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Saturday, October 11

午前4時半、目覚めてラジオを聴くものの、怠くて身体を起こすことができない。疲れがなかなかとれない。洗濯物を干してから朝ごはん、ホットケーキ、珈琲。支度をして出かける。

新橋。パナソニック汐留ミュージアムで「建築家ピエール・シャローとガラスの家 - ポンピドゥー・センター・コレクションが魅せるアール・デコ時代の革新 – 」を観る。お昼は隣のビル、汐留シティセンター41階にある星遊山で焼肉セット(ごはん、卵とねぎのスープ、サラダ、キムチ、豆腐、各種肉)とビール。このお店は高級焼肉と謳っている、がしかし、ジャン=ピエール・レオーに会えない腹いせに高級焼肉を食しているわけではない [1]。それにしてもとても美味しく、カルビなんか特に美味しく、窓からはちらりと海とレインボーブリッジ、たくさんのコードを束ねたようなJRの線路を走る電車もミニチュアサイズで見えて、サラダとスープもおかわり自由だったし、満足した。

東雲。ギャラリー小柳で「トーマス・ルフ」、YUKA TSURUNO GALLERYで「アレキサンダー・グロンスキー」を観る。グロンスキー、予想通り素晴らしかったので500部限定の図録(写真集)を買う。

竹芝。gallery916で「野口里佳 父のアルバム/不思議な力」を観る。『In-between 13 野口里佳 チェコ、キプロス』が定価で売られていたので買う(古本屋でしばしば目にするあの高値は何??)。これでIn-betweenシリーズ、やっとこさ6冊収集。まだたった6冊!

有楽町。今度は銀座のギャラリー小柳で、再び「トーマス・ルフ」、ポーラミュージアムアネックスで「橋爪彩 Beautiful Stranger」を鑑賞。大好きな橋爪彩、初めてその作品を目にしたのがたしかこのポーラミュージアムアネックスだったので、またここでその時と同じものを観られたのがすごく嬉しかった、初めて観た時の喜びがよみがえった。

日が傾き始めた銀座の街を歩く。銀座の街はいつからか好きになった。marimekkoやrepettoの路面店もあるし、落ち着いて散歩できる。夜はANTWARP SIXで、ムール貝の白ワイン蒸し、フリッツ、ニース風サラダ、ムサカ、ビール(レフ・ブロンド、ヒューガルデン・ホワイト)。一日二食が外食だった…。明日から節約しなくては…。

Sunday, October 12

午前4時半、目覚める。ラジオを聴きながらアレキサンダー・グロンスキーの『LESS THAN ONE』をとくと眺める。この“LESS THAN ONE”シリーズは、一平方キロメートルに一人以下という人口密度の地域を撮影したもの、とYUKA TSURUNO GALLERYのプレスリリースに書いてあった。ロシアの上空を飛ぶたびに、今見下ろしている地に人は生活しているのだろうか、と考えるが、グロンスキーが撮影した場所のすぐそばをわたしは飛んでいただろうか。

地下鉄に乗って西高島平まで。この駅来るの、おそらく14年ぶりだ。懐かしいなあ。板橋区立美術館で「種村季弘の眼 - 迷宮の美術家たち – 」を観る。ホルスト・ヤンセンはなんとなく気になる画家だから、数点観ることができて嬉しかった。中西夏之の作品も一点あり。全体的にとても楽しめたけれど、いちばん良かったで賞は最後のコーナーの、武田百合子が種村さん宛に書いた葉書に差し上げたい。百合子さんのところに大岡昇平が、「今日の新聞で誉めてるよ、種村季弘って変なもの書いてる人が、文芸時評の3段ぶち抜きで、いいなあいいなあ、(百合子さんの)写真もきれいなのが出ているよ、首の皺なんてないかのように…」などと電話をかけてきて、そのうち友人たちから百合子さんのところにその切り抜きがたくさん送られてきて十枚ほどになって、百合子さんは種村さんに「誉めてくださってありがとうございました、ことばの食卓の時も褒めてくださって、ひいきにしていただいてありがとう、長く忘れません」という内容の葉書を書くのだけど、その文面がしみじみ良くてぐっときた。

地下鉄に乗って神保町まで。メナムのほとりでグリーンカレーセット(茄子と牛肉のグリーンカレー、卵と高菜の炒め物、トムヤムクン、揚げ菓子)、シンハービール。古本屋を3軒ほどまわり、長らく欲しい欲しいと願い続けてきたゲーテ『イタリア紀行』(上・中・下巻)をセット買いした。綺麗な状態で1600円。これでゆっくり読める。あと、同じくずっと読みたかった『ウィトゲンシュタイン ―天才哲学者の思い出』(ノーマン・マルコム、板坂元訳、平凡社ライブラリー)、『チェーホフ』(浦雅春、岩波新書)も買った。新刊でもいろいろ読みたい本がたまってきていたところなので、東京堂で『ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン』(トゥーラ・カルヤライネン、セルボ貴子・五十嵐淳訳、河出書房新社)、『街道手帖』(ジュリアン・グラック、永井敦子訳、風濤社)、『マルグリット・デュラス 生誕100年 愛と狂気の作家』(河出書房新社)を購入。帰りの電車で新潮クレストブックスのブックレットを読む。現在刊行中のたくさんの作品が一覧で掲載されており、未読のものがいっぱいあるので心躍るけれど、クレストブックスってバンバン廃刊になってしまうイメージもあって、ああ、あれも、これも、載ってない…と寂しい気持ちになるのも事実。

帰りがけにスーパーに寄ったら、台風に備えての買い出しなのか何なのか、とにかくすごい人出で大混雑だった。夜はスーパーで買ったお寿司、レトルトのわかめスープ、ビール。『HHhH』をやっと読了。大変面白かったが、好きではない。しかし、面白かった。しかし、好きではない。しかし、面白かった。しかし…と、えんえんと続けられそうな、まあ、そういう小説だった。

  1. 今週月曜の24時に、角川シネマ有楽町で行われる「トリュフォー映画祭」のジャン=ピエール・レオーの舞台挨拶付きチケットのオンライン購入に取り組んだのだが、あえなく完売してしまい獲得できなかったのだった。悔しい。ちょうど今頃、舞台挨拶が行われているはずなのだ! []