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Monday, July 24

夏の暑さは健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を著しく阻害するので憲法違反ではないかと毎年思う。

犬養道子が死去との報せ。犬養道子の名前を目にして反射的に思い起こすのは彼女の評論活動でも難民支援活動でもなく、佐野洋子が『がんばりません』(新潮文庫)のなかで書いている「自慢すんな自慢」である。犬養道子の著作『ある歴史の娘』を読んだ佐野洋子はつぎのように書く。

私は一頁読むごとに血が頭にのぼり本をたたみにたたきつけるのである。
「自慢すんな自慢」そして又いそいで本を拾っては読みたたきつけては読み、「自慢じゃない表現は出来んのか、自慢じゃない表現は。この様に貴重な歴史的立場に居た運命を自慢たらたらで表現しなかったら、これは大変なもんなんだぞ、その根性の悪さを誰も直してはくれんかったのか、もったいない」と私は叫ぶのである。

犬養道子には悪いが、犬養道子といえばこれである。

Tuesday, July 25

本日は暑さがやや沈静化。

もうすぐ夏季休暇もあることだし旅や移動を感じさせてくれる本を読もうと数日前から多和田葉子の本をまとめて再読している。『言葉と歩く日記』(岩波新書)、『ボルドーの義兄』(講談社)、『溶ける街 透ける路』(日本経済新聞社)、『容疑者の夜行列車』(青土社)。

Wednesday, July 26

きのうの天気は継続せず。非人道的蒸し暑さ。

アメリカ合衆国で医療保険制度改革法(オバマケア)を限定的に廃止する法案が迷走している。一部の共和党議員の造反により否決されそうな模様。かたや大統領が対ロシア制裁を緩和/解除する際には議会の事前承認を義務づける法案は賛成多数で可決しそうである。トランプかたなし。法人税の国境調整の導入案も雲行きは怪しく、大統領就任時に想定されていたとおり、トランプ政権の内政は議会運営の躓きによりほとんどうまくいっていない。前大統領のオバマを徹底的に批判してきたトランプだが、政策を議会に阻まれるという意味では皮肉にもオバマと似たような状況になっている。大統領の任期終了までまだだいぶ時間はあるが、ツイッターをまめに更新していた程度の実績で終わるかもしれない。トランプが成し遂げた経済的効果として確実にいえるものがあるとすれば、トランプと敵対するニューヨーク・タイムズ紙の電子版有料会員数が増大したことだろうか。経営的にはニューヨーク・タイムズはトランプに感謝してよいのでは。

Thursday, July 27

通勤の電車内で港千尋『バスク七色』(Tokyo Publishing House)を再読する。

稲田朋美防衛大臣が明日にでも辞任するとのこと。趣味で右翼をやっていればよいのにという程度の人間が大臣に就任したのが間違いだったといえるが、思い起こせば民主党政権時代には趣味で左翼をやっていればよいのにという程度の人物が総理大臣を務めていた気もする。

Friday, July 28

堂本剛が突発性難聴を患ったらしいが、おなじように突然左耳の聴力が低下したので耳鼻科に行く。検査の結果、聴力はかなり悪いが(左耳だけでなく右耳も相当悪い)突発性難聴とは違うだろうという診断。聴力が悪いのは高校生の頃からなのでもう遅いといえば遅いが、右と左で聴こえる音量がちがうのはかなり不便で困る。治るかもしれないし、もう治らないかもしれない。難聴の治療はとても難しい。突発性難聴などは発症原因は不明で決定的な治療法もないという現代医学は何をやっているのかと問いたくなるような疾患である。ストレスが原因などという回答は、医学が敗北宣言をしているに等しい。

Saturday, July 29

昼すぎに食材の調達のため商店街まで出かけるも暑くてつらい。天気予報は午後から雲行きが怪しくなると伝えていたが、太陽が眩しい。つらい。夕方、冷房の効いた部屋でパソコンに向かってエコノミスト誌を読んでいたら窓の外が灰色になってきた。土砂降りになる。隅田川花火大会はどうなるのだろうと思ってインターネット界隈を逍遥してみたら予定どおり開催するらしい。東洋経済オンラインが「隅田川花火、特等席で気になる天候不順対応」との図ったかのような不穏な記事を載せている本日、雨は一向にやみそうもない。でもやるのだ。新聞報道によれば隅田川の花火大会は総予算が1億9000万円(そのうち資材費を含めた警備費は7700万円)らしいので、立派な「事業」である。やめたくてもやめられないのかもしれない。

Sunday, July 30

なんやかんやで休日は一瞬で終わってしまう。