224

Monday, July 6

この夏に国立国際美術館でヴォルフガング・ティルマンスの展覧会がはじまるらしい。しかし大阪に出かける用事は今のところないので、たぶん行かないだろう。ティルマンスで思い出すのは2004年に東京オペラシティアートギャラリーで催された展覧会のことで、その時のことは、同時開催の「野又穫:カンヴァスに立つ建築」とproject N「小西真奈」が素晴らしすぎてティルマンスの写真がどんなだったかをまったく憶えていないことで、よく憶えている。

Tuesday, June 7

腹痛。ひどい腹部膨満感。会社を欠勤する。

Wednesday, July 8

市販薬では治る気配がまったくないので、午前中に病院へ。タケキャブ錠20mg、ガスコン錠80mg、マーズレンS配合顆粒を処方される。膨満感に苦しみながら病院の待合室で高階秀爾『想像力と幻想 西欧十九世紀の文学・芸術』(青土社)を読了。

Thursday, July 9

今年は毎月のように次から次へと新しい病にかかる。病気のデパート。『UP』7月号(東京大学出版会)を読む。

Friday, July 10

武田薬品工業が満を持して今年発売したらしい新薬タケキャブ錠がまるで効いている感じがしない。むしろ体調は悪化の一途を辿っているので、午後にふたたび病院へ。胃のレントゲン検査。ツムラ大建中湯エキス顆粒、マグラックス錠330mg、プリンペラン錠5 5mg。来週、胃のエコー検査と内視鏡検査。『みすず』7月号(みすず書房)を読む。

Saturday, July 11

終日安静に。読書。國分功一郎『近代政治哲学 自然・主権・行政』(ちくま新書)、青木淳悟『匿名芸術家』(新潮社)、見市知『ドイツで100年続くもの』(産業編集センター)を読む。

『匿名芸術家』に併録されている「四十日と四十夜のメルヘン」を久しぶりに読んだら、途中から、あれ? こんな話だったっけ? と自身の記憶力に不安をおぼえたので新潮文庫版の「四十日と四十夜のメルヘン」と比べてみたら、全然ちがっていて、加筆・修正にもほどがあるのだった。

Sunday, July 12

終日安静に。読書。蓮實重彦『凡庸な芸術家の肖像 上 マクシム・デュ・カン論』(講談社文芸文庫)を読む。

いささかも例外的ではないにもかかわらず自分を例外的だと錯覚しうる魂は、いつでも無意識のうちに多数者と連帯しうる強みをもっているのである。そうした少数者の言葉は、社会の安定にとってはきわめて貴重な言説をかたちづくる。世界は、いま、誰に頼まれたわけでもないし、権力に媚びようとするあからさまな意図がないにもかかわらず、いたるところで葛藤を解消し、社会の変動をあらかじめ封じる機能を演じてしまう存在を大がかりに生産し始めているのだ。(pp.322-323)