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Wednesday, August 13

ストックホルム

夜中に何度か目が覚め、朝起きてカーテンを開けたら、綺麗な晴天。手の届きそうなところに美しい市庁舎の塔が見える。そしてもちろん、あちらこちらに水が見える。水の街ストックホルム。

朝ごはんは抜き、という行程は良いのか悪いのか、どうなのかわからないけれど、少なくとも時間の節約にはなる。ストックホルム中央駅からメトロに乗って、朝7時半頃には、グンナール・アスプルンドとシーグルド・レヴェレンツ設計による森の墓地(Skogskyrkogården)に到着。

・森の墓地(Skogskyrkogården)
昨年に続き、二度目。あまりに圧倒的な力を持つ場所であるため、一度きりではなく、どうしても再び訪れたかった。今年は時間をかけて、奥のほうまで歩いた。奥へと進むにつれ、次第に口数が少なくなっていく自分に気づく。こんな気楽なわたしでも、深い思索の底に降りていく気がする。場の存在が圧倒的で、写真を撮るのもはばかられる。このわたしが、シャッターを切ることに、果たして意味があるのだろうかと考える。

中央駅まで戻り、バスに乗り換え シップスホルメン島へ。

・ストックホルム近代美術館(Moderna Museet)
Nils Dardelというスウェーデン画家の企画展と常設展を観る。この画家、シュルレアリスムの画家ということで、関連展示ではデュシャンの作品をたくさん観た。嬉しかったのが、マヤ・デレンの『午後の網目』が上映されていたことだ。この短篇好きなので。3回くらいループして観てしまった。併設のカフェで海を眺めながらお昼ごはん。海老のスモーブローとスパークリングウォーター。

海沿いの道を歩き、王冠のオブジェが取り付けられた橋を渡り、またバスに乗る。何度も確かめたはずなのに、間違ったバスに乗ってしまった。でも、バスの運転手が親切な人で、目的地行きのバスが停まる、すぐそばのバス停まで乗せていってくれた。

・ティーレスカ・ギャラリー(Thielska Galleriet)
ユールゴーデン島のはずれにある。大好きなムンクの絵の所蔵数が北欧でもトップクラスだと知って、出かけた。ここは素晴らしかった。今回の旅でいちばん良かった美術館だった。趣味のよい邸宅ギャラリーの中は明るく、部屋によっては窓から海が見え、上階の小部屋には四方の壁に飾られたムンクの作品と、真ん中にニーチェのデスマスク。なんとハンマースホイの絵も、ひとつあった。

ユールゴーデン島は、昨年も足を運んでいるのだけれど、どうにも時間切れで、入口あたりを少し歩いただけだった。今回は、バスに乗ってはずれまで行ってみたわけだけれど、島の中央部には草原が広がっていて、馬が草をはむ景色なども見られて嬉しかった。島の最東端にあるこの美術館、どれくらいお客がいるのだろう、帰りのバスは間違えないようにしないと、帰りのバス停はどこかしら、迷ったりしないかしら、と不安だったけれど、観光客もそこそこいて、帰りのバス停にはバスを待つ人々の列もあり、まったくの杞憂だった。旅先では、というか旅先でなくてもそうだが、むやみやたらに心配しないこと。

バスで市内まで戻り、次の目的地へ。

・Sven-Harrys
スウェーデンのファッションをめぐる展示「Swedish Fashion:2000-2015」を鑑賞。

夕食は、インターネットで人気店との情報を得たPelikanというお店に行ってみる。看板メニューであるミートボールを迷うことなく注文。小さなハンバーグともいえる、大きなミートボール。つけ合わせはベリージャムとピクルス。ほか、サラダ、マッシュポテト、バゲット。本当に本当に、美味しかった。ここ、おすすめ。しかし身体をまっすぐ伸ばして歩けないくらい満腹になって、帰り道は少し辛かった。