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Monday, February 1

『みすず』読書アンケート特集号が届いた! あの、毎年全国津々浦々に届いた届いたの声があふれても一向に我が家には届かなかったみすず読書アンケート特集が! 今年は早いのでは?

夜、そぼろごはん、ちぢみほうれん草としめじの味噌汁、焼き鮭、しらすとかいわれをのせた冷奴、ちぢみほうれん草のお浸し、キムチ、ビール。デザートにりんご。満腹。食後は『ユリイカ』原節子特集を読み進める。論考の数が多く、読み応えがあり嬉しいけれどもなかなか読み終わらない。片岡義男が『彼女が演じた役 ― 原節子の戦後主演作を見て考える』の中で、監督木下恵介、脚本新藤兼人、主演原節子と三拍子揃っていながら、木下恵介、新藤兼人、原節子のそれぞれの特集上映をしたところで決して上映されることはないであろう一作、と書いている『お嬢さん乾杯!』を取り上げた久保豊のテキスト「天女のくちづけ『お嬢さん乾杯!』における原節子」は、片岡義男の評価とはまた異なり、これはこれで学ぶところの多いものだった。久保豊は、主人公とヒロインである佐野周二と原節子に共通するクィア性(queerness)が喜劇性のもう一つの要因となっている、と書いている。その発想はなかった…(ちなみにもう一つの喜劇性の要因とは、もちろん階級差である)。とはいえ『お嬢さん乾杯!』は、残念ながら、やっぱり駄作であるとわたしは思う。

Wednesday, February 3

朝、外に出ると、ほのかに陽射しが暖かく、どれほど寒かろうがあしたはもう立春、暦の上では春なのだなと思った。

恵比寿のPOST/limArtで「飯沼珠実 三つ目の建築 ー 書籍、住居そして森」を鑑賞。飯沼珠実の展示は、ポーラ ミュージアム アネックスでの「ポーラ ミュージアム アネックス展2015(後期)-ザ・ニュー・ヴィジョン- 」(2015年4月)を観て一目で気に入り、続いて新宿ニコンサロンでの「FROM LE CORBUSIER TO MAEKAWA」(2015年9月)を観て、アーティストトークも聴き、今回のPOST/limArtでの展示も鑑賞、初写真集も購入と、大ファンじゃないか、といわれるほど欠かすことなく観てきたが、大ファンというか、冷静に考えて、飯沼珠実の写真は誰が観ても大変魅力的だと思うのだった。きょうはその飯沼珠実と、鈴木理策のトークイベントがあるというので聴きに来たのだけど、鈴木理策も、飯沼さんの写真、国立西洋美術館や東京文化会館を被写体とした作品は、いわゆる建築写真としては上手い訳ではない、けれどもすごく魅力がありますよね、と評価していた。飯沼珠実は、留学先のライプツィヒの、旧東ドイツの陰鬱な雰囲気から逃れるように建築に目を向け、建築物を撮るようになり、ドイツでブルーノ・タウトを、フランスではコルビュジェの建築を主に撮影してきたという。1冊の書物としてまとめた写真集、ゆっくり眺めるのがとても楽しみだ。

帰宅。節分なので豆まきをして、残った豆をビールとともにいただく。