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Tuesday, March 5

夜、アレクサンドル・ソクーロフの撮った『ロシアン・エレジー』(1993年、ロシア)を鑑賞。本日の教訓。ビールを飲んだあとにソクーロフを観てはならぬ。安眠のためにツタヤに金を払っているのではない!

Wednesday, March 6

今更ながら気づいたこと。映画『かもめ食堂』のエンドクレジットにはフィンランド航空(フィンエアー)の名前がでてくる。でも、映画のなかで、もたいまさこがロストバゲージの憂き目に遭うのって(しかもずっと荷物は行方不明)、軽くフィンエアーをディスってることになってないか。と、夏休みに北欧を旅したい気分が高まって、ネットで航空会社を物色しながらそう思った。

さしあたりの北欧旅行参考文献としては、『北欧の旅 カレル・チャペック旅行記』(飯島周/訳、ちくま文庫)。21世紀の旅にはまるで役に立たなそうな一冊を選ぶ。

Thursday, March 7

『UP』3月号(東京大学出版会)で、須藤靖が「本『UP』誌において、学問に無関係な文章を書く事が期待されているのは、「すゞしろ日記」を除けば私だけではあるまいか」と書いている。しかし『UP』誌において、おもに山口晃の漫画と須藤靖の連載を期待しているのは私だけではあるまい。私だけだったらどうしよう。

Friday, March 8

有給休暇をとって向かった先は、文京区本駒込にある東洋文庫ミュージアム。リニューアルの報せを耳にしたのはもうずいぶん前のことで、『東京人』(都市出版)で特集が組まれた号を参照し、ああまた堀江敏幸が原稿を寄せているなと確認していたにもかかわらず、ずっと訪れる機会を逸していた東洋文庫。やっと来た。まずは併設のレストラン、オリエント・カフェで昼食。ランチセットのメニューを確認すれば、ザビエルセット、マルコポーロセット、文庫長セット、プチャーチンセット、オイレンブルグセット、1日10食限定の文庫ランチ「マリーアントワネット」と、どうかしているネーミングの品が並ぶが、建物は綺麗で、庭を臨む席に案内され、注文したマルコポーロセット(小岩井農場たまごのふわとろオムライス、サラダ、デザート、珈琲)は美味しい。

企画展「もっと北の国から 北方アジア探検史」をぐるっと見てまわったあと、有楽町に移動。ビックカメラのビル(読売会館)にある角川シネマ有楽町で「大人の音楽映画祭」のなかから、『アントニオ・カルロス・ジョビン』(ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス、ドラ・ジョビン/監督、2011年、ブラジル)を鑑賞。ジョビン本人の映像やジョビンの曲を唄う歌手の映像がつぎからつぎへと繰り出される作品。途中、マルシアが出てきておどろく。

帰宅後、夜は自宅シネマ。宅配ビザを食べながら『ル・アーヴルの靴みがき』(アキ・カウリスマキ監督、2011年、フィンランド/フランス/ドイツ)を鑑賞。

Saturday, March 9

横浜美術館で「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」を鑑賞ののち、花粉症の恐怖に怯えながらみなとみらい周辺を散歩し、チャランポランで昼食。

Paul Grugman, End This Depression Now! をいまごろになって読了。読みたいなと思って放っておいたら、さっさと山形浩生が翻訳してしまい、日本はインフレ目標を掲げる政権に変わっていた。

チャペック以外にも北欧関係の本を読む。『北欧デザインをめぐる旅』(萩原健太郎/著、ギャップ・ジャパン)と。『北欧の和み デンマークの扉をあけて』(稲垣早苗/著、アノニマ・スタジオ)。前者はしっかりした内容で読みものとしても旅情報の収集用としても有益だった本。後者はアノニマの本田からほっこりした旅の本かと思ったら、意外にも内省的な昏い内容。

Sunday, March 10

『社会学』(市野川容孝/著、岩波書店)を読む。