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Monday, March 3

夕ごはんに、ハムとほうれん草と長ねぎとコーンと卵をのせたラーメンを食べる。

ここ数年、ラーメンのトッピングとしてコーンをのせることが多いのだけれど、麺もあわせて混ぜ混ぜして食べるとコーンはふよふよふよと汁のなかに沈んでしまうことが多く、汁はすべて飲み干さないし、沈んでしまったコーンをすべてすくって食べることは非常に困難だし、毎回、もったいないなあ……というふがいない気持ちでいた。加えてコーンを探しに汁のなかをスプーンでかき混ぜすくっては口に運びすくっては口に運びしようものならやたらと汁ばかり飲んでしまい、食べ終わった後にはものすごい満腹感に襲われて、美味しさよりもお腹がいっぱいになりすぎた苦しみのほうが勝ってしまうことが多々あった。で、このふたつの難点を克服する食べ方を考案したので、やってみた。まず先にトッピングの具をすべて食べてしまい、その後、麺だけ食べるというものだ。まず、トッピングのハムとほうれん草と長ねぎとコーンだけ先に食べる。コーンは下に沈むことなくすべてすくえる。その次に麺をひたすら食べる。麺とともに汁もほどよく口の中に入るため、自然に適量の汁を摂取することができる。コーンも完食、辛い満腹感も無し。すばらしい。ってこれ、小学生のときにこういう食べ方をして、親に行儀が悪い、ちゃんとトッピングと麺をバランスよく口に運びなさい、と怒られた食べ方だ。

わたしは、好きなものといえばまずお米だけれど、麺も相当に好きなメンクイだから、麺なんてクイクイといくらでも食べられる。子どもの頃は、ソース焼きそばのまだ何の味付けもしていない麺だけモリモリと食べるのも、好きだった。でもやっぱり、これはお行儀のいい食べ方ではないな。次回はどうしようかな。

今朝も今朝とてとても身体が重く、倦怠感があったのだけれど、夜になったら今朝の怠さはどこへやら、突如として身体が軽くなった。なんだかすごく調子がいい。日曜に9時間半睡眠とった効用がここに出た? いつまででも起きて活動していられそうな感じがする。このまま体調が上向いてくれれば本当に嬉しい。

Tuesday, March 4

ローリング・ストーンズ来日で「Barakan Morning」でもストーンズ関連の曲ばかりかかる。ライブいいなあ、観に行く人うらやましい。DVD出たら買おうかしら。今回の来日時の画像や動画を検索して見てみたら、ミック・ジャガーは一時期よりジェーン・バーキンに似てない。

Friday, March 7

3月に入っても寒い。まあ暦の上では啓蟄だのといっても、3月ってまだまだ寒いからこんなもんだろうと思い直していたら、天気ニュースによるとどうやら強烈な寒波が居座っており、今年の3月はかなり気温が低いのだそう。

お昼過ぎ、東京の空にちらちら雪が舞う。Bunkamura BOXギャラリーで「田中千智展 静かな夜の灯」を観る。この人の絵、好みだなあ。いつもトーキョーノーザンライツフェスティバルのパンフレットに使われている。2012年のVOCA展でも観ている。背景に塗られた黒の質感がいい。底知れない闇の黒。それでもそこに明るさを見てとってしまう不思議。背景はアクリル絵具で、それ以外は油彩で描いているそうだ。画集が出たら買ってしまいそう。その後、隣り合わせのギャラリーで「写真と絵画のシンクロニシティ」、ザ・ミュージアムで「シャヴァンヌ展—水辺のアルカディア ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界—」を観る。

