「海外文芸篇」でもアレクシエーヴィッチの話題があって、これまで英語圏で彼女はほとんど知られていない存在だったとFT紙にも書いてあったが、沼野恭子によればロシア語を英訳する翻訳者は不遇らしい。

図書館帰りにマガジンハウスの雑誌を二冊(『& Premium』と『Hanako』)買う。

小津安二郎監督『東京暮色』(1957年)を見る。有馬稲子と山田五十鈴の印象がつよくて、原節子が出演しているのを忘れていた。中華料理屋「珍々軒」の店主がふりまくユーモアが空回りしている暗い映画。

朝、目玉焼き、キャベツとオニオンのグリル、バゲット、珈琲。
昼、味噌ラーメン、麦酒。
夜、蒸し餃子、トマトと舞茸の中華風スープ、白米、サラダ、麦酒。