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Monday, October 28

朝ごはん、ハイジの白パン、珈琲。ルー・リードの訃報。

六本木の森アーツセンターギャラリーに「スヌーピー展 しあわせは、きみをもっと知ること。」を観に行く。半年ほど前、前売り券を手に入れたときにはこれまたずいぶん先のことであることよ、とたいそう待ち遠しく思ったものだが、時は砂のようにさらさら流れ、苦もなくこの日はやってきた。入口でVINCE GUARALDI TRIOの「LINUS AND LUCY」が流れているのを聴くだけでもうブワッと涙が溢れそうになってしまう。わたしのジャズ原体験は父親の部屋から流れてきたマイルス・デイビスとスヌーピーのアニメだなあ。ピーナッツのドタバタ劇の裏で流れるジャズが本当におしゃれで素敵だと子ども心に思った。

作者シュルツさんのゆかりの品々や再現されたアトリエ、貴重なキャラクターグッズなんかも見れるけど、やはり圧巻は相当な数の原画だ。幼い頃から慣れ親しんできた漫画の原画を拝める日がくるとは。

もっとも印象に残ったのは、後年になるとシュルツの描く線はギザギザとふるえたようにゆがんでいて、それは病気のために腕が思うように動かずなめらかな線をひくことができないからだった、という事実を初めて知ったことで、そのタッチは当然考えられてのことであってデザイン上そうであってしかるべきものだ、とすっかり思い込んでいたため、その事実にも、その事実をじぶんが知らなかったことにも、いろいろとショックを受けた。でもシュルツのアシスタントたちだったか、一緒に仕事をした若い仲間たちがその細かくゆがんだ線を見て、どうしたらこんな味のある線がひけるんだ! と感心したらしいというエピソードがあるらしい。

それとスヌーピー以前に描かれた、「スヌーピー前夜の子どもたち」と会場での解説パネルだったか何かの雑誌だったか、どこかでそう紹介されていたような気がしていいネーミングだな、と思ったのだけど、たった1場面のシチュエーションだけでくすりと笑わせてしまう「Li’l Folks」という漫画、これがとても可愛いくて、展示された作品を観ながらいちいちクスクスアハハ、と笑ってしまうもので、これもこのたび購入した本や雑誌でほんの少しだけれど読むことができるので、嬉しい。

第2会場がグッズ売り場ということで、強制的に物販コーナーに行かされることに。もちろんきょうは物販コーナーで散在する気満々で来たのだから本望だ。じぶんでもちょっとひくくらいに、マグカップやらグラスやらポスターやらクリアファイルやらクッションやら本やらポストカードやらあれこれ買い込んでしまった。HAHAHA!

WIRED CAFEでハンバーグを食べてから「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」を鑑賞。以前ナディッフでもその一部の作品を観た朝海陽子、以前からなんとなく気になっちゃって注目している丹羽良徳、そして何より奥村雄樹の作品がよかった。奥村雄樹は「MOTアニュアル2012  Making Situations, Editing Landscapes 風が吹けば桶屋が儲かる」では映像作品における字幕を題材に実験的な試みをしていて、これは非常に難解だった記憶があるのだけれど、今回は、高橋尚愛という画家が1967年にベルギーのアントワープで開いた個展をその時描かれた絵とともにそっくりそのまま、2013年のブリュッセルで再現してみせ、2013年の東京・六本木でその過程と結末を展示する、もちろんブリュッセルでの個展では高橋本人にも登場してもらう、というもので、これが愛とノルタルジーに満ち満ちていて、本当によかった。

Tuesday, October 29

そういえばシュルツさんは漫画やイラストの仕事を始めたとき、書く“字”が気に入られて、最初にもらった仕事が漫画の吹き出しの中の文字を書くというものだった、ということもすごく印象的で、だってわたしもシュルツの書く字が好きで好きでたまらないから、迷いなくすとんと腑に落ちる事実だ。

夜、ベーコンとほうれん草のあさりパスタ、ビール。食べながら吉岡さんのラジオ「Soul Searchin’ Radio」で週末にお茶の水のカフェで開かれたブッカーTのトークショー&ライブの音源を聴く。mg’sという名前の由来など。このトーク、ブッカーTがこれまでのじぶんの作品について解説するということで、何という魅惑的なイベントなんだ、とのけぞる。あああ、行きたかったなあ。

Saturday, November 2

MacBook Airが我が家にやってきたヤア!ヤア!ヤア! あとは眼科に行くなど。夜は焼鳥とビール。

Sunday, November 3

朝ごはん、ホットケーキ、ヨーグルト、珈琲。目の調子がだいぶよくなってきたので、朝からひたすらパソコンに向かって日記を書く。現在に追いつくまで、あともう少し。お昼はレトルトのイエローカレー、ねぎ塩スープ、カリフラワーのピクルス、ペリエ。午後も日記を書く。夕方、カフェでりんごジュースを飲みながら『装苑』12月号(文化出版局)を読んでいたらもうすぐ公開される『ファッションを創る男 —カール・ラガーフェルド—』の紹介がされており、その記事によると現在カールがデザインを手がけているのはシャネルとフェンディで、自らのブランドであるカール ラガーフェルドはトミー・ヒルフィガーに売却済、とあって、このニュースを聞いていたかもしれないけれどすっかり失念していたので驚いた。じぶんの大事なブランドじゃないの、それもなぜトミー・ヒルフィガーに、といろいろ疑問が噴出した。その後、いつもの花屋で胡蝶蘭を2種買い、食材をいくつか買って帰宅。夜は鶏肉と卵とほうれん草と長ねぎをのせたうどん。カレーうどん以外のうどんを食べるのは久しぶりで、とても美味しかった。