229

Monday, August 10

『GF*BF』(ヤン・ヤーチェ監督、2012年)をDVDで。説明しすぎることなく、省略の美学とも異なるかたちで、観客に映画を伝播させるその技倆に感心する。脚本も役者も音楽も素晴らしい。台湾の歴史と併走する、青春と挫折の映画。

Wednesday, August 12

『6才のボクが、大人になるまで。』(リチャード・リンクレイター監督、2014年)をDVDで。子供が青年に成長するまでを追うために12年間を通して断続的に撮影が行われたとのことだが、スケジュールの管理が大変すぎでは? ギャラの支払はいつ? など余計なお世話な事柄が気になる。おもしろく見たけれど、どこで終わればいいのかを見失っている映画だという気もした。

Thursday, August 13

会社は夏期休暇に突入したが、会社近くのツタヤで借りたDVDを返却しなければならないので、いつもの通勤時間を少し過ぎた頃にいつもの電車に乗り込むという奇怪な行動をとる。DVD返却後、スタバで休憩。極寒のスタバを予想してラテのホットを注文したのだが、さっぱり冷房が効いていなくて蒸し暑いくらいのスタバだった。いったん家に戻ってから、雑事ののち、夕方ふたたび外出。渋谷に向かう。

渋谷ヒカリエのコンランショップをうろついてから、古書サンエーへ。雑誌『X-Knowledge HOME』(エクスナレッジ)のル・コルビュジエ特集とフランク・ロイド・ライト特集を購入。「見本誌」のシールが貼ってある状態のよい代物で、これはひょっとして関係者が売り飛ばしたものだろうか。

Bunkamura ザ・ミュージアムで「エリック・サティとその時代展」を鑑賞。フランス国立図書館所蔵のジムノペティの自筆楽譜は、初めての一般公開とのこと。文化村が初でいいのか。

極寒の美術館内で冷え切った身体を温めるように渋谷駅までゆっくりと歩き、南イタリア・サルデーニャ島の家庭料理の店Tharrosで夕食。食べて、飲む。

Friday, August 14

お盆期間でギャラリーが軒並み休廊のなかで、開いているギンザ・グラフィック・ギャラリーと資生堂ギャラリーを訪れるために銀座へ。「ラース・ミュラー:本 アナログリアリティー」と「絵画を抱きしめて 阿部未奈子・佐藤翠・流麻二果」を見学。天候は不安定で、途中小雨に見舞われる。蒸し暑い。

銀座のソニービルにできたというナディッフを確認しに行ったら、ザ・おしゃれ空間という佇まいで、店員は妙な制服を身にまとっている。ナディッフ訪問の理由は店舗の雰囲気を見てみたいというより、「ニァイズ」のバックナンバーが欲しかっただけなのだが、なんと「ニァイズ」が見当たらないではないか。おしゃれ空間に「ニァイズ」はふさわしくないというのか!(ふさわしくないけど) なぜ「ニァイズ」を置かないのか!(置かなければならない理由もないけど) 「ニァイズ」の代わりと言ってはなんだが、尾仲浩二責任編集『街道マガジン』の創刊号を買う。

日比谷線で恵比寿へ。アトレにあるCUiSiNE HABiTSで白山陶器の醤油差しを購入してから、ナディッフアパートまで歩く。無事「ニァイズ」を入手。二度手間である。恵比寿のナディッフにはものすごく投げやりな感じで「ニァイズ」が置いてあって、「ニァイズ」の扱いとして大変ふさわしいと思う。

夜、Rue Favartにて夕食。Rue Favartに来るたびに鴨もも肉のコンフィを食べている。

Saturday, August 15

終戦記念日。ラジオをつけたら本日が終戦記念日だということを連呼していて、佐藤卓己『八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学』(ちくま新書)という著作が、結局のところ一般社会にはまったく影響を及ぼさなかったことを確認する日でもある。

ラジオをつけっぱなしにしながら蔵書を整理する。整理というより、何がどこにあるのかを確認する作業。棚から本を出して、また棚にしまう。

昼すぎ谷根千に移動して、弥生美術館(「ファッション・イラストレーター 森本美由紀展」)と森鷗外記念館(「コレクション展:鴎外を継ぐ 木下杢太郎」)を梯子。

夜、千駄木の稲毛屋へ。三夜連続の外食の祭典最終日は、鰻。古書ほうろうを覘いて数冊購入ののち、帰宅。

Sunday, August 16

週末に読んだ本。W.G.ゼーバルト『空襲と文学』(鈴木仁子/訳、白水社)、エリック・ホッファー『波止場日記 労働と思索』(田中淳/訳、みすず書房)、エリック・ホッファー『現代という時代の気質』(柄谷行人/訳、ちくま学芸文庫)。

夜、ジョーン・G・ロビンソン『思い出のマーニー』(岩波書店)を読んでから、DVDで『思い出のマーニー』(米林宏昌監督、2014年)を見た。アニメの方は、翻案として舞台を日本に置き換えなくてもよかったのではという気がする。自治体が云々なんていう科白がでてくると、ファンタジー感が一挙に吹っ飛ぶ。