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Monday, February 17

ラジオが好きで、昔は深夜ラジオが好きだったけれど、いまは早朝ラジオがいちばん好きで、だいたいいつも4時台からラジオをつけて、ひとりで聴いている。7時頃から早朝感がなくなり、単なる朝のラジオという感じにはなるが、リアルタイムで時を告げる朝のラジオはみんなで一緒にこの朝を越えてる、という気がして好きだった。にもかかわらずここ数年、朝食をとりながら朝番組を聴かず録音した番組ばかりを聴いてきたのは、夫の、出勤前の忙しない時間にリアルタイムの番組を流すと追い立てられる感じが倍増する気がする云々、という理由によるものだったわけだけれど、このたび、ま、ピータ・バラカンだったらいいか、ということで数年ぶりに朝ラジオを復活させることにした。早速、7時からInterFMの「BARAKAN MORNING」を聴きながら朝ごはん。

Tuesday, February 18

朝、InterFMの「BARAKAN MORNING」で吾妻光良 & The Swinging Boppersの「栃東の取組見たか」がかかる。

いくつかの書店で、法政大学出版局の「叢書・ウニベルシタス 1000号突破記念フェア」なるものをやっているという情報を得たため、早速行ってみた。ウニベルシタスがずらりと並ぶ白亜の本棚を目にして、一瞬ここは神保町の東京堂かと錯覚する。無事『叢書・ウニベルシタス 1000番到達記念ブックレット』を手に入れ、せっかくだから一冊買おう! と迷った末にガストン・バシュラール『空と夢 運動の想像力にかんする試論』(宇佐見英治訳)を選び、レジへ。ウニベルシタスといえばなんとなく、バシュラール、シオラン、ドゥルーズなんかが看板著者だと個人的には思う。実際もっと刊行されている著書はいるはずだけれど。突然食べたくなった福砂屋のカステラも買って帰る。

夕方、InterFMの「Mondo Musica」でも吾妻光良 & The Swinging Boppersの「俺たち相性いいぜ」がかかる。普段ほとんどかからないのに、なぜに一日2回も吾妻さんかかるの。嬉しいけど。

Wednesday, February 19

いつもの花屋で紫のスイートピーと珊瑚色のバラを買う。2012年6月にパリで買ったハーブソルトが先々月くらいにやっとなくなったので、スーパーでゲラントの塩も買う。

Saturday, February 22

午前4時に目覚めてラジオをつけ、ベッドのなかで聴く。今朝はスティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソン、レイ・チャールズ、ブルース・スプリングスティーン、ビリー・ジョエル、ローリング・ストーンズ、ダフト・パンク、ボン・ジョヴィ、オアシス、ビートルズ、のどれも永遠に好きな曲ばかりかかり、この神がかった選曲はいったい何なのだ。スペシャルウィークだから?

クロワッサン、ヨーグルト、珈琲の朝食を済ませ、近所のスーパーに食材の買い出しに行ってから、いそいそと原美術館へ向かう。やると知ったときからずっと楽しみにしていたミヒャエル・ボレマンスの展覧会、ノロやら雪やらに阻まれたりしていたけれど、このたびやっと行くことができた。「ミヒャエル・ボレマンス:アドバンテージ」、予想に違わぬ素晴らしさ。絵画を主とした現代作家だと、2007年にここ原美術館で観たアドリアナ・ヴァレジョンを起点として、ジグマー・ポルケやマルレーネ・デュマス、アントニオ・ロペス、リュック・タイマンス、ザオ・ウーキー、小笠原美環、など次から次へと魅力的な作家にめぐりあえている。幸せなことだ。

原美術館を後にして有楽町へ。ギャラリー小柳でミヒャエル・ボレマンス「Girl with Hands」を観て、ボレマンス行脚。続けて、メゾンエルメスでクリスチャン・ボヌフォワ、資生堂ギャラリーで今井俊介「range finder」、ニコンサロンで「藤岡亜弥写真展」を観る。OAZO1階のPANINO GIUSTOで、ほかの人が注文したパニーニ美味しそうだなあ、ここでは数年前に生ハムを食べてビールを飲んだなあ、と思い出しながらりんごケーキを食べて休憩。

その後、東京ステーションギャラリーで「プライベート・ユートピア ここだけの場所 ブリティッシュ・カウンシルコレクションにみる英国美術の現在」を観る。これ、それほど話題になっていないような、そんなことないのかな、どうなのかわからないけれどとても面白かった。ブリティッシュ・カウンシルコレクションというものが専用の展示施設を持たず、「壁のない美術館(Museum Without Walls)」として、“常に半分以上の作品を英国外で展示する”というポリシーを持つことなどを初めて知り、まずそのことに驚く。ハルーン・ミルザの≪タカ・タック≫、じーっと観てしまった。たぶんあの時いた客のなかでわたしがいちばん長く観ていたかも。そしてここでも、ボレマンスで勢いづいているせいか絵画作品に強く惹かれ、ローラ・ランカスターという初めて知った女性画家の作品3点が最も印象に残った。彼女の絵は所有者が誰だかわからない、打ち捨てられたような古い写真を題材に描かれており、抽象性が高く、視線がキャンバスのあちらこちらをさまようように何とも言えない茫漠とした心持ちにさせられる。いつか日本でも多くの作品を見せてほしい。

本日の最終目的地、新宿まで移動し、マルイの豆ちゃでカツ丼御膳とビール。K’s cinemaでハル・ハートリー監督『愛・アマチュア』(1994)を観る。ああ、これですべて観てしまったよ、終わってしまった、ハル・ハートリー特集。寂しいよう。

Sunday, February 23

夜、夫が不意に「あしたボレンマンスの画集が届きます」と言った。面食らった。きのう観た展示がとてもよくて、昨晩、ネットで注文したとのこと。仕事早いな。売店で画集を買おうかどうか、うんうん悩んだので、とても嬉しい。子どもの頃、クリスマスの朝に、ツリーの下にプレゼントを見つけた時の気分だ。あしたの到着を楽しみに待ちながら眠る。