お腹がすいて、文化村やユーロやヴェーラやオーディトリウムに行く時に通るといつも混んでるマークシティのスペインバルに初めて入ってみて、いろいろ食べる。スペイン料理のお店に行ったのはとてもとても久しぶりだったけれど、スペインオムレツやきのこのアヒージョ、じゃがいもとタコの組み合わせ、トリッパの煮込みなど、実はわたしの好物がたくさんそろっていることに気づいた。昔は魚介類がそれほど得意ではなかったのでパエリアはあまり食べていない。でもいまはすごく食べたい。ところがお腹が膨れてそのパエリアはもう入らなかった。無念。

帰宅したら『UP』が届いていた。

Saturday, March 8

明け方のラジオのニュースが、きのうは3月としては記録的な寒さだったと伝えていた。家の中も、寒い。

山口晃が『すゞしろ日記 弐』でおすすめしていたフレンチレストランRISAKIに足を運ぶ。可愛い外観に美味しい食事、清潔なこざっぱりとした店内。いいお店。これからこの他にも、『すゞしろ日記』で山口晃がよく通うと紹介していた谷根千のお店を少しずつめぐってみようと思う。

SCAI THE BATHHOUSEの「Making Links: 25 years」で、中西夏之、アニッシュ・カプーア、李禹煥、ダレン・アーモンドなど観た後、上野公園を歩いていたら国際子ども図書館で展覧会をやっている看板を発見。ここは一度訪れたきりで、再訪しようと思いつつ忘れていたので、早速行ってみる。正式名称は国立国会図書館 国際子ども図書館で、もともとは明治期に帝国図書館として建てられたもの。平成になって安藤忠雄が中心となって改修を手がけ、古くからの建物に鉄骨で補強してリニューアルオープンした。本のミュージアムで企画展「日本の子どもの文学—国際子ども図書館所蔵資料で見る歩み」を観る。プロレタリア児童文学のコーナーがいちばん面白かった。プロレタリア文学とともにプロレタリア児童文学なるものも誕生したけれど世に広まることはなく、「今現在でも読まれているものはありません」と解説パネルで無情にもあっさり断定されていた。ケースに並べられたプロレタリア児童文学の本の表紙には、子どもがいたずら書きをしている場面が描かれていて、「ジヌシ バカヤロ」なんて文字が見える。思わずわらう……。いまなら広く読まれるのではないか。

国立西洋美術館で「エドヴァルド・ムンク版画展」。《マドンナ》が観たくて行ったのだけれど、リトグラフの連作《アルファとオメガ》もなかなか面白かった。そういえば前の日に観た田中千智の人物画はなんとなくムンクを想起させるところがある。

谷根千に戻って古本屋をめぐろうかなと目論むも、きょうのところはこれにて撤収。日陰に入るとまだまだ寒いけれどじきに暖かくなって、今年も桜色の上野公園は人でいっぱいになるだろう。帰宅して、近くのスーパーに買い物。なぜ米を買う日にわざわざ瓶ビール(ヒューガルデンやらドイツビールやら)を買い込むのか、夫よ……。

夜は、ハッシュドポテト、空豆のパン、ねじりドーナツ、赤ワイン、白ワインを飲み食いしながらハル・ハートリー監督『ブック・オブ・ライフ』(1998年)、『フラート』(1995年)を観る。この監督にとって、宗教、贖罪、愛、性というテーマがいかに大切かということがつくづくわかる。映画の試みとしてはメタ構造、差異と反復、そしてプライベートを持ち込むこと、など。ハル・ハートリーなら何でも許しちゃう。

Sunday, March 9

朝ごはん、ホットケーキ、ヨーグルト、珈琲。ホットケーキはいつもバターだけのせて食べる。蜂蜜やメイプルシロップをかけることもあるけれど、このシンプルな食べ方がいちばん好きだ。午前中は台所仕事に従事。お昼はカレーうどん。近くの珈琲店で珈琲を飲みながら松浦寿輝『青天有月』(講談社文芸文庫)を読む。夜は、ベーコンとズッキーニとほうれん草のあさりパスタと赤ワイン。食後に、きょうもハル・ハートリー監督作品『ヘンリー・フール』(1997年)を観る。