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Monday, March 21

春分の日の振替休日。昼前に外出し、池袋のcamp expressでトマト生姜カレーを食べてから、東京オペラシティアートギャラリーで「サイモン・フジワラ ホワイトデー」を鑑賞。おもしろく見る。自宅に戻って奥田博子『被爆者はなぜ待てないか 核/原子力の戦後史』(慶應義塾大学出版会)と阿部顕三『貿易自由化の理念と現実』(NTT出版)を読了。

朝食、パンケーキ、珈琲。夕食、浅蜊と小松菜とベーコンの酒蒸しパスタ、バゲット、サニーレタスと紫玉葱ときゅうりのサラダ、赤ワイン。

Tuesday, March 22

ブリュッセルで爆破テロ。事件の現場であるブリュッセル国際空港は、旅行で一度訪れたことがあるものの記憶はおぼろげ。ああいう空港だったのかとニュース映像で知る。しかしその旅行で、KLMオランダ航空の小型機が空港に着陸したと同時に機内で流れたのが、なぜかコリーヌ・ベイリー・レイだったことはいまでも憶えている。

畠山直哉『話す写真 見えないものに向かって』(小学館)を再読。写真家の紡ぐ言葉は、刊行当時よりもアクチュアリティをもって迫ってくる。ヨーロッパの都市で爆破テロ事件が発生した日に読んだ本は、アメリカ同時多発テロ事件にふれながら「爆発」の話題ではじまっていた。

今映っているのは、僕が2002年にドイツでおこなった展覧会の様子です。さきほど「テロの議論に深入りする気はない」と僕は言いました。そうは言いましたが、この時の展覧会カタログの表紙が、世相を鑑みた美術館側の要望により、当初予定されていた「Blast」から「大阪球場」の写真に変更されたり、展覧会会場で「Blast」の写真を見た観客から「テロリズム」という言葉を投げかけられたり、と、僕自身がすでにこの事件から派生した出来事に、間接的に巻き込まれていたのも事実なのです。(中略)
僕は普段から、あまり政治的な人間ではありません。作品で具体的な政治にコミットしようという気もあまりありません。ただ、関係ないという顔をしていても、現実は容赦なく、僕に政治的な問いを突きつけてきます。むしろ、問いを突きつけてくるものこそが、現実なのだ、と言った方がいいかもしれない。(pp.12-13)

朝食、クロワッサン、コーンときゅうり、茹で卵、珈琲。昼食、弁当。夕食、ケンタッキーフライドチキン、フライドポテト、サラダ、きのこのコンソメスープ、赤ワイン。

Wednesday, March 23

AbeBooks経由でアメリカの書店に注文しておいたCharles Fréger『Portraits in Lace, Breton Woman』(Thames & Hudson)が届く。

津田直『SAMELAND』(limArt)とウィリアム・ヘンリー・フォックス・トルボット『自然の鉛筆 / The Pencil of Nature』(青山勝/編集・翻訳、赤々舎)を読む。トルボットの『自然の鉛筆』は、この先何度も繰り返し眺めていきたい写真集。

朝食、トースト、ブルーベリージャム、珈琲。昼食、弁当。夕食、白米、しめじと小松菜と長葱の味噌汁、蓮根と肉そぼろの炒めもの、肉そぼろあんかけのふろふき大根、冷奴、ビール。

Thursday, March 24

イギリスでは明日25日が祝日なので、エコノミスト誌の更新が普段より早くて本日。iPadで読む。自宅に戻ると郵便受けに『MONOCLE』3月号とともに定期購読者向けのおまけ(トートバッグ)が届いていた。

