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Tuesday, November 3

文化の日はわりに晴れる。早朝、部屋の掃除を済ませて、ホットケーキと珈琲の朝食ののち、光文社古典新訳文庫からでているプラトンを読む。中澤務が訳した『饗宴』と『プロラゴラス あるソフィストとの対話』の二冊。『饗宴』を読んでいて感銘を受けるのは、紀元前の古代ギリシアのころと現代とで、しゃっくりの治し方に大差がないということである。

それから、私が話をしている間に、しばらく呼吸を止めてみなさい。そうすれば、しゃっくりは止まる。止まらなかったら、水でうがいをすること。それでもしつこく続くようなら、何かで鼻腔をくすぐり、くしゃみをしたまえ。これを一度か二度行えば、どんなにしつこいしゃっくりでも止まる。(p.66)

昼食は近所のラーメン屋で醤油ラーメン。このラーメン屋、店主の滑舌の悪さが驚異的で、常連と思われる人が店に入ってきて店主から話しかけたのだが、何を言っているのかわからず、相手が「はい?」と問い質していて、常連との意思疎通に難儀している。つけ麺が名物の店なので、つけ麺を注文するとタレをどれにするのか店主が聞いてくるのだが、四つほどある選択肢のうち二つくらいは何を言っているのかわからない。

食後、近くのカフェで長尾龍一『リヴァイアサン 近代国家の思想と歴史』(講談社学術文庫)を読みながら、ケーキと珈琲。まえがきを読むと、「こうして本書を、国家主義の時代に、国家批判者としての生涯を捧げたハンス・ケルゼンに捧げたい」とあって、研究対象の人物に自著を捧げていてすごい。

夕方、LOFTで雑貨を買って、青山フラワーマーケットでガーベラを買う。街中を歩きながら空を見あげると、晴天がひろがっている。文化の日はわりに晴れる。

Saturday, November 7

曇天。朝8時半、新宿サザンテラスのスターバックスでクランチーキャラメルトフィーフラペチーノという例によってまったく暗唱できる気のしないものを飲みながら、配送会社が変わったかで発売日から時間が経って届くようになってしまった『MONOCLE』を読む。スタバで流れる音楽は完全にクリスマス仕様。ハロウィンが終わると途端にクリスマスになる風土がなぜか定着しはじめているが(都内だけかもしれないけど)、七面鳥料理がメジャーではなく11月の第4木曜日という中途半端すぎる日程も災いして、日本に感謝祭(Thanksgiving Day)が根づく日は来ないと思われる。

所用があって、千歳船橋から経堂近辺を移動。昼食は、経堂コルティの叙々苑でビビンバ肉重ランチ。経堂農大通り商店街の古本屋、大河堂書店に立ち寄る。遠藤書店に寄るのを忘れた。

小田急線で新宿に移動し、新宿ニコンサロンで仲田絵美写真展「よすが」と高島空太写真展「ざわつき 2015」を見てから、伊勢丹の地下食品売り場に向かって買いものにつきあう。少し休憩したくてBOWLS cafeに向かうも満席。カフェ難民化の危機に陥りそうになるも、適当に歩いて見つけた看板に従って訪れたcafe WALLで無事着席。赤ワインのみつつしばし読書。

夕方、日暮里に移動し、SCAI THE BATHHOUSEで李禹煥「色のハレーション / 空間のハレーション」を見て満足。夕やけだんだんに向かい、古書信天翁を物色。さらに歩いて、古書ほうろうで『須賀敦子全集 第5巻』(河出文庫)、中平卓馬『なぜ、植物図鑑か』(ちくま学芸文庫)、吉田健一『英国の文学の横道』(講談社文芸文庫)、東野翠れん『イスラエルに揺れる』(リトルモア)、伊井直行『三月生まれ』(講談社)を買ってから、稲毛屋で夕食。鰻御膳、エシャット、ポテトサラダ、ほたるいかの塩辛、たこの甘辛ごま和え、生ビール。古書ほうろうから稲毛屋というゴールデンルート。

家に戻ると、郵便受けに最後の『花椿』(資生堂)が届いていた。