387

Monday, June 25

トルコの大統領選挙でエルドアンが再選。これで議院内閣制から大統領制へ完全に移行する模様。

竹中亨『ヴィルヘルム2世 ドイツ帝国と命運を共にした「国民皇帝」』(中公新書)を読む。本書も指摘するように第一次世界大戦の勃発要因は複合的なのだが、さまざまな要因が重なり合って戦争がはじまったのだと学校の授業で習った記憶がない。オーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承者とその妻が暗殺されたのを契機に世界大戦がはじまったと教科書には書いてあったかと思うが、なんで暗殺をきっかけに世界大戦がはじまるのかさっぱり理解できなかったことを思い出す。

夜ごはん、醤油ラーメン、麦酒。

Tuesday, June 26

蒸し暑い日々がつづくので、汗臭い感じのしない本を手にとる。『ロラン・バルトによるロラン・バルト』(石川美子/訳、みすず書房)。バルトによる自伝的作品は、しかしこれはこれで暑苦しいのではないかという気がしないでもない。

今朝、パン屋の女主人がわたしに言う。〈今日もいい天気ですこと。でも暑さが長すぎますね〉(この人たちはいつも、天気がよすぎる、暑すぎる、と思うのだ)。わたしが付けくわえて言う。〈そして、光がとてもきれいですね〉。だが女主人は答えない。またしても、わたしは言語のあのショート事故に気づく。もっともささいな会話こそが、その確実なきっかけになるというショート事故だ。わたしは、〈光を見る〉ことが高尚な感受性に属しているのだと理解する。いやむしろ、たしかに女主人があじわう「絵のような」光があるのだから、社会的に指標となっているのは、「はっきりしない」眺め、輪郭も対象もなくて〈具体的な形象のない〉眺め、透明感のある眺め、見えないものの眺めである(この非形象的な価値は、良い絵画のなかにはあるが、悪い絵画にはないものだ)。ようするに、大気ほど文化的なものはなく、今日の天気ほどイデオロギー的なものはないのである。

夜ごはん、豚肉のステーキ、ロメインレタスと茄子のソテー、バゲット、ギネス。

Wednesday, June 27

無駄に疲れるうえにまったく生産性のない労働ののち、午後は有給休暇を取得。

チェーホフ『退屈な話・六号病室』(湯浅芳子/訳、岩波文庫)を読む。病院でシダトレンを処方してもらう。

夜ごはん、白米、ほうれん草と長ねぎの味噌汁、鯵のひらき、たこわさ、トマトとかいわれのサラダ、麦酒。

Thursday, June 28

Yahoo! JAPANトップページのニュースだったかでちらっと読んだのは、3年の予定で小椋佳がアメリカに行くという報道で、なぜ小椋佳がアメリカに行くのがニュースになんかなるのかと思ったら、小椋佳ではなく小室圭だった。

山尾悠子『飛ぶ孔雀』(文藝春秋)を読む。

夜ごはん、素麺、大根の葉のお吸いもの、枝豆、麦酒。

Friday, June 29

まだ6月なのに梅雨が明けてしまった。暑い。

和田洋一『灰色のユーモア 私の昭和史』(人文書院)を読む。

予審判事としては、君がそういう意識はなかったというのなら、その通り認めよう、といってしまえば、特高や検事のながいあいだの苦心が水の泡になってしまう。だから頑張る、そうとしか思えなかった。予審判事というものは、すくなくとも原則上は、検事の取調べにまちがいはないが、一応は疑ってかかるはずだと思っていたのが、どうやら怪しくなってきた。自分を調べている予審判事も、ドイツの芝居の中の予審判事も同じことだ。私もしまいには投げだしたくなった。私はさいごに、
「共産主義社会の実現のためということ、そりゃ潜在意識の中にならあったかもわかりませんが・・・・・・」
といった。すると松野予審判事は、
「潜在意識!? うん、それでよろしい、潜在意識の中にでも、そういう目的があったのならそれでよろしい」
といった。かくして問題は解決した。私は潜在意識によって罰せられることになった。人を殺した夢をみたからといって、刑罰をうけた人のことを、私はきいたこともよんだこともないが、昭和の聖代において、潜在意識の中に共産主義社会の実現という観念がひらめいたかもわからんといっただけで罰せられる。一体何ということだろう。私は心の中で泣き笑いをしていた。

夜ごはん、素麺、豚しゃぶ、キムチ、大根おろし、甘長ししとう、麦酒。

Saturday, June 30

あまりの暑さに夕方に買いものに出かける以外の外出はせず。

夜ごはん、焼肉、わかめスープ、もやしと大根おろしのサラダ、キムチ、麦酒。自宅で焼肉をやると安あがりでよいのだが、四方八方に油が飛ぶので片づけが大変だ。

Sunday, July 1

暑いので外を歩きたくない。バスで図書館へ向かう。

阿久津隆『読書の日記』(NUMABOOKS)を読了。饒舌。文章を書くのを不得手とする人間からすると、よくこんなにも延々と書けるなあと感嘆するような生活と読書の記録。

夜ごはん、かれいと小松菜のパスタ、ポテトサラダ、バゲット、メロン、赤ワイン。