朝食、バゲット、バター、目玉焼き、玉葱とピーマンのグリル、珈琲。昼食、弁当。夕食、寿司、ほうれん草のお吸い物、ビール。

Friday, March 25

夕食時、録音しておいた小西康陽のラジオ番組「SOUND AVENUE 905」を聴く。最終回。音楽がずっと流れっぱなしのラジオはたくさんあるし、音楽の合間にDJのトークという番組もいくらでもある。しかしこの小西康陽の番組のように、音楽が流れているあいだもDJが喋っているラジオはあまりないのではないか。曲を流しながら曲の説明をしている。もの凄く楽しそう。あらかじめ期間限定だったとはいえ、こんな楽しそうにやっている番組が終わってしまうなんてもったいない。

そのほか毎週聴いていたラジオのなかでは、ピーター・バラカンの「アナログ特区」とクリス智子の「atelier nova」が3月で終了。終わらなくていい番組が終わり、始まらなくていいような番組ばかり始まる。

朝食、トースト、ブルーベリージャム、ベーコンと玉葱のグリル、珈琲。昼食、弁当。夕食、肉そぼろとしめじとかいわれのパスタ、ツナ、バゲット、赤ワイン。

Saturday, March 26

昨晩の赤ワインの飲みすぎが災いして頭痛。朝食は、トースト、ブルーベリージャム、ほうれん草と卵の炒めもの、かいわれ、珈琲。

午前9時半、東京駅から横須賀線で逗子を目指す。金がないのに金にものを言わせてグリーン車に乗った。快適に本が読めてよい。道中の読書は昨晩聴いたラジオの流れで、小西康陽『ぼくは散歩と雑学が好きだった。』(朝日新聞出版)。1993年から2008年までに各種媒体に掲載された原稿をまとめたコラム集。再読。ピチカート・ファイブのトリビュート盤のタイトル「戦争に反対する唯一の手段は。」は吉田健一『作法無作法』(宝文館)所収の「長崎」という短いエッセーの中の一行だとの種明かしから、読んでみたいと思って調べたら『作法無作法』は復刊も文庫化もされておらず、近所の図書館で探すも見つからなくて、しょうがないので吉田健一著作集を借りたのを思い出す。

逗子駅に到着。バスで神奈川県立近代美術館葉山館へ。東京、仙台、広島を巡回して最後は葉山の「ヘレン・シャルフベック 魂のまなざし」展を見る。東京で鑑賞済なので再見。マリー・ローランサンとの比較を誰か考察して論にしてほしい。

鎌倉に戻り、満員の江ノ電に乗って七里ヶ浜へ。珊瑚礁でカレーを食べる。海に臨む店でカレーも美味しいが、量が多くて食後苦しい。

夕方、鎌倉ビールを買って湘南新宿ラインに乗り込む。途中、信号機故障で30分ほど東戸塚あたりで停車してしまう。グリーン車でよかった。『ぼくは散歩と雑学が好きだった。』のつづき。小西康陽は山田宏一『増補 友よ映画よ わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』(平凡社ライブラリー)に寄せた解説のなかで、

そうしてぼくはいつの間にか音楽の仕事に就き、映画館から遠ざかった。ときどきこうして映画に関係した原稿を頼まれるけれど、ぼくがいまやまったく映画を観ないことを彼等は知っているのだろうか。(p.68)

と書くが、この時点では、その後小西康陽が毎日のように名画座に通う映画狂になるとは予想できない。

Sunday, March 27

午前6時半起床。新聞とヨーグルトを買いに近所のコンビニまで。日経新聞の文化欄に和田忠彦がウンベルト・エーコについて書いている。「誰も知らない漫画「ピーナッツ」の作者をチャーリー・ブラウンとともに紹介し、そのイタリア版創刊にまで手を貸してみせる」という話は知らなかった。

桜の様子を観察がてら散歩と買物。今月最後の食材調達のためにスーパーに向かう。

朝食、バゲット、ベーコンと玉葱のグリル、ヨーグルト、珈琲。昼食、きつね蕎麦、ビール。夕食、鶏肉と玉葱と人参のレモン煮、砂肝のアヒージョ、サニーレタス、ブルーチーズ、ポテトチップス、赤ワイン。