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Tuesday, June 26

朝はクロワッサンとスクランブルエッグとサラダを頬張りつつ挽きたての珈琲を飲んだり、昼は白米に梅干しとサイコロステーキともやしの炒めものだとかほうれん草のおひたしだとか南瓜煮だとか刻んだ胡瓜だとかミニトマトだとか卵焼きだとかが詰まった弁当を食べたり、夜は赤ワインとともに蛤とベーコンとほうれん草を酒蒸ししてミニトマトをのせたパスタを食べたりという、日常生活に戻る。旅行帰りでだるさの抜けきらない身体で未開封の仕事メールを片っ端から処理することで過ぎていった一日の最後に、『文藝別冊 [総特集]いしいひさいち 仁義なきお笑い』(河出書房新社)を一気読み。

ナンセンスギャグはセンスの共有を前提としますから読者を選別排除しがちです。怒るのもムリありません。伝聞ではっきりしないのですが松尾さんかスズキさんだったかが私の難解な4コマに『おまえバカだな』と言われているようでムカつくとコメントされていたそうです。性格のわるいところが画面に出てしまっていて不徳の致すところです。

Wednesday, June 27

夜、白米、しらす、油揚げの味噌汁、鰺の干物、野沢菜、トマトを塩で、ビール。『ノイズ 音楽/貨幣/雑音』(ジャック・アタリ/著、金塚貞文/訳、みすず書房)をちょっとだけ読んだところで寝落ち。

Thursday, June 28

夜、白米、油揚げと万能葱の味噌汁、南瓜煮、野沢菜、豚肉と玉葱とほうれん草の中華風炒め、ビール。食後の読書は『暇と退屈の倫理学』(國分功一郎/著、朝日出版社)。

思考は強制されるものだと述べたジル・ドゥルーズは、映画や絵画が好きだった。彼の著作には映画論や美術論がある。そのドゥルーズは、「なぜあなたは毎週末、美術館に行ったり、映画館に行ったりするのか? その努力はいったいどこから来ているのか?」という質問に答えてこう言ったことがある。「私は待ち構えているのだ」
ドゥルーズは自分がとりさらわれる瞬間を待ち構えている。〈動物になること〉が発生する瞬間を待っている。そして彼はどこに行けばそれが起こりやすいのかを知っていた。彼の場合は美術館や映画館だった。

美術館や映画館で動物になる。がおー。

Friday, June 29

残業。夜、ハヤシライス、トマトと胡瓜と人参とベビーリーフのサラダ、ビール。

Saturday, June 30

休日出勤。午後三時をまわったころに会社を後にして渋谷にむかい、夕刻の予定までのあまった時間に古本屋Flying BooksとTOMORROWLANDをひやかす。TOMORROWLANDを覗くとアントワープでは定休日でパリではショーウィンドウに飾られた洋服の価格におののいて退散したDries Van Notenの服が置いてある。欲しいものはすべて日本で買えばいいという話かもしれない。午後七時、クラブクアトロで歌も喋りも抜群の安定感の吾妻光良&The Swinging Boppersのライブ。「やっぱり肉を喰おう」とばかりにはライブのあとは渋谷駅のちかくの焼肉店ナルゲで夕食。

Sunday, July 1

読み忘れていた『UP』六月号(東京大学出版会)をめくっているとそこにあったのは、

確かに連載開始時は毎回のようにT嬢から「これではあまりにも学問的な内容がなさ過ぎるので、少しは『UP』誌に相応しくなるように科学的な話題をどこかに取り入れておいてください」と、厳しいダメだしがなされていた。おかげで毎回科学的にもそれなりのレベルを維持していたはず。しかしT嬢も最近はすっかりあきらめ気味らしい。恐る恐る「こんなネタでよろしいでしょうか?」と草稿を提出すると、「この連載エッセイの場合、ほのぼのとまとめておいたほうがいいんでしょうねえ」という慈愛に満ちた投げやりなメイルが返ってきて、あっさり掲載許可がおりたりする。

という須藤靖のエッセイ。

夜、真鯛とまぐろの海鮮丼、葱の味噌汁、ビール。