Saturday, March 18
上野の森美術館で毎年恒例、「VOCA展2017 現代美術の展望 – 新しい平面の作家たち」を観る。高階秀爾、酒井忠康が選考委員を退任し、今年の選考委員長を務めた建畠晢もたしか今年いっぱいで退くのだったか、今後は選考委員も流動的になるらしく、これまでのVOCA展からじょじょに変わっていくのだろう。ここ数年あまりピンとくる作品がないのだけれど、今年は、個人的な好みとしては高松明日香(《印象材:鳥》自らが撮影した写真や映画の一場面を素材に人物や風景をアクリル絵具で描く)がベストかな。あとは来田広大(《Bird’s-eye view》山でのフィールドワークをもとに俯瞰的な視点で風景を描く。チョークを使うのが特徴。チョークは絵具と異なり耐久性がないからいつか消えてしまうのが前提となっている)と上田良(VOCA奨励賞。クール)が印象に残った。
次の目的地に向かっててくてく歩いていたら、道端で同じく美術展をまわっていた知人に遭遇。これだからギャラリーめぐりは気が抜けません。続けてSCAI THE BATHHOUSEで「宮島達男 LIFE(complex system)」を観る。壮年のフランス人が4名ほど観に来ていた。日暮里まで歩く。参道はお墓参りの人々でいっぱいだ。山手線で浜松町まで移動。
Gallery916で「石塚元太良 Demarcation」。この展示はとても楽しみにしていた! 人間が生活するには過酷すぎる大地を縫って走るパイプラインの壮観な景色を大判プリントで観られて幸せだ。このシリーズはいつ知ったのだっけと調べると作家が荒野を走るパイプラインに出会ったのが2003年とのこと。そんな最近のことなのか。初めてこのパイプラインシリーズを観たときからわたしはこのイメージの虜になってしまって、京都に行くたびに蹴上発電所のパイプ(導水菅)を毎回写真に撮るのも、このパイプラインの写真の影響なのだと思う。
その後、TERRADA Art Complexへ。KOSAKU KANECHIKAで「舘鼻則孝 CAMELLIA FIELDS」、SCAI PARKで「ダニエル・ビュレン、ジェニー・ホルツァー、河原温、ダレン・アーモンド、李禹煥」、山本現代で「篠原有司男 我輩の絵にパンチが炸裂!」、uranoで「Somewhere I Have Never Travelled ~ 切り火を持って」、YUKA TSURUNO GALLERYで「田村友一郎 G」を観る。昨年9月にオープンしたギャラリーにまた新たにSCAI PARKなども入って、充実したギャラリーフロアになった。ここでじゃんじゃかいい展示をやってほしい。まとめて観られるのは本当に助かる。そういえばギャラリーには篠原有司男&乃り子夫妻も在廊していた。『キューティー&ボクサー』そのままのお二人。乃り子さんはとても可愛らしい。彼女の若い頃の写真を見ると、なんというか、確実に年はとっているのだけど、まったく時がとまっているようにも見える。
それにしても篠原有司男は85歳にしてあの身のこなしは何なのだ。なぜあの年齢であんなに身軽に動けるのだろうか。あの身体の動きはまるで20代だよ、すごすぎる。ギャラリーを後にして、運河沿いを散歩して、夜は、TY HARVORにて、ケールとキヌアのサラダ、シャルキュトリーボード、フライドポテト、クアトロフロマッジ、ビール。