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Monday, June 23

山之内靖『マックス・ヴェーバー入門』(岩波新書)を再読。岩波新書のなかでいちばん好きな一冊は? という質問があったならば、これを挙げたい。語り口は「です・ます」調で、新書らしい啓蒙的な記述もありつつ、同時に大塚史学批判を含む専門的な内容も、野心的なかたちでレベルを落とすことなく論じられている。希有な一冊だと思う。

Tuesday, June 24

前日に人を動揺させる「近代知の限界」をめぐる議論を読んだので、「近代知の復権」で緊張をほぐそうと樋口陽一『憲法 近代知の復権へ』(東京大学出版会)を読む。樋口陽一の所説は、結論部だけを抜き出してしまうと、ありふれた凡庸な護憲論と大差ないようにみえてしまうのだが、そこに至る過程で披露される圧倒的な知性が素晴らしい。

Wednesday, June 25

定期購読を申し込んだら郵送に日数がかかるので、やんわりと遅いんですけどとメールしたら、次号からは頑張ります(意訳)との返事を受け取ったものの、やっぱり今回もまた届くのにすこぶる時間を要した『KINFOLK』を読んでいる。

Friday, June 27

見田宗介『現代社会の理論』(岩波新書)を読む。見田宗介の本を読むと、その理論的な手際に感銘を受けるのだが、最後の方になると話があまりに壮大すぎて、なにがなにやらわからなくなる。

Saturday, June 28

東郷青児美術館で「オランダ・ハーグ派展」をみる。展覧会タイトルはハーグ派のみの記載だが、展示はミレーやルソーを代表とするバルビゾン派からハーグ派への繋がり、最後はゴッホやモンドリアンへの流れを概観する内容だった。風景画が多く、北ヨーロッパ大陸の景色が連なる。このような企画展をみて「オランダを旅行してみたいなあ」などという感想は愚の骨頂であるとかつては思っていたのだが、最近は考えが変わって、ヨーロッパ美術をよく知るためには一度でいいから「現物」をみたほうがいいと思うようになった。

帰宅途中に食材の買い足し。周知のとおり、西友の店内BGMの選曲は素晴らしいことになっているのだが、本日、近所の西友ではthe innocence missionがかかっていた。

Sunday, June 29

東京都写真美術館へ。「佐藤時啓 光ー呼吸 そこにいる、そこにいない」。作品はとてもコンセプチュアルな佇まいでありながら、写真家本人が語るように、たとえ明確なコンセプトをもつ能動的な撮影行為であっても、環境的な要因によって受動的なスタンスにならざるを得ない場合が生じるのがおもしろいところ。意図せざる結果として、亀裂が新たな地平を生む。

帰りがけ、貰い損ねていた「ニァイズ」を入手。「ニァイズ」は「ニャ」ではなく「ニァ」なのだが、写美のWEBページ [1]で、「PC版(FLASH)」をひらくとtilteタグで設定したページタイトルは1号からずっと「ニャイズ」になっている。そろそろ関係者の誰かが気づいてもいい。

  1. 東京都写真美術館ニュース別冊「ニァイズ」 []