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Monday, April 21

週末のために生きているような人間にとって、平日の労働日はすべて月曜日みたいなものである。火曜日であっても月曜日。水曜日だって月曜日である。これはまあ、たんに気分の問題だが、最近読んだ物語では実際にそういうことを言っていた。

ホセ・アルカディオ・ブエンディアは、明け方までプルデンシオ・アギラルと話し合った。二、三時間後に、徹夜で疲れきった体でアルレリャノの仕事場へはいって行って、こう尋ねた。「今日は何曜日だ?」アウレリャノが火曜日だと答えると、ホセ・アルカディオ・ブエンディアは言った。「わしもそう思っていた。ところが、急に気づいたんだ。今日も、昨日と同じように月曜だということにな。空を見ろ、壁を見ろ、あのベゴニアの花を見ろ。今日もやっぱり月曜なんだ」。父親の奇行には慣れているので、アルレリャノは知らん顔をしていた。翌日の水曜日に、ふたたびホセ・アルカディオ・ブエンディアは仕事場に姿をあらわした。そして、こう言った。「大へんなことになったぞ。空を見ろ。太陽の照りつける音に耳をすましてみろ。昨日と、その前の日と、少しも変わっちゃいない。今日もまた月曜日なんだ」。
(ガルシア=マルケス『百年の孤独』、鼓直訳、新潮社)

Tuesday, April 22

空を見ろ、壁を見ろ、あのベゴニアの花を見ろ。

Wednesday, April 23

空を見ろ。太陽の照りつける音に耳をすましてみろ。ニァイズ発売日。

東京都写真美術館のナディッフで『ニァイズ』(講談社)を買うと特典としてついてくるしおりが、あまりに「ふつう」な代物でびっくりだニャ。

Saturday, April 26

気づけばiPadの雑誌媒体が更新され、読むものがどんどん溜まっていく。いま定期で購読しているのは『The Economist』や『The New Yorker』や『The Atlantic』あたりで、紙媒体で購入するより呆れるほど安いのでこれはこれでいいのだが、先日届いた『MONOCLE』を手にとりながら、やっぱり紙はいいなあ、と単純に思ってしまう。なにしろ紙は「機能的」だ。全体を俯瞰するにも、あたりをつけるにも、デジタルよりも圧倒的に紙のほうが優れていると思う。そんなことを考えていたら、今度は文化出版局から『装苑』が届く。紙の雑誌を読むときの、最初にざーっとページをめくって全体を把握する、あの感じが好きだ。

いい陽気なので、五反田のフランクリン・アベニューまで足をのばし、テラス席を確保。ベーコンバーガー、サラダ、フライドポテト、ビールを注文する。もう夕食は不要なのではないかと思うほどの満腹の昼ごはんを平らげたあとで、大崎駅経由でりんかい線に乗り換えて、東雲へ。羽田空港が近いので、青空を見やると飛行機が飛んでいる。巨大な倉庫の2階をアートスペースにしたTOLOT/heuristicに向かう。図書館の写真でおなじみのカンディダ・ヘーファーを目当てに出かけたのだが、いろんなギャラリーが集まっていてたのしい。ところで、清澄白河もそうだが、まわりに商業施設のない物流倉庫のギャラリーで働いている人たちは、お昼ごはんをどうするのだろうと疑問に思う。弁当持参か、コンビニか。

東雲から渋谷へ。途中、渋谷のカフェは混むだろうからと大崎のスタバで少し休憩してから、渋谷の途方に暮れる人混みをかきわけてタワーレコード渋谷店の2階に向かう。ペンギンブックスのトートバッグとペンギンブックスの本(ヴァージニア・ウルフ『自分自身の部屋』)を買った。

Sunday, April 27

天気のよい日曜日、木場公園を散歩して、東京都現代美術館へ。「驚くべきリアル スペイン、ラテンアメリカの現代アート」展と「MOTアニュアル2014 フラグメント―未完のはじまり」展をみる。美術館側にしてみればまったくよろしくないだろうが、現代美術の展覧会は空いててたいへん快適だ。

じっくり展示をみてまわってから、お昼ごはんはSacra Café.で。建物の老朽化により夏前に閉店するという報せに驚く。おいしい食事とケーキ、映画関連書籍の本棚を清澄白河を訪れるたびに楽しみにしていたので、残念でならない。どこかに移転しての再開を期待したいところ。ラタトゥイユ、ロールケーキ、珈琲。

古書ドリス、古書ほんの木、eastend TOKYOBOOKS、しまぶっくを梯子する。澁澤龍彦『フローラ逍遥』(平凡社)、アン・モロー・リンドバーグ『翼よ、北に』(中村妙子訳、みすず書房)、山田宏一『友よ映画よ わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』(ちくま文庫)、蓮實重彦『シネマの煽動装置』(話の特集)、多和田葉子『旅をする裸の眼』(講談社文庫)、高階秀爾『ルネッサンスの光と闇 芸術と精神風土』(中公文庫)、内田百閒『東京焼盡』(中公文庫)、保坂和志『途方に暮れて、人生論』(草思社)、いしいひさいち『女には向かない職業2』(東京創元社)、『ku:nel』(マガジンハウス)のvol.9とvol.13を買った。途中、江東区森下文化センターの「のらくろ館」を見学する。