Wednesday, November 19
青山一丁目のカナダ大使館高円宮記念ギャラリーに「再結合:ナターシャ・マズルカ展」を観に行く。ここのギャラリーはわりと頻繁にとても良い展示を行っているので、もっと皆来ればいいのに、と思うのだが、基本的に土日が休館、平日は17:30までというのがネックになっている。水曜日だけは20:00まで開館しているので、この日をねらおう!
で、ナターシャ・マズルカ展、これは超絶に好みだった! 装飾好きにはたまらないだろう。1920年代のカナダで活躍した風景画家7人のグループ「グループ・オブ・セブン」の作品に示される紋様に着想を得たシリーズで、ひとつはエンボス加工されたドローイングが10枚程度並んでいる。その精巧さ、繊細さ、美しさに舌を巻く。反復をくり返しながらどこまでも永遠に続くかのような紋様を、呆れられるくらい長いこと見つめた。もうひとつはビニールを用いて紋様を描き、壁に貼付したもので、こちらも素晴らしく、中西夏之の作品群《擦れ違い/遠のく紫 近づく白斑》をほんの少し思い起こさせた。
Thursday, November 20
安野モヨコ『オチビサン 7巻』『笑う手伝いはできても流したなみだを消すことはできないんだ 気持ちが安らぐオチビサンの言葉 』(朝日新聞出版)、『監督不行届』(祥伝社)を買う。早速『監督不行届』を読もうと思ったが、夫に奪われたため、『クウネル』を読んで待つ。夫はニヤニヤ笑いながら読んでいて楽しそうだ。このヒット漫画、夫は存在は知っていたけれど読むのは初めてで、わたしは存在を知ったのがつい最近だ。刊行当時、猛烈にいそがしくて、文化的事象にまったく気を配れなくなっていたせいだろう。もう二度とあんな月日の過ごし方はしたくないものだ。『クウネル』を半分ほど読んだところで『監督不行届』が戻ってきたので、爆笑しつつ読んだ。『オチビサン』はあした以降、じっくり読もう。
Saturday, November 22
午前3時半、目が覚めラジオをつける。そのまま6時までうとうとしながら聴いて、起床。ヨーグルトを買いにコンビニまで走る。きょうはそれほど寒くないかもしれない。
渋谷へ。SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERSで、『GINZA』12月号、『&Premium』2015年1月号、片岡義男『本についての、僕の本』(新潮社、これは古本コーナーで)、『歩きながら考える step7』、そして来年のカレンダーを購入。アツコバルーで「石川竜一 zkop」を観てから、久しぶりにブックオフにも行ってゴーゴリ『狂人日記』と安野モヨコ『くいいじ』を買う。映画が始まるまで、LIL’RIRE CAFEにてワカモレバーガーとヒューガルデンをいただいてお腹を満たす。時間が余ったので、さらにベローチェで開場を待つ。アップリンクファクトリーで、特集上映「今、フィルムで体験するメカス」から『時を数えて、砂漠に立つ』(1985年)を観る。ラスト近く、橋の上にあがる花火のシーンのあたりで小刻みな地震の揺れに気づく。
Sunday, November 23
午前7時からのラジオ「Bom Tempo」、orange pekoeナガシマトモコが体調不良とのことで相方の藤本一馬がピンチヒッターとして登場。冒頭、いつもとは違った声が聞こえてきたので、一瞬何が何だかわからなかった。今夜はまたメカスの映画を2本観に行くから、少し遅めに起きて、体力温存。
渋谷。アップリンクで整理券をもらってから、Tabelaで一服。辛い・酸っぱい・苦いの味覚が大好きなわたしがなぜか、金曜日から甘いものが食べたくて仕方なくなっていたので、フォンダンショコラを食べる。十分に甘くて美味しい。もうしばらく甘いケーキはいいわというくらい十分に甘かった。17時より、特集上映「今、フィルムで体験するメカス」から『My Mars Bar Movie』(2011年)、『幸せな人生からの拾遺集』(2012年)を続けて観る。『幸せな人生からの拾遺集』は本当にもう、まさにひとつの到達点というか、これは完璧な一編なのではないか。あまりに美しく、愛おしく、鮮やかで、圧倒的だった。メカスは一体どんな想いで夜な夜な古いフィルムを見つめ続けているんだろう。いまはもういない人や、二度と訪れないであろう場所、過ぎていった時間を、たったひとり、夜中に見つめる作業をどんな想いで行っているのだろう。
上映後には吉増剛造と金子遊によるトークショー。金子さんのトークは初めて聴いたけれど、とてもクレバーな方という印象を受けた。吉増さんが言うように、メカスのフィルムは音楽の使い方も素晴らしい。