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Monday, September 15

InterFMの朝番組「Barakan Morning」はいつも出勤時間までの55分程しか聴けないのだけれど本日月曜日は祝日なので最後まで聴ける、というわけにもいかず、外出の用件があるのでいつもどおり途中まで。電車に乗って鎌倉に向かった。

湘南新宿ラインが大船駅に到着するあたりでtwitterを眺めていたら「Barakan Morning」が9月いっぱいで終了すると知り吃驚する。番組改編期の季節とはいえ、昨日の小川隆夫の「Jazz Conversation」といい、終わらせる理由がまるで見あたらない番組が終わってしまうのは何なのだろう。憶測として考えられるいちばん平凡な理由は、広告収入の問題だろうか。ピーター・バラカンは放送のなかで「もっとコマーシャルなことをやっていればこういう事にはならなかったんだろう」と語ったらしいけれど、そもそも「コマーシャル」とは一体なんなのかを、今一度考えてみたほうがよいのかもしれない、と思った。「もっとコマーシャルなことをやっていれば」といっても具体的に何をやったらコマーシャルなのだろう。

いくつかの報道を読むかぎりでは日本のラジオ業界はけっして好調とはいえないようだから、コマーシャルの方向へといったところで、それは商業的な大成功を目指すことを意味するのではなく、話はもっと後ろ向きで、広告がとれずにジリ貧となって最終的に潰れてしまうのを防ぐ程度の意味合いくらいだと思う。商業音楽vs.非商業音楽というわかりやすい図式で解釈すると、なんとなく理解したつもりになるし、非商業音楽側を応援したくもなるが、事態はそれほど単純なことではたぶんない。コマーシャルなことをやったところで、うまくいくようには思えないからだ。J-POPをがんがん垂れ流すことで商業的にうまくいくのであれば話は簡単だけれど。

観光客だらけの行楽日和の鎌倉に到着。以前鎌倉に住んでいたころは、駅前の人混みから逃れるようにして都内の美術館に向かったり、自転車で誰もいないような場所を走ったりしていた。いまは観光客のひとりとして、小町通りを歩いている。カレーのお店OXYMORONに開店15分前くらいに到着。店が開いて行列の後ろをみるとものすごい人の数で、今回は運よく座席を確保できたけれど次回からは事前に予約しておいたほうがよさそう。チキンカリーと紫キャベツのコールスロー、アイスコーヒー。

港の人主催のかまくらブックフェスタに赴く。加納光於と平出隆のトークショーを聴き、ショルダーバッグの紐が伸長するほどの本を買い、お会いした方と言葉を交わす。密度の濃い時間が流れた。

日が暮れかけたあたりで、鎌倉駅近くの古書ウサギノフクシュウでさらに本を買う。

夕食は小町通りの中程にあるBrasserie雪乃下で、サラダ、スモークサーモン、白身魚のエスカベッシュ、レバーパテ、大山鶏のロースト、モッツァレラチーズとトマトのピンチョス、ビールと赤ワインを一杯ずつ。店を出ると人影はまばら。鎌倉は夜になると、昼間の喧噪がまるで幻だったかのように静かになる。京都の先斗町のような場所が鎌倉にはないのだ。湘南新宿ラインが人身事故で止まっていたので、横須賀線で東京方面に向かう。車中でぽかん別冊の『昨日の眺め』と『女ともだち』を読む。

Tuesday, September 16

会社で昼休み中、iPadでエコノミスト誌を読んでいたら結構大きな地震が起こりオフィスビルが揺れる。

夜、焼豚、しめじ、ピーマン、黄パプリカ、玉ねぎを日本酒で蒸して、パスタと和える。ハンガリーパン、赤ワイン。なぜパスタに焼豚なのか。冷蔵庫に余っていたからのほかに理由はなし。

Wednesday, September 17

昼休み、会社近くの図書館に予約した本を取りにいく。新刊書籍の棚で見つけた青木淳悟『男一代之改革』(河出書房新社)も併せて借りた。

午後1時から4時間弱、ひたすら新しくしたシステムについて説明しつづけて咽喉が痛くなる。

録音しておいたInterFMの吉岡正晴「Soul Searchin’ Radio」を聴いたら、こちらも9月で打ち切りだという。しかしDJ自身が番組のなかではっきりと「この番組は9月で打ち切りです」と明言するのも珍しいかも。「終わる」とか「終了」とかならまだしも「打ち切り」って言葉の響きは心臓に悪い。

