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Monday, September 4

雨。読書。青柳いづみこ『パリの音楽サロン ベルエポックから狂乱の時代まで』(岩波新書)を読む。夕食、蛸とほうれん草としらすのパスタ。夜、フレッド・アステアの映画を見る。『青空に踊る』(エドワード・H・グリフィス/監督、1943年)。

Tuesday, September 5

読書。今井むつみ・秋田喜美『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書)を読む。実質オノマトペ論であるが副題にすらオノマトペという文句を挿入しなかったのは、オノマトペを掲げてしまうと手に取る読者を限定しかねないという営業的な戦略だろうか。夕食、蛸とベーコンとほうれん草のパスタ。「サントリー プレミアムモルツ」を飲む。夜、フレッド・アステアとビング・クロスビーの映画を見る。『スイング・ホテル』(マーク・サンドリッチ/監督、1942年)。フレッド・アステアの映画はイカれた役柄設定を華麗な踊りで帳消しにしているところがある。本日届いた東京大学出版会のPR誌『UP』の新刊案内に目をとおすと、北岡伸一『日本陸軍と大陸政策 1906-1918年』が復刊とのこと。ただ元々の版と本体価格に変更はなく税込6820円なので、気軽に買うわけにはいかないが。

Wednesday, September 6

読書。『むしろ幻想が明快なのである 虫明亜呂無レトロスペクティブ』(高崎俊夫/編、ちくま文庫)を読みはじめる。「かなうことなら、この人の遺した文章をすべて読み尽くしたい」と帯の推薦文を小西康陽が書いているが、なるほど小西康陽が好みそうな筆致の文がたくさん並んでいる。会社からの帰り道で雨に降られる。夕食、「sakana bacca」のばらちらし、絹ごし豆腐と若布の味噌汁。「サントリー プレミアムモルツ」を飲む。夜、フレッド・アステアとビング・クロスビーの映画を見る。『ブルー・スカイ』(スチュアート・ヘイスラー/監督、1946年)。

Thursday, September 7

東浩紀が新刊で理論的な書籍を上梓したらしく、『存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて』(新潮社)を同時代的に読んだ者としては目を通しておくべきか逡巡していたところ、泥酔した東浩紀がSNSで岸政彦に絡んで酔いが醒めたあと平謝りしている騒動が発生していると教えてもらい、俄然関心が湧いてきたので会社帰りに書店で購入する。夕食、茹で卵とトマトと紫玉葱を添えた「無印良品」のチキンペッパーフライ。「キリンクラシックラガー」を飲む。読書。『むしろ幻想が明快なのである 虫明亜呂無レトロスペクティブ』(高崎俊夫/編、ちくま文庫)を最後まで。おもしろく読む。そういえば筑摩書房のPR誌『ちくま』8月号における編者の高崎俊夫による販促の文章をめぐって、翌月の『ちくま』でお詫びと訂正が入っていた。

8月号に掲載されました高崎俊夫「虫明亜呂無ふたたび」に誤りがございました。玉木正之氏はスポーツ・ジャーナリストではなくスポーツライターもしくはスポーツ文化評論家であり、『虫明亜呂無の本・2 野を駆ける光』は音楽論や恋愛論を含む内容で、「スポーツをテーマにした評論、小説に絞られて」おりません。心からお詫びし、訂正申し上げます。(高崎俊夫・編集部)

後者は訂正すべき内容であるが、前者はジャーナリストだろうがライターだろうが文化評論家だろうが心底どうでもいい話なので詫びを入れる必要性を感じない。

Friday, September 8

台風接近中により土砂降りのなか会社に向かう。読書。『UP』9月号(東京大学出版会)を読む。夕食、白米、絹ごし豆腐とほうれん草の味噌汁、豚肉とキムチの炒めもの。「キリンクラシックラガー」を飲む。ジャニー喜多川の性的虐待に対してジャニーズ事務所が正式に認めて謝罪したようだが、全体としてはぬるま湯対応で炎上の鎮火に苦戦しているらしい。じぶんの書いたことはすぐに忘れてしまうので、過去この日記でジャニー喜多川について何か言及しただろうかと思って検索してみたら2019年9月の記録につぎのような記述があった。

エコノミスト誌のアプリ「Economist Espresso」で本日のニュースを読んだらジャニー喜多川の話題がでてきて、なぜきょうジャニー喜多川なのかと思ったら、お別れ会が東京ドームで催されるらしい。エコノミスト誌は日本の空気を読むようなことはしないので、記事の内容はジャニー喜多川の性的虐待疑惑のことがほぼすべて。

ジャニー喜多川の性加害を告発したBBCによるドキュメンタリーが注目を浴びる大きな引き金になったことは確かだが、それ以前にもちゃんと「報道」されている。日本の大手メディアとその情報を享受する大衆が狡猾に無視してきただけであって、「そんなこと知らなかった」との言説で逃げ切ろうとする振る舞いは、ふつう只の無知という。

Saturday, September 9

東京地方から台風は過ぎ去ったものの、小雨が残る曇天模様。新宿駅から「あずさ」に乗って立川駅まで。駅前に凄い人の数の大行列ができており何かと思えばパチンコ屋の開店待ちでその光景に吃驚する。PLAY! MUSEUMで「エルマーのぼうけん」展を見学する。昼食は「AFURI」で柚子塩ラーメンを食べる。商標権をめぐる揉め事でそつなくこなせず炎上中の「AFURI」だが店内はとても繁盛していたので、ネット社会の火種による実社会における影響は軽微なものにすぎない一事例なのかもしれない。個人的には不買運動やら買って応援やらの仕草にはあまり興味がない。「Rust Living with plants」でドライフラワーを買って、「AME&KAZE」で珈琲豆と番茶を買って帰途に就く。途中で近所のスーパーマーケットに立ち寄って食料品の調達。アイロンがけ、常備菜づくり、夕食の支度。牛肉のステーキ、ツナマヨソース、バゲット、コーンポタージュ、ベビーリーフと蛸と紫玉葱と胡瓜とキャロットラペとレモンのサラダ。甲府の「サドヤ」で買った白ワインを飲む。

Sunday, September 10

朝食、半熟卵、サニーレタスとトマトと紫玉葱のサラダ、キャロットラペ、トウモロコシ、あんバタートースト、ヨーグルト、珈琲。洗濯。読書。速水健朗『1973年に生まれて 団塊ジュニア世代の半世紀』(東京書籍)を読む。分析の膂力がやや貧弱。昼食、白米、小松菜と茄子の味噌汁、鰹のたたき、大根のつま、焙じ茶。読書。マガジンハウスの雑誌を二冊。「大人も深読みしたい こどもの本100」の『Casa BRUTUS』と「僕らのショッピングリスト101。/My Long Shopping List 1 …」の『POPEYE』。『POPEYE』の「シティボーイの憂鬱」に目を通すと、円高と円安の初歩的な意味の理解ができておらず、いまが円高で外国製品を買うのに苦労すると頓珍漢なことを書きながら途中でドルが高いと正しいことを言いだして支離滅裂な文章になっている。執筆者および編集部の知的水準は大丈夫だろうか。ところでマガジンハウスはジャニーズ事務所との今後の関係について声明を発表しないのは不誠実だと思うのだが、何も云わずに済ますつもりだろうか。夕方、自転車に乗って近所の図書館まで。最近は買った本ばかりを読んでいるが、久方ぶりに図書館で予約の手続きをして学術書を数冊借りる。夕食、浅利と蛸とベーコンとトマトとピーマンのパスタ。「アサヒ生ビール マルエフ」を飲む。