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Monday, September 17

目が覚めたら土砂降り、という夢を見て夜中目覚めたら窓の外で激しい雨の音がしているような気がして、ああぁ、洗濯物どうしたらいいのだろうか、と憂いながら再び眠り、明け方、また激しい雨の音がする……と思いながら目覚めたら一晩中まわしっぱなしにしていたサーキュレーターの音だった。まったくどれだけ雨が心配なのかと。

先日見つけた素敵なインテリアのサイト、「Freunde Von freunden」を眺めていて驚いた。新着インタビューのなかからまずは女性のインテリアを拝見しようとある女性のページに飛んだら、その女性がいつかどこかで見た覚えのある顔立ち。ちゃんと名前を確認してみたら、わたしが90年代の終わりにとても好きだったファッションモデル、ゾラ・スターだったのだ。彗星のように現れて瞬く間に去っていってしまうのがファッションモデルの常だけれど(もちろんそうではないモデルたちもわずかながら存在する)、ゾラはなかでもあっという間に見なくなってしまって非常に残念に思ったものだが、まさかこんなところで再会するとは! 嬉しい。どうやらいまは画家として活躍しているらしい。当時FigaroかSPURでインタビューを受けて、音楽が好きという話をしていて「その人がいかにも自分のためにつくったと思える歌が好きよ」と言っていて、いいこと言う人だなと思った。

10時の開店と同時に10%引きだか15%引きだかお得なキャンペーンをやっている近所のワイン屋までワインを買いに行き、ついでに買いものもして、お昼は素麺とグリーンリーフとコーンのサラダ。今年最後の素麺になるだろうか。お昼のあと、おかずのつくり置きをつくる。先週あたりから長い時間台所に立っていてもそれほど疲れなくて助かる。日が暮れるころ、図書館へ本を返しに行き、また借りて帰る。『困ってるひと』(大野更紗/著、ポプラ文庫)を一気読み。夜は蛤、パプリカ、玉ねぎ、小松菜のパスタ。

Thursday, September 20

夕食はごはん+黒ごま、にんじんと長ねぎとミョウガの味噌汁、鮎の塩焼き、野沢菜、キムチのせ豆腐、バターコーン、ビール。『UP』(東京大学出版会)2012年9月号の表紙を捲ったら、表2に先日、広尾の中央図書館で写真集を眺めてすっかり心酔してしまったストックホルム市立図書館の建築模型写真が。松本文夫による模型をもとに建築を考察する頁で、

一九二八年に完成したストックホルム市立図書館は、機能的な要請に応えつつも、空間の全体的な一覧性を打ち出した貴重な建築である。
建物中央に埋め込まれた円筒形は吹抜けの大空間である。円筒の内側には三層の開架書棚をぐるりと巡らせている。入口から直進階段を上昇すると書物の環の中央に出るというドラマティックな動線計画である。図書館における求心的な大空間としては、大英博物館閲覧室や米国議会図書館などの先例があるが、ストックホルムでは円筒の垂直性が際立っている。

とある。やはり行ってみたい。具体的な日程を決めたい。

Saturday, September 22

朝、くるみパン、スクランブルエッグ、グリーンリーフとミニトマトとコーンのサラダ、ヨーグルト、珈琲。外出。まず向かうは神楽坂。5〜6年ぶりに訪れた「カド」で鶏の炊き込みご飯とキクラゲのオムライス、魚のアラがごろっと入った大根の味噌汁、胡椒のきいたマッシュポテト、おから、冷たい麦茶を縁側の席を陣取っていただく。塀の向こう側からちらっとのぞき込んでいく人がときどきいる。庭には明るい橙色したほおずきの鉢植え。カドのはす向かいといってもいいような位置にある古本と雑貨のお店、クラシコはあいにくお休みだったが、このお店の、月の半分くらいしか開きませんぜというスタンスを知っているので絶望的な落胆はしない(もちろんやっているにこしたことはないけれど)。

小雨模様だった天候が回復してきたためポレポレ散歩とばかりに市ヶ谷まで歩き、ミヅマアートギャラリーをめざす。いつもの急勾配の階段が見えてきたとき、階段のてっぺんに会田誠さんらしき人を発見。あっ、あっ、会田さんだっ、とドキドキしながら階段を昇ったら「今日はギャラリーお休みなんですよ、すみません」と丁寧に対応してくださって、会田さん! と思いながらそれを聞き、踵を返してとぼとぼ階段を降りながらああ、ひとこと口にすればよかったと後悔の念にかられたのでここで挨拶しておこう。「会田誠さん、いつも作品、拝見してます!」それにしても祝日と土曜日が重なるとどうしてもギャラリーの休館ということに思いが至らない。こっちには絶望的に落胆してしまった。

総武線に揺られて千駄ヶ谷駅で下車し、2年ぶりのTOKYO ART BOOK FAIR(TABF) ZINE’S MATEに客として参戦。2010年はアーツ千代田3331で開催されたのだった。SCAI THE BATHHOUSEに寄ったあと上野公園の不忍池のふちを歩きながら建設中だったスカイツリーを眺め、TABFでポーランドの写真を集めた簡易なホチキスどめのzineを見つけて心惹かれ、暑さに疲れて家のそばまで戻ってきてドトールでアイスコーヒーを飲みながら多和田葉子の小説を読んでいたらすっかり冷えてしまって、そのすべてを炎症を起こして完全に視界のぼやけた目で見ていたことを思い出したのだけれど、あのポーランド写真の女の子は果たして今回参加していたのだろうか。このたびのTABFは千駄ヶ谷の京都造形芸術大学/東北芸術工科大学外苑キャンパスが会場で、ずっとお目にかかりたかった人にお会いして、これからますます楽しみな作品を生み出すにちがいない方々の詩と絵を編んだ、なんとも素敵な佇まいの苳ノ巻『泡箱』を購入してほくほく。しばし歓談したのち会場をぐるっとまわって畠山直哉の写真集『LIME WORKS』と町田久美の画集をお買い上げて、ずうっと欲しかった本たちだったので、かさねてほくほく。

Sunday, September 23

安野モヨコの漫画『オチビサン』の主人公、オチビサンの夏の主食は白玉で、冷や汁に入れたり、納豆と茄子の漬物と合わせたり、どんな献立にもぽんぽん入れてしまって、なかでも「冬瓜のそぼろあんかけ白玉入り」というのを一度真似してつくってみたかった。ので、朝のうちに冬瓜のそぼろあんかけをつくる。掃除を済ませて朝ごはんはピザ、グリーンリーフのサラダ、ヨーグルト、オレンジジュース、珈琲。食べ終えてから白玉もつくる。団子粉でつくったのでそれほど粘っこくならず、どちらかというとサクサクした触感になってしまったけれど、冬瓜のそぼろあんかけに入れるにはこれがほどよい噛み応えかもしれない。ようやく白玉入り冬瓜のそぼろあんかけをいただく。美味しかった! オチビサンありがとう。

PUFFYの大貫亜美が飛ばしたコメントをしていた、スタバで配布している無料冊子にはインターネット版もあり、そちらは登場人物が数人増えていてそのなかに平野紗季子がいることを平野紗季子のブログ [1]で知った。この人のブログは本当に面白くて毎回更新を楽しみにしている。このセンスは真似できない。本人のルックスも可愛くて大好き。

いつかこの言葉たちと交われたら、と願いつつじぶんの言葉の水脈を探る思いで苳ノ巻『泡箱』を愉しむ。

  1. SAKIKO HIRANO -BLOG-|.fatale|fatale.honeyee.com/ []