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Monday, November 11

夕方からめっきり冷え込む。いよいよ冬がきた。これくらいの寒風でも目に滲みて滲みて、涙があふれてくる。いまからこれでは、1月2月はどうしたらよいのか。木枯らし1号も吹いた。昨年より7日早いらしい。夜はいよいよ寒い。羽毛ぶとんにくるまって眠る。

Wednesday, November 13

本屋で注文していたリトルプレス『ぽかん』3号を受け取り、無印良品で醤油揚げ煎餅とバームクーヘンを買う。鯛焼き店でこしあんの鯛焼きも2つ買う。最寄り駅で電車を降りたら目の前の男子高校生がじぶんの背丈の半分くらいの長さの植物を持って歩いていた。湿らせた布で根っこのところを包み、ジップロックに入れている。丁寧な仕事だなあ。男子高校生はたびたび植物をちらちらと見やりながらしっかり抱えて歩いている。大切にしているのかな。それとも邪魔……って思っているのだろうか。何にせよ何やら微笑ましい姿だった。

夜は、鶏肉とほうれん草と卵をのせたうどん、ビール。

Thursday, November 14

ポール・マッカートニーが日本公演で来日しているため、新曲の「NEW」がラジオでじゃんじゃかかかりまくっていて嬉しい。この曲大好きだ、すごく好き。もっともっとビートルズ特集もやればいいのにな。一日ビートルズかけっぱなしでお願いしたい。

午前8時頃、部屋の窓から見える大きなマンションの窓に太陽があたって反射して、数十メートル離れたわたしの家の中に光が差し込む。部屋の窓からはいつものように、大木が豊かな葉を揺らしているのが見える。こんなに美しい朝を見て穏やかな心持ちになっていたのに、夜遅くになってひどく体調が悪くなってしまい、ぐったり。

Saturday, November 16

池袋にある古書往来座に初めて行ってみた。なんという品揃え! なんという価格! この本がこんな値段で!? キャー、という感じでまたもや買いまくってしまう。港千尋『写真という出来事 クロニクル 1988-1994』、ガルシア=マルケス『ママ・グランデの葬儀』、『BRUTUS 特集:20世紀読書計画 Part2』(1995年10月号)、金井美恵子『柔らかい土をふんで、』、小沼丹『椋鳥日記』、『現代思想 総特集:バシュラール』(1980年4月20日臨時増刊)、酒井忠康『スティーヴン・ディーダラスの帽子』『奇妙な画家たちの肖像』、木村浩『ロシアの美的世界』、中上健次『熊野集』、ソール・フリードランダー編『アウシュヴィッツと表象の限界』を購入。こんなに抱え込んで、すべて読み終えるのはいったいいつになるのだろうか。それにしても金井美恵子がこれほど大量に置いてある古書店は初めてかもしれない。土地柄?

Sunday, November 17

両国のシアターX(カイ)に多和田葉子と高瀬アキによる「晩秋のカバレット」を観に行く。昨年に続き、2度目。トーマス・マンの『魔の山』をモチーフに、テーマは“反原発”である。昨年よりわかりやすく、視覚的にも工夫が凝らされていた。多和田葉子が紙芝居を上演するという体で進行するパートではピアノの音は無く(紙芝居だから)、高瀬アキのピアノソロパートもあったりして、昨年のほうが2人の絡みが濃厚だったように思え、それについては少し物足りなかったが、ラストのたたみかけるような多和田葉子のパフォーマンスは理屈抜きに迫ってくるものがあって、胸打たれた。その感覚は理屈でどうこう言えるものではなかった。