夜、無印のレトルトカレー、マッサマンを食べる。タイカレーのマッサマンが流行っていることをまったく知らなかった。マッサマンから私が連想するのは、梅干食べてスッパマンくらいである。

Thursday, September 18

昼休みにスタバに行って、ダークモカチップフラペチーノを買って周辺を散歩。街はマンションとオフィスビルの工事ばかり。

会社帰り、トローチを飲んでも鼻から喉にかけての違和感が治らないので、薬局でチクナインを購入。蓄膿症の薬、チクナイン。小林製薬の商品にしてはネーミングが穏当である。

郵便受けに『ku:nel』(マガジンハウス)と『GRAPHICATION』(富士ゼロックス)が届く。

夜、ソーセージとマスタード、玉ねぎとピーマンとパプリカのソテー、トマトとベビーリーフときゅうりのサラダ、ハンガリーパンとレバーパテ、赤ワイン。

Friday, September 19

iPadでエコノミスト誌をひらくと、今週号の締め切りにスコットランド独立をめぐる住民投票の結果は間に合わないのでWebサイトを見てくれとのお知らせ。それはそうと今週の記事で目を引いたのが、というか笑ったのが、旅客機内での座席のリクライニングをめぐるトラブルに関して書いたもの。

Nowadays those at the cheap end of the plane barely have room to open their copies of Thomas Piketty’s recent book lamenting a new age of inequality.

そこでピケティを出すか。

夕飯はちよだ鮨を自宅で。スコットランド独立の住民投票は反対派が勝利した。

Saturday, September 20

朝、パン・オ・ショコラ、珈琲。畠山直哉の写真集『LIME WORKS』(青幻舎)と『TERRILS』(Light Motiv/Taka ishii Gallery)を本棚からひっぱりだす。

午前中のうちに食材や日用品の買い出しを済ませ、昼食には豆腐うどんをつくる。豚肉、万能ねぎ、生卵、かぼす、白ごまをのせる。

宮沢章夫のエッセイをまとめて再読した。『わからなくなってきました』(新潮文庫)、『茫然とする技術』(ちくま文庫)、『青空の方法』(朝日文庫)の三冊。「脱力エッセイ」という括りでまとめることは可能だが、文体はそれぞれ微妙にしかし決定的に異なっている(初出時の掲載媒体の要素も大きいと思うけれども)。

バスに乗って近所の大きな図書館へ。読みたい本がたくさんあって、どんどん借りてしまう。結局期限内に読み切れなくて返却することになるのだろう。しかし借りるその瞬間は楽しいのだ。貸出のその瞬間の悦楽を求めるあまり、読むことが二の次になっている。趣味が「読書」ではなく、「本を買うこと借りること」になっているような。

夜、蛸とベーコンをニンニクと輪切りにした唐辛子で炒め、それにピーマンと赤パプリカとレタスを加えて白ワインで蒸し、パスタと和える。お酒はイタリアの赤ワイン。

Sunday, September 21

朝、目玉焼き、グリーンリーフ、バゲットとレバーパテ、珈琲。

昼前、近所のカフェで珈琲とチョコレートケーキを注文し、しばし読書タイム。島尾敏雄『夢のかげを求めて 東欧紀行』(河出書房新社)を読む。

きのう米を買い忘れていることに気づき5kgの米袋を抱えながら、花屋に立ち寄る。近所の商店街にある中華屋の弁当をお昼ごはんとして買う。

ラジオを聴いたり本を読んだり洗濯物を取り込んだりしているうちに日が暮れてゆく。

夜、白米、しめじと長ねぎとわかめの味噌汁、ちくわと油揚げと筍の土佐煮、おくらのおかか醤油かけ、ウズラの卵の甘辛炒め、秋刀魚、大根おろし。これら和食のラインナップを前にして、日本のビールを冷やし忘れた。かれこれ2週間くらい冷蔵庫に冷やしっぱなしのベルギービールのヒューガルデンを飲む。