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Monday, November 23

祝日。勤労感謝の日。日が暮れてから一日を振り返ってみれば、食材と日用品の買いもので大半が終わってしまった気がする。勤労を尊ぶ暇もなく、休日の時間は一瞬で過ぎ去る。明日からはまた勤労。

ルソーが戦争について書いているものを読みたくて、近所の図書館で『ルソー全集』第4巻(白水社)を借りた。

東急ハンズの戦略にまんまと嵌まった感のあるスキレット購入だったが、いまのところ何をつくっても美味しくて嬉しい。料理は腕も大事だが道具も大事。夕飯は、牛肉、浅蜊、トマトをスキレットで焼き蒸しに。そのほか、サニーレタスといんげんのサラダ、ポテトサラダ、チーズ。買ってきたボジョレーヌーボーを飲む。

Wednesday, November 25

目が覚めると喉の調子がおかしい。風邪のぶり返しを恐れつつ、会社へ。ぶり返した気がしないでもない、というかぶり返した。ぶり返してこその風邪である。

Thursday, November 26

原節子が他界していたことを知る。

朝から絶不調。薬局で合法ドラッグを購入。ルルアタックIBを服用。成分に含まれるイブプロフェンとの相性がよかったのか、幸いなことに体調は回復するも、クレマスチンフマル酸塩の影響か眠くてしかたがない。気分は八甲田山。

夜、白米、長ねぎと油揚げの味噌汁、秋刀魚の塩焼き、大根おろし、いか明太子、ほうれん草と油揚げのごま油炒め、お茶。

Friday, November 27

アーネスト・ヘミングウェイ『移動祝祭日』(高見浩/訳、新潮文庫)を読了。テロ発生後のパリで、犠牲者追悼のため共和国広場に来ていた女性がテレビのインタビューを受けて『移動祝祭日』に言及したところ、一躍ベストセラーになり、現在パリの書店で売れまくっているらしい。パリの優美についてフランス人の書いたものならいくらでもあるだろうに、よりによってマッチョなヤンキーの書いたパリにフランス人が慰められているという構図は、いささか不思議な光景ではある。慰めというものは「他者」を必要とするのかもしれないが。

If you are lucky enough to have lived in Paris as a young man, then wherever you go for the rest of your life, it stays with you, for Paris is a moveable feast.

夜、牛肉のステーキ、ピーマンと赤パプリカのオリーブオイル焼きをスキレットでつくり、人参ときゅうりとサニーレタスのサラダ、バゲットとクリームチーズ、赤ワイン。

Saturday, November 28

田園調布駅で下車。駅前のスターバックスでクランチーキャラメルトフィーのフラペチーノを買う。宝来公園から多摩川台公園までを歩く。紅葉狩り。樹々の色づきはまばらだったけれど、散歩するには気もちのよい公園で、快晴の空に富士山が映える。しかし見晴らしを遮るような一棟のビルの存在が邪魔で、家に戻ったらGoogle Mapで何のビルなのかを突き止めたい。多摩川を挟んで高級そうな邸宅の並ぶ田園調布側とマンションの乱立する武蔵小杉側との対比を味わいながら、澄んだ空気の川沿いを散歩する。昼食は、田園調布に戻って、PASTA RIでパスタ。

東横線で中目黒まで行き、日比谷線に乗り換えて六本木へ。OTA FINE ARTSで「チェン・ウェイ/ナイト・パリ」、WAKO WORKS OF ARTで「ゲルハルト・リヒター/Painting」、YKG Galleryで「藤田はるか/winter」、Zen Foto Galleryで「北井一夫/抵抗 カラー補足版」を遊覧。

東京都現代美術館で開催中の「”TOKYO”-見えない都市を見せる」および「オノ・ヨーコ:私の窓から」には食指がまるで動かず、しかしながらAndo Galleryでやっているリカルダ・ロッガンの写真展「SPOT」は見ておきたいとなると、Ando Galleryのためだけに清澄白河に降り立つこととなり、それはそれでなかなかの英断であるが、せっかくなので大江戸線で清澄白河の手前の森下で降り、古書ドリス、古書ほんの木、しまぶっく、スモークブックス、エクスリブリスと古本屋をめぐることにする。残念ながら古書ほんの木はお休み。ヴァージニア・ウルフ『自分だけの部屋』(川本静子/訳、みすず書房)と山田宏一『映画この心のときめき』(白川書院)を買う。

清澄白河は「サードウェーブコーヒー」とやらで喧伝されている珈琲店が集結していて、サードウェーブって何? アンソニー・ギデンズ? と頭に浮かんだが、それは波じゃなくて道だ。Ando Galleryの目の前にあるニュージランドから上陸したというオールプレス・エスプレッソを外から覗いてみたものの、試しにちょっと休憩していこうかとの思いを打ち砕く混雑ぶりで、清澄白河で珈琲が流行っていることを確認しただけで家路に向かう。それにしてもかれこれ10年以上前、清澄白河駅から東京都現代美術館までの道のりを歩きながら、この人影のほとんどない街はどうなっているの? と印象深かった時代が懐かしい。

帰宅途中、近所の花屋にクリスマスリースの予約をする。

夜、ビーフシチューをつくるつもりが冷凍してあった肉が牛ではなく豚で、ポークシチューに変更。人参、玉ねぎ、しめじ、じゃがいもを入れたポークシチューが思いの外おいしくできて、ビーフよりポークではないかの議論が高まる。バゲット、苺のショートケーキ、赤ワイン。

Sunday, November 29

洗濯物を干してからの朝食は、ポークシチュー、バゲット、ゆで卵、珈琲というメニュー。

図書館への返却ついでに、金曜日の朝日新聞に掲載された蓮實重彦による原節子追悼の文章を読む。挙げられている映画は、山中貞雄の『河内山宗俊』と成瀬巳喜男の『山の音』。それとは知らず金曜日に会社近くのTSUTAYAで借りたのが『山の音』で、早速家に戻ってカレーライスの昼食を済ませてから、映画鑑賞に突入。父親の会社に勤める上原謙が何の仕事をしているのかさっぱりわからず、毎晩飲んで浮気するのが日課のよう。