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Monday, June 22

英国の雑誌『MONOCLE』が毎年実施している、住み心地のよさを独自に集計した世界の都市ランキングで、今年は東京が1位だった。東京という場所が、安全で清潔で便利な街であることに疑いをさしはさむ余地はないけれど、世界のほかの各都市をさしおいてトップの座に君臨するほどの魅力ある街かと訊ねられれば、そんなことはないと思う、と即答してしまうだろうし、交通機関が時間に正確だとか、それほどバカ高い金額を払わなくても美味しい食事にありつけるだとか、日曜日であっても店舗が営業しているだとか、日曜日どころか24時間365日営業中だとか、欧米になくて、しかしあれば嬉しいかもしれない状態が、東京は突出しているということなのだろうけれど、東京に居住しているとその事態を大いなるありがたみとして認識するのは、よほど意識的でないかぎりむずかしいわけで、東京の良さは、もしくはその異常さは、東京在住者ではなく、なによりも外国での居住をはじめた人が認識することかもしれない。それにしても東京が1位というのはやっぱり不思議で、まあなんだかんだいって東京は悪くはないと思うけれど、その評価は「良い」ではなく、あくまで「悪くはない」という後ろ向きな算定であり、昨年1位だったコペンハーゲンが急降下し、主な要因が物価の上昇で、とりわけ住宅価格の高騰を理由としているのだが、現在、世界中の都市部の不動産価格は上がっており、東京も例外ではないのだから、どうしてコペンハーゲンだけがこんなにも低評価になっているのかがよくわからないし、街並みの美しさを言えば、東京なんてランキングの圏外だろうと思うのだが、欧米人は必ずしもそうは思っていないようなので、そこはちょっと興味のある点ではあるけれど、それにしても東京が住み心地のよさナンバーワンなどというのは、なんだか気味の悪い冗談のように聞こえる。それはそうと、『MONOCLE』の都市ランキングを眺めていて、あらためて東京における書店と図書館の数はすごいことになっていると知るのだけれど、ほかの世界の都市に比べて、桁がちがうわけで、その点に関しては圧巻だなあと思うし、今度池袋西武にあるリブロが閉店するけれど、あんな巨大な書店からわずか徒歩数分のところにこれまた巨大なジュンク堂が存在するなんていうのは、あらためて考えてみればよくわからない都市空間で、どれだけ君たちは本が好きなんだという話である。

Saturday, June 27

午後、会期終了間際の、「高橋コレクション展」(東京オペラシティアートギャラリー)に駆け込む。精神科医である高橋龍太郎による現代アートのコレクションは、ある一定の傾向をもった彼の「趣味」が伺われると同時に、日本のコンテンポラリーアートの歴史(これもまた、ある一定の傾向をもったものではあるが)を素描できる陳列となっていた。ミヅマ所属の作家の作品が多め。同時開催の、若手作家を紹介するproject Nの富田直樹の展示がよかった。

16時半、読書と夕食のために初台のfuzkueへ。持参したのは、鶴岡真弓の本を二冊。『ケルト/装飾的思考』(ちくま学芸文庫)と『ジョイスとケルト世界 アイルランド芸術の系譜』(平凡社ライブラリー)。ギネスビールを飲みながら、にわかでケルト文化に詳しくなる。3時間半あまりの滞在。ビルの2階にあるfuzkueの窓際の席からは、隣の中華料理屋の客席が覗けてしまうのだが、いつも美味しそうな中華がテーブルに運ばれてきて気になる。fuzkueとその中華料理店「蘭蘭酒家」を梯子するのはどうかと考えたが、fuzkueの定食も美味しいので捨てがたく、fuzkueで食べて、蘭蘭酒家で食べて、それは単に食べすぎな人である。

帰宅後、コンビニで買ったカップラーメンと麦とホップの黒を飲む。fuzkueでのヘルシーな食事を台なしにするようなジャンクっぷり。

Sunday, June 28

昼間、近所のラーメン屋で塩ラーメンを食べていたら、店内で流れるJ-WAVEで千代の富士の娘が、「ラジオネーム、キューティーハニー、39歳、男性」と読みあげたのが耳に残る。