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Saturday, October 31

午前中、神田古本まつりおよび神保町ブックフェスティバルに参戦。2008年に国立西洋美術館で開かれたハンマースホイ展の図録が、古本のなかに並んでいるのを初めて見た。長らく品切れ状態で、版元である日本経済新聞社による復刊の気配もなく、Amazonで検索すると7000円以上の値段がついており、今回見つけたものもほぼ同等の値づけがなされていた。以前であれば、展覧会を見た際に図録を買わなかった当時のじぶんを恨みながら買ってしまったかもしれない代物だが、しかしブリュッセルの本屋Tropismesで『Hammershøi and Europe』を購入し、コペンハーゲンのオードロップゴー美術館で『Vilhelm Hammershøi』を入手した今となっては、掲載作品のずっと少ない日本での展覧会カタログを買う理由が見あたらず、そっと図録を元の場所に戻した。

古本屋を訪れるたびに、ありそうで意外と見つからない吉田健一『ヨオロッパの世紀末』(岩波文庫)と長尾龍一『リヴァイアサン』(講談社学術文庫)をさがしているのだが、本日の神保町であっさり発見してしまう。いくばくかの達成感はありつつも、これから古本屋の扉をひらく目的を失いそうになる。

昼食の時間。cafe 104.5に向かうも貸切のため入れず、近くの御茶ノ水ソラシティに入っている石庫門で担々麺を食べる。

アンドレイ・タルコフスキー『ホフマニアーナ』(前田和泉/訳、山下陽子/挿絵、エクリ)の刊行記念イベントとして、Espace Biblioで催された前田和泉と宮田眞治のトークイベント「鏡の二人 タルコフスキーとホフマンをめぐって」に参加する。新潮クレスト・ブックスから出ているアンドレイ・クルコフ『大統領の最後の恋』やリュドミラ・ウリツカヤ『通訳ダニエル・シュタイン』の翻訳で前田和泉のことは認識していた一方、対談相手である宮田眞治についてはドイツ文学者というプロフィール以外知らなかったのだが、興に乗った喋りの連続で、この人の話がとてもおもしろかった。イベントのあと、そのままEspace Biblioに居残って、赤ワインとチーズでしばし休息。

新宿まで行って、紀伊國屋書店で森本孝徳『零余子回報』(思潮社)を買って、ルミネのdestination Tokyoで宇壽山貴久子写真展「ワンピースのおんな」を見てから、帰宅。

Sunday, November 1

いつのまにやら霜月。今週読んだのは、 フランソワーズ・エリチエ『人生の塩』(井上たか子、石田久仁子/訳、明石書店)、保坂和志『遠い触覚』(河出書房新書)、『図書』11月号(岩波書店)、『一冊の本』11月号(朝日新聞出版)、長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書)、大沼保昭『「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて』(江川紹子/聞き手、中公新書)。