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Tuesday, December 19

トランプ米大統領が繰り出す暴挙とも思えるような政策に対して、報道は低迷する支持率を挽回するためだと解説する。たとえば、エルサレムをイスラエルの首都と認定してアメリカ大使館を移転させる発表をした際は、共和党保守派の支持を維持するためだとの説明がなされる。実際そのとおりなのかもしれない。しかしドナルド・トランプという存在がすごいのは、たんに思いつきで放言しているだけではないかと疑ってしまうところにある。ほかの政治家であれば思わないが、トランプであればひょっとすると、と考えてしまう。昨日の晩に思いついたことを翌日喋ってるだけなんじゃないか疑惑。ビジネスマンよろしくトランプの手帳には「やることリスト」がずらりと書いてあって、そういえばこれやってないから明日言おう、という感じで。それくらい発言に脈略がない。

Wednesday, December 20

夕餉の時、鳥取県の米子市立図書館が「大人のための100選」 [1]と題した企画をやっていると教えてもらう。悪くない選書だとは思うけれども、自然科学の本が入っていない人文・社会科学寄りのラインナップなので、「大人のための」と掲げるのはいささか誇大な感じもなくはない。ここで挙げられている書物の系統に多少なりとも足を踏み込んだ人ならば知らない著者はほとんどでてこないので、あまり驚きはないセレクトという印象をうける。
過去、このての推薦図書一覧でいちばん狂っていると思ったのは、『八本脚の蝶』(ポプラ社)に収められた書店員「雪雪さん」が著者である二階堂奥歯に向けて選んだ本の羅列で、これもまた人文寄りのナインナップではあるが、爾来、あれほどイカれた目録は見たことがない。

Thursday, December 21

エコノミスト誌の今年最後の号をiPadで。夜、柴崎友香『千の扉』(中央公論新社)を読む。

Friday, December 22

会社帰りに日比谷公園で催されているクリスマスマーケットを覘く。クリスマスマーケットの雰囲気を味わいたかっただけなので、出店の食事やアルコールに手を出すことはせず、ぐるっとひとまわりして会場をあとにする。おいしそうな匂いが誘惑してくるものの、日が暮れるとぐっと寒くなるので外で飲食するのは厳しい。などと考えていたら、妙齢の女性たちが「食べるぞー! 飲むぞー!」と気合の入った声を出しながら会場入口に向かっていった。こちらは外で食べる体力も気力もないので、銀座のコリドー街にある「Belgian Brasserie Court Antwerp Six」にて夕食をとる。ベルギービールとベルギー料理。

Saturday, December 23

晴れ。祝日が土曜日という今年幾度か繰り広げられた悲劇は、師走にとどめを刺す。
二子玉川駅下車。玉川高島屋の地下食料品売場でクリスマス向けの食料を調達する。「GRAMERCY NEWYORK」でケーキを買って「RF1」でローストチキンとパイを買って「Bütz Delicatessen」でローストビーフを買う。必要な買いものが済んだら早々に二子玉川を引き揚げ、自宅に戻って食卓の準備。シャンパンをあける。
夕方から、VHSに録画されたむかしのテレビ番組を見る。1993年に公開予定の洋画・邦画の予告編を見て出演者らが好き勝手なことを喋りまくるという3時間におよぶ特番。司会は大槻ケンヂと東ちづる、ゲストは泉谷しげる、デーブ・スペクター、坂上忍、山崎哲、戸川純、高木美保、福島瑞穂、桜田淳子。みんな若い。だらだら映画について喋るだけという、いま考えるとよくわからない適当すぎる番組だが、泉谷しげるの映画にかんする知見に感心する。知識の豊富さから相当な映画好きであることが伺われ、それもたんなる知識だけでなく、公開予定の映画のなかから一本だけを選ぶとすれば何を見たいかとの問いに対して、北野武の『ソナチネ』だと回答する的確さももちあわせている。あとこの番組、デーブ・スペクターの繰り出すボケを誰一人拾わないのがよい。

Sunday, December 24

クリスマスイブ。曇り。早朝溜まった洗濯物を干してワイシャツとハンカチにアイロンをかける。朝食と一緒にデザートとして「GRAMERCY NEWYORK」で購入したモンブランを食べる。
午前中、借りていた本を返すために図書館へ。借りた本はほとんど読めずじまいのまま返却期限をむかえた。ここ最近本を読むペースが鈍化している。時節柄、来年こそは読書量を増やそうなどと考えがちだが、先延ばしするような意思決定は大抵駄目で、いまこの瞬間からはじめなければ見込みはない。本を読もうと思ったものの、すぐにねむくなる。駄目だ。来年は、というか明日からは日々の記録としての日記くらいはまめにつけよう。

  1. 大人のための100選(米子市立図書館) []