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Monday, July 27

小熊英二『生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後』(岩波新書)を読む。戦後70年にあたり戦争関連書籍が書店に並ぶなかで、どれか一冊をと問われれば、本書を推したい。今年出たほかの戦争関連書籍をまったく読まずに言うけれど。

Saturday, August 1

酷暑。都電荒川線で早稲田大学に向かったら、オープンキャンパスの日だったらしく高校生らしき若者たちでごった返していた。じぶんが受験生のころは、大学のオープンキャンパスなんて興味がなかったので、きょう生まれて初めてオープンキャンパスというものの現場に遭遇。それにしても外は暑い。

會津八一記念館で「写真家としてのル・コルビュジエ」展を見る。コルビュジエの撮った一見何気ない写真の数々は、記録でもなく記念でもなく、何かの動きをつかまえようする意思が潜んでいるように感じられて、妙なひっかかりをおぼえる。

陽射しが容赦なくアスファルトに降りそそぐなか、途中古本屋で一息つきつつ、早稲田大学から高田馬場まで歩く。早稲田の古本街のなかで群を抜いて瀟洒な建物の五十嵐書店で、倉橋由美子『毒薬としての文学』(講談社文芸文庫)と岩井克人『貨幣論』(ちくま学芸文庫)を買う。Cafe Cotton Clubで昼食。

家に戻って、コルビュジエを知るための素材を捜したところ、見つかったのはコルビュジエの著した『伽藍が白かったとき』(岩波文庫)と『Casa BRUTUS』(マガジンハウス)が過去記事を合体させてコルビュジエ、ライト、ローエを紹介する2002年刊行のムック。あと、Amazonでは福沢諭吉が数枚消えてなくなる値段がついているのだが、某所でなぜか500円で譲ってもらったコルビュジエのドュキュメンタリー映画のDVDボックス。

夜、いたばし花火大会に参戦。大混雑の都営地下鉄三田線を耐えて、高島平で下車。花火会場までの道すがら、セブンイレブンの店員が店の前にでて、「こちらが会場までにある最後のセブンイレブンとなります!」と商魂たくましく叫んでいる。純粋に打ち上がる花火が好きなので、デートのための付属として花火を利用するのは不満で、盛大な花火が打ちあがっているその瞬間は、花火を見ろ! 花火を! 雑談すんな! 雑談! と心中勝手に血気盛んである。花火を手段としてでなく、目的として扱え。

Sunday, August 2

昨日の花火でぐったり疲れる。今週読んだ本と雑誌、『図書』8月号(岩波書店)、蓮實重彦『凡庸な芸術家の肖像 下 マクシム・デュ・カン論』(講談社文芸文庫)、『一冊の本』8月号(朝日新聞出版)、W・G・ゼーバルト『移民たち 四つの長い物語』(鈴木仁子/訳、白水社)。