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Monday, MaySeptember 5

日付が変わった瞬間にGoogleロゴがフレディ・マーキュリー仕立てになっていて音楽も流れたので何度も何度も「Don’t Stop Me Now」を聴いてしまった。

お弁当、ご飯+しらす干し、卵焼き、鶏肉とピーマンのソテー、ひじきの煮物、茹でたにんじん、ミニトマト。

朝ごはんのあと本棚から伊藤まさこの『東京てくてくすたこら散歩』(文藝春秋)を抜き取りちゃんと読んでみたらお気に入りの場所や再訪したい場所や行ったことないけれどいつか行きたい場所がいっぱいだった。

夜、遅めの夕食を済ませたあと、23時まで野菜を蒸して常備菜づくり。合間に『万博と戦後日本』(吉見俊哉、講談社学術文庫)の濃厚で過激な序文を読む。26時まで読書。『Front Row アナ・ウィンター ファッション界に君臨する女王の記録』(ジェリー・オッペンハイマー、マーブルトロン)。自らの体力を過信し月曜から飛ばし過ぎの一週間が幕を開けた。

*今日の一枚  We Walked In Song/The Innocence Mission

Tuesday, September 6

お弁当、ご飯+しらす干し、卵焼き、豚肉のソテー、鰹のなまり節ポン酢あえ、蒸したかぼちゃとにんじん、ミニトマト。

朝ごはんのあと、夕べのアナ・ウインターの続き。意思が強く、重心がぶれず、大胆で理路整然とした頭脳を持ちあわせた彼女とわたしが似ているところは微塵もなさそうだが、目がひどく弱いところ(いつもサングラスをかけているのはそのせいだったらしい)とじぶんの考えを言葉にして伝えることが苦手(!)だというところに親近感をおぼえた。

ファッション・ページの原稿やコピーを書くのはいつもダニエルズの役目だった。アナは相変わらず記事の内容を説明するのが不得手だったため、ダニエルズが原稿を書き終えるのは、いつも締め切り直前だった。おおまかな構想を練るのはアナで、それを形にするのは彼女以外の人間だった。

というのだ(ダニエルズは雑誌『サヴィー』でアナの上司だった人物)。周辺の人々からは

彼女は言葉や文章力がないことで知られていた。じぶんの考えを分かりやすく説明することができなかったの。口にすることと言えば『あら、それは素敵ね』ぐらいで、込み入ったアイディアをじっくり話し合うようなタイプではなかった。それに複雑なことを考えているようでもなかったわ。

などと言われる始末で、そんな編集者いるのか!? と驚倒させられるのだけど、思えば、じぶんはひたすらしゃべらず、相手にばかりしゃべらせているにもかかわらず経験と卓抜したセンスと要領の良さと極上のルックスでなんとかさせてしまっている男性編集者を知っていて、それってつまるところ天賦の才能と呼ばれるものなのだろうか。などと結局、なにが親近感だ、という遥か遠いところに着地してしまったのだが、それはそれとして、何かを成した人というのは往々にしてその人が残した言葉とともに語られるものだけれど、アナほどのセンスと実力と名声を得た人物が結果的にそれほど言葉を残していないというのは本人の意向があったのかどうかというところも含めて非常に興味深く思われたのだった。ともあれわたしはじぶんの外見を磨き、お洒落に命をかける女性は好きなのでアナ・ウインターも好きである。

電車のなかで『女子校育ち』(辛酸なめ子、筑摩プリマー新書)を読みはじめる。

夜は『ブルース・ブラザーズ』を観た。名作なのに、いい音楽がいっぱいかかっているのに、ちょっとうとうとしてしまった。映画を観ながら寝るとすごく気分が悪くなる。前はそんなことなかったのに。歳のせいだろうか。

*今日の一枚  April In Paris/Count Basie & His Orchestra

Wednesday, September 7

お弁当、ご飯+しらす干し、卵焼き、豚肉とピーマンの炒めもの、鰹のなまり節ゴマだれあえ、蒸したにんじんとかぼちゃ、ミニトマト。

夜、『ブルース・ブラザーズ』の歌の部分だけもう一度観る。監督であるジョン・ランディスに敬意を表し、マイ・マイケルジャクソンDVDコレクションから「Thriller」を鑑賞。いちばんマイケル・ジャクソンを聴いていた中学高校時代、当時はそれほど「Thriller」は耳にひっかからなかった曲だったけれど、2009年6月25日のあの日を境にまた狂ったように聴き出したところこれほどまでに完成度の高い曲だったのかと驚愕した。

*今日の一枚  A Day In The Life/Wes Montgomery

Saturday, September 10

午前中に雑用を済ませ、そろそろ太陽が傾きはじめる頃に友人に誘われて出かける。女性4人で紅茶の試飲会なるものに行ってみた。わたしは紅茶に関してこれといったこだわりはなくて、砂糖も入れずミルクも入れず、アールグレイかダージリンをそのまま飲むのがいちばんだと思っているくらいだから紅茶の試飲会に行ってみてもあまり益なしなのかもしれないけれど、今日の主催メーカーは商品を丸いシルバーの缶に入れて売るのが人気で、その缶に貼られたラベルに描かれた絵が好きなのでその楽しみがあった。初めて足を踏み入れた慣れない場所でまずひとくちふたくち試飲し、パッケージの絵をすべて眺め、いちばん気に入ったものを買ったあとは暇になってしまったので来場している人々を観察。それにも飽きて突如、すべてのお茶を試飲してみようと思い立ち会場の端から端まで何かに憑かれたように飲み歩いたら気持ちが悪くなってしまった。紅茶も飲み過ぎはよくない。優雅から遠く離れて。とある50〜60代と見られる女性が売場にいる店員に何かを質問していて、お茶の名称の読み方でも訊いているのかと思いきや店員さんの名字の読み方を訊いていた(店員さんたちは皆名札をつけている)。紅茶試飲会あるある。いや、ないない。

その後、移動してイタリアンのお店で夕食。ワイングループとソフトドリンクグループにわかれる。わたしはもちろん白ワインを美味しくいただきました。今日集まった4人は大学時代に徒党を組んでいた仲間のうちでも文化系の極北のような4人なのだけど、皆志向は似ているものの嗜好は見事に分かれていて、ニッポンのカルチャーの細分化の縮図がここに。

Sunday, September 11

自宅で映画3本。ベルナルド・ベルトルッチ『暗殺の森』(1970年、イタリア/フランス/西ドイツ)、ミヒャエル・ハネケ『白いリボン』(2009年、オーストリア/ドイツ/フランス/イタリア)、米林宏昌『借りぐらしのアリエッティ』(2010年、日本)。『借りぐらしのアリエッティ』のなかにマトリョーシカが数多く出てくるのはなぜ? アリエッティの部屋にひとつ、納戸にひとつ、あともうひとつ。どこだったかわすれたけれど。

TSUTAYAの行き帰りの電車で『UP』(東京大学出版会)。ただしひと月前の8月号。

*今日の一枚  A Good Day/Priscilla Ahn