Monday, September 30
ブルーグレーの夕闇に溶けていく街が綺麗だった。
『図書』10月号(岩波書店)を読んだら蜂飼耳の連載が今月で終了してしまっていた。残念。長島要一「「作家」キルケゴールの虚と実(上)」面白い。8月、コペンハーゲンの王立図書館「ブラック・ダイアモンド」でキルケゴール展をやっていたが、観ずに通り過ぎた。観るべきだったな。こういう後悔は虚しい。
夕ごはんの片づけの後、台所の流し台に立ったまま、よく冷えた巨峰を食べた。頂き物で、甘くてみずみずしい。夫に「全部食べるの?」と訊かれ「まさか!」と答えたけれど、あやうく大きな一房みな食べてしまうところだった。こんなに美味しい巨峰を食べたのはいつぶりだろう。“汁がだらだらと指をつたって手首へ流れる”。ひとり、ことばの食卓ごっこをした。
『装苑』11月号(文化出版局)を読んで寝る。
Tuesday, October 1
10月になった。朝4時半に起床、5時から新しく始まるラジオ番組を聴いて、『白い人びと』(フランシス・バーネット/著、中村妙子/訳、みすず書房)から庭について書かれたエッセイを読んだ。雨ふりだけど、気温は少し高め。
Thursday, October 3
和紙を幾重にも折って色水に浸けると、折り目のところの色が白く抜ける。今朝、雲間からところどころのぞいていた青空はそれを思い出させた。
1997年からアーティスティック・ディレクターを務めていたマーク・ジェイコブズがルイ・ヴィトンを去るとの報。後任はニコラ・ゲスキエールとの噂もあって、ニコラは好きだが、意外性のない人選。
夜は、夏の間はご無沙汰だったラーメンを久方ぶりに食べる。
Saturday, October 5
午前4時半起床。ラジオ。5時から、今月から始まった元気なプログラムを聴き、6時から、きょうから始まるプログラムを聴く。朝5時から元気な番組をやるというのは面白いな。早朝のラジオは本当にいいものだ。
きょうは10月下旬の陽気だそうで、かなり肌寒い。でもわたしは室内であれば、半袖に素足でまだ平気。二十代の終わりから三十代のはじめにかけて、身の丈に合わない激烈な働き方をしてしまったわたしはそれ以降ますます自律神経が失調してしまい、少しでも暑さを感じると体感温度が上がって暑くて暑くてたまらなくなる。もともとはひどい寒がりだったのに、体質が変わってしまった。これは更年期になったらどんなことになるのだろう。また寒がりに戻るのかもしれない。
くるみパン、目玉焼き、トマトとベーコンのスープ、珈琲、と久しぶりに盛りだくさんの朝ごはん。その後、これまた久しぶりにピクルスをつくる。きょうはカリフラワー、にんじん、大根、きゅうりを使った。
降りつづく雨に足元を濡らしながらバスに乗って図書館へ。きょうは地理、紀行の棚を中心にじっくり見る。硬派な印象の中公新書から池内紀『異国を楽しむ』が目についたので手にとってパラパラ捲ってみたら、この新書らしからぬゆるふわ文体でびっくり。お茶を飲みながら海外旅行にまつわる世間話をしているような印象で、和むなぁ。池内紀がこんな本を出していたなんて知らなかった。なんだか面白くて借りてしまう。
帰宅すると『花椿』(資生堂)と『UP』(東京大学出版会)が届いていた。ビール一杯飲んでひとやすみ。『花椿』の穂村弘の連載は毎度ながらほんとに面白い。というか、可笑しい。オカシイ。
Sunday, October 6
5時過ぎ起床、ラジオ聴きながらうとうと。曇り空。朝ごはん、くるみパンとハンガリーパンを少しずつ、目玉焼き、蒸かしじゃがいものバジル風味、野菜のピクルス、ヨーグルト、珈琲。午前中はずっと台所にいた。きょうは鶏肉のピクルス煮込みというのを初めてつくってみた。カリフラワーでピクルスをつくっておいて、オリーブオイルと塩胡椒で炒めた鶏肉に味の浸みたカリフラワーのピクルスとピクルス液、玉ねぎのくし切りを合わせて水も加えて煮る。美味しい。少しばかり手のこんだビネガー煮だ。お昼、近所の焼肉店で石焼ビビンバを食べていたら温かい陽の光が射してきて、温かいどころか暑くてたまらなくなる。食材をどっさり買い、花屋で紫陽花とダリアとバラのブーケも買って帰宅。
夜は久しぶりに自宅シネマ。ジャック・ロジエDVD-Boxから『ブルー・ジーンズ』(1958年)、『パパラッツィ』(1963年)、『バルドー/ゴダール』(1963年)と、短編を3本観る。『パパラッツィ』はやっぱり面白い。長編でもいいのに。ジャック・ロジエはドラマだとダラダラダラダラダラダラダラダラ撮るくせに、ドキュメンタリーだとシャープでスタイリッシュにキメて撮る。