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Saturday, February 9

春物を求めて渋谷と代官山をめぐり、スプリングコート、同じようなの持ってるじゃんというニット、いじけた女の子の顔がばーんと描かれてるブラウスを買った。人の顔モチーフが好きでついつい目がいく。これまでのわたしの人生は、洋服に描かれた顔についてちゃんとつっこんでくれる心優しき人々に囲まれていた。これからもそうであらんことを。人の顔モチーフというとちょっと違うけれど、2002年S/Sのハンアンスンのコレクションではハクション大魔王の娘「アクビちゃん」が描かれたタンクトップやパンツなんかがたくさん発表されていてものすごく欲しかったことがある(結局買わずじまいだった)。今でもものすごく欲しい。ハンアンスンの洋服はいつも可愛い。

途中、代官山ヒルサイドフォーラムで「続・キギ展 集合と拡散」。昨年ヴァンジ彫刻美術館で観た、古書に大胆不敵かつひっそりと潜む蝶に再会。あの写真を解体した作品はどういう試みなのだろうか。ホンマタカシの「M」シリーズを思い浮かべてしまう。

夕暮れ時にDAIKANYAMA T-SITEのAnjinで赤ワインとミックスナッツを食べて夕ごはんとしたかったけれど足りるはずもなく、帰宅後、おにぎり、玉ねぎと卵の中華風スープを。

Sunday, February 10

図書館。『新潮』(新潮社)3月号、佐々木敦と堀江敏幸の対談、川端の未発表小説を読み、古井由吉と角地幸男の吉田健一論は後にとっておいて、『文學界』(文藝春秋)3月号、蓮実さんと黒田さんの対談を読む。「テクスト的な現実」にそって。

久しぶりに『ダークシティ』(アレックス・プロヤス監督、1998年、アメリカ)を観て、SF映画にそれほど興味がないわたしでもやっぱりこの映画は大好きで、でもそれはこの映画のSF映画らしくないところに愛すべき魅力が詰まっているからだと思う。

いつもの花屋でガーベラとマトリカリアを買う。マトリカリアと言おうとすると必ずマトリョーシカと言いそうになって、それをぐっとこらえる。そのあとモデルのマリアカルラ・ボスコーノを思う。マトリカリアとマリアカルラも似ているから。マリアカルラは昔から大好きなモデルだ。このまえGIVENCHYの広告で見かけた。