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Monday, April 20

その姿の写真を見るたびに、あ、仙人、と思ってしまう字沢弘文の『経済と人間の旅』(日本経済新聞出版社)を読んでいたら、

東大の経済学部長をしている時、米国からサミュエル・ボウルズを呼んで京都で研究会を開いたことがある。1980年代の初めだった。そのころ、私は東京の山手線の中は、自動車はもちろん電車にも乗らず、どこへ行くにも走った。いつもリュックに着替えを入れ、必要があればその場で着替える。
その日は夏の暑い日で、仕事を終えていつものように本郷の大学から東京駅まで走り、新幹線に飛び乗った。着替えようと思ってリュックを開けてみたら、背広もシャツも入っていない。短パンにランニングシャツでは新幹線の冷房が我慢できないので、新聞紙を体にかけて京都まで行った。
京都駅からボウルズが宿泊しているホテルまでまた走ったが、ロビーにはボウルズはじめ参加者がすでに集まっていた。ボウルズは私を見て、「日本では社会主義者はそういう格好をしているのか」と言うなり、自分の部屋に戻って私と同じような格好をして出てきた。そんな格好で三日間の研究会に参加したが、立派な料亭で食事をした時が一番困った。

とあって、さすが仙人。やることがちがう。

夜、タコとベーコンとミニトマトの白ワイン蒸しパスタ、赤ワイン。

Tuesday, April 21

選挙前なので、駅前では立候補者の声がかまびすしい。『日本に就て』(筑摩書房)を読んでいたら、吉田健一は「マイクが出来たのだから、政治家はもう普通の声で話していい筈である」と書いていた。

会社から帰ると、郵便受けに「イギリスから」とあまりに漠然とした記述で如何なものかと思われる、宅配の不在通知が入っている。夜、白米、しらす、さやえんどうときのこのお吸いもの、春菊のおひたし、春菊と豚肉の炒めもの、ちくわときゅうり、ビール。『日本に就て』のつづきを読む。

Wednesday, April 22

ここのところは毎朝5時半に起きて、リビングの窓を全開にするのが日課。部屋の窓を開けて気持ちのよい季節がやってきた。

「イギリスから」届いたのは、『MONOCLE』だった。通勤の行き帰りの電車の中、iPadで『Intelligent Life』を読む。夕飯は、イエローカレー、グリーンリーフときゅうりのサラダ、ビール。

夜は自宅シネマ。『ゴーン・ガール』(デヴィッド・フィンチャー/監督、2014年)を鑑賞。映画をフルで流しながら関係者が延々としゃべるという、最近のDVDでしばしば見かける特典映像が『ゴーン・ガール』にもあって、監督のデヴィッド・フィンチャーが映画の裏話をずっと語っていたのが、本編よりも監督がだらだらしゃべっている特典のほうが余程面白い。

Thursday, April 23

小野法師丸がツイッターで、

スタバの新しいドリンクの名前が「フルーツ-オン-トップ-ヨーグルト フラペチーノ with クラッシュナッツ」と相変わらず長い。店員も途中まででわかってる感ある気がするから、注文するとき最後のところを「with オメガトライブ」にして試してみたい。

と相変わらず秀逸なことを書いていたのだが、会社の昼休みにスタバでこの長ったらしい名前の商品を頼んでみようと思って、しかしこの商品名を把握する気は一切ないので、メニューを指差して「これで」と言ったら、店員のほうも「これですね」と応じ、お互いに一切商品名を言葉にすることなく会計が済んだ。いいのかそれで。しかし少なくとも「ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノ」 [1]よりは短い名前なのだから、フルーツがオンしたトップなヨーグルトのプラペチーノという名称も、オメガトライブとともにいずれは記憶にとどめたい所存である。

夜、鮭、生卵、長ねぎ、万能ねぎ、さやえんどうをのせた蕎麦、冷奴、ビール。

Friday, April 24

エコノミスト誌を読んでいる。いま世の中でどんな出来事が起こっているのかを知る術として、現在わたしが参照しているのは、Yahoo! JAPANのトップページとエコノミスト誌だけである。いいのかそれで。

夜、ビーフシチュー、バゲット、グリーンリーフとミニトマトのサラダ、赤ワイン。

Saturday, April 25

昼前、広尾へ。「麻布さ和長」でざる蕎麦と海鮮丼を食べてから、エモン・フォトギャラリーで「市橋織江展 WAIKIKI」を鑑賞。つづいての目的地は六本木。字沢弘文は東大本郷から東京駅まで走っていたが、わたしは体力がないので広尾から六本木まで移動する少しの距離でも日比谷線を使う。AXISビルへ。AXISギャラリーで「ゼラチンシルバーセッション」と見て、タカ・イシイギャラリーで「エド・ヴァン・デル・エルスケン セーヌ左岸の恋」を見る。IMA CONCEPT STOREで「Spanish New Horizon」を見ようと思ったらイベント開催のため展示はお休みだった。ふたたび日比谷線に乗って銀座に向かう。バーニーズ・ニューヨークで少しばかり予算を超過した買いもの。それとは別にこれからクールビズ季節だというのにネクタイが欲しくなって物色しつつも自重。資生堂ギャラリーで「椿会展2015 初心」を見て、銀座メゾンエルメスフォーラムで「線を聴く Listening to the Lines」を見て、ポーラミュージアムアネックスで「ポーラミュージアムアネックス展2015」を見る。ポーラでの飯沼珠実の展示がよかった。途中で立ち寄った松屋ちかくのスタバで「フルーツ-オン-トップ-ヨーグルト フラペチーノ with クラッシュナッツ」をふたたび。しかしまったく商品名を憶える気がないので、できあがる直前に店員から「フルーツ-オン-トップ-ヨーグルトでお待ちですか?」と訊かれて、「たぶん」と答えてしまった。出だしの「フルーツ-オン」くらいは記憶しておこうと反省する次第である。夜、コリドー街のニッタビルに入っている焼鳥屋「車」で夕食。家に帰ってから、松田武『対米依存の起源 アメリカのソフト・パワー戦略』(岩波書店)を読んで一日が終わる。

Sunday, April 26

朝、パンケーキを焼き、珈琲を淹れる。

丸山眞男を再読したいというより古矢旬の解説を読んでみたくて、丸山眞男『超国家主義の論理と心理 他八篇』(古矢旬/編、岩波文庫)を手にとる。

昼、白米、大根と長ねぎの味噌汁、鯵のひらき、大根おろし、ビール。午後はビールと読書と昼寝。はたして昼寝と読書が両立するのかといま書いていて疑義を呈したい気になるけれど、アンドレ・バザン『映画とは何か』(野崎歓・大原宣久・谷本道昭/訳、岩波文庫)を読みつつ、心地よい陽射しのさし込むベランダ近くでしばし居眠り。

夜、あさりとベーコンとトマトのパスタ、赤ワイン。

  1. スタバで出来るだけややこしい注文をためす []