Thursday, September 14
北朝鮮が国連安保理での制裁決議に反発して「日本列島4島を核爆弾で海に沈めなければならない」との声明を出したという。声明の翻訳がどこまで正確なのかは知らないが、核兵器の使用で土地を廃墟にはできても海に沈めることはむずかしいと思われる。
Friday, September 15
「パブリッシャーズ・レビュー」のみすず書房版にハンナ・アーレントの『全体主義の起源』と『エルサレムのアイヒマン』が新版として刊行される報せが載っており、「いずれも初版刊行から半世紀近くがたちました。当時の時代の制約もあり、より正確で読みやすいかたちで新たに提供するのは出版社の責任であると考え、今回、専門家の力を得て、現代史・政治学・ホロコースト研究・アーレント研究の現在に照らして訳語に大幅に手を入れ、また用字法や表記なども編集部で全面的に見直しました」とある。しかし『全体主義の起源』を3冊に分冊化して合計で1万円をゆうに超えるべらぼうな価格体系を見直すことも「出版社の責任」ではないかと思ってしまう。重要な文献であるにもかかわらずこんな値段じゃ少なくとも学生は買う気にならない(と大学生の頃のわたしは思った)。英語のペーパーバックは2000円前後で買えるのに。もっとも、わが家の本棚にも『全体主義の起源』のペーパーバックがあるのだが、大部であるうえにアーレントの英語の読みにくさも相俟っていまだ読み終えていない。
Saturday, September 16
近頃停滞している読書ペースを駆動させるために新宿のブックファーストで近刊を物色する。気になる本を片っ端からiPhoneのメモに打ち込んでいったら30冊あまりが並ぶリストができあがった。充実の仮想積読を実現したところで満足して何も買わずに本屋をあとにする。迷惑な客だ。
丸ノ内線で新宿から銀座に移動して、インド・パキスタン料理の店「デリー」で昼食をとる。資生堂ギャラリーで『花椿』の秋号を入手するとともに「かみ コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」を見て、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで「Apeloiggg Tokyo フィリップ・アペロワ展」を見て、シャネル・ネクサス・ホールで「レイモン・ドゥパルドン展 DEPARDON/TOKYO 1964-2016」を見て、「エマニュエル・ソーニエ展 ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」を見る。エルメスやシャネルやルイ・ヴィトンといった高級ブランド店に併設されているギャラリーを訪れると、商品を購入する目的の客とギャラリーを見物に来ただけの人とでなんとなく選別の視線を感じるのは被害妄想がすぎるだろうか。
「AUX BACCHANALES」で赤ワインを飲みながら休憩していると、台風接近にともなって小雨が降りはじめる。東急プラザ銀座に立ち寄って「SALON adam et ropé」で豆皿を買って帰宅。
Sunday, September 17
台風の影響により終日雨が降る。自宅で読書。エミリー・ブロンテ『嵐が丘』(河島弘美/訳、岩波文庫)、小西康陽『これは恋ではない 小西康陽のコラム1984-1996』(幻冬舎)、浦雅春『チェーホフ』(岩波新書)、武田百合子『犬が星見た ロシア旅行』(中公文庫)を読む。ロシアの旅程がメインである『犬が星見た』だが、ロシアの旅を終えたあとに訪れるスウェーデン、デンマーク、フィンランドをめぐる記述のほうを興味ぶかく読んでしまう。理由は単純で、それはわたしが北欧諸国を旅したことがあり、ロシアには行ったことがないから。旅行記は読み手側の旅の経験によって手触りが変わってしまうように思う。