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Monday, August 27

あれは表参道駅構内だったか、壁に貼られたフリーペーパーの宣伝ポスターに「ビアガーデンがある、麻布十番の意外な大使館は?」というクイズが載っていて、そんな粋なことをやる大使館があることに吃驚し、はたしてドイツだろうかベルギーだろうかと興味津々で当のフリーペーパーを確認してみたならば、正解は「香川県のさぬき大使館」とある。近年稀にみる人を脱力させるクイズがここにある。

Tuesday, August 28

去年の反省を生かして、暑すぎる夏場はなるべく外出しないように心がけたつもりであるが、今年もやはりまた夏バテである。「夏バテ」という語彙の成り立ちは「夏」と「バテる」を合体させたものだろうことは容易に想像できるが、「バテる」という言葉の語源を辿ると、競馬用語で競走馬が疲れて脚がもたつき「ばたばたになる」というのが「ばてる」に縮まった説と、「疲れ果てる」の「果てる」が「ばてる」に変わったという説があるらしい。前者であれば夏バテという言葉の響きのもつ、病には至っていない軽さを含んでいるように思うが、問題は後者だ。この夏、疲れ果てる。立ち直れない感じがする。

夜、白米、玉葱とじゃがいもの味噌汁、豚肉のソテー、茄子とキャベツの炒めもの、昆布の佃煮、冷奴、モルツ。

Wednesday, August 29

そして夏バテ。

夜、白米、ほうれん草とネギの味噌汁、秋刀魚の塩焼き、大根おろし、キムチ、モルツ。

Thursday, August 30

有給休暇を取得して溜まりに溜まった本を奇跡の速読術で二十冊ほど消化するつもりが、『装苑』(文化出版局)10月号と『コーヒーピープル』(川口葉子/著、メディアファクトリー)と『CASA BRUTUS』(マガジンハウス)8月号を隈なく読み終えたところで力尽きる。夏バテ。

夜、イエローカレー、サラダ(ベイビーリーフ、コーン、ミニトマト、胡瓜、玉葱、レモン)、モルツ。

Saturday, September 1

一眼レフの機材を売ってコンパクトデジタルカメラを買う。シグマのレンズなどを売り払って得た軍資金を携え、開店直後の新宿の家電量販店に向かい「これください」と店員に指差したのは、見た目のレトロ感に釣られたのがいちばんの要因という気がしないこともないこともない富士フイルムのX10。新宿西口から東口へと進路を変え、今度は開店直後の伊勢丹に赴いてトゥモローランドでシャツを買う。百貨店での買い物袋をぶら下げた人間がつづけて向かう場所はさまざまだろうが、おそらくそれはあんまり「ない」のではないかと思われる広尾の東京都立中央図書館がつぎの目的地。図書館に向かう前にカフェ・デ・プレで腹ごしらえ。ハムとチーズのサンドイッチとスープとアイスコーヒー。

四時間ほどの図書館滞在で読んだのは『考える皮膚』の後日談とでも呼べそうな、『時代を着る:ファッション研究誌『Dresstudy』アンソロジー』(深井晃子/監修、京都服飾文化研究財団)所収の港千尋の小論「フェティシズムとアイデンティティ 皮膚の政治的生活について」。それと現代詩手帖特集版『シモーヌ・ヴェイユ 詩をもつこと』(今村純子/編、思潮社)掲載の今福龍太と港千尋の対談「戦間期 シモーヌ・ヴェイユ、愛、恩寵」。最後は『世界の夢の本屋さん』(清水玲奈/著、エクスナレッジ)。『世界の夢の本屋さん』で冒頭を飾るのはロンドンにあるドーント・ブックス・マリルボーンという本屋で、この書店についてはかつて存在したNTTデータのウェブサイト「先見日記(Insight Diaries)」で港千尋がその素晴らしさを紹介していたのを憶えている。と、うっかり港千尋三昧の読書タイムと相成った。

夜、脱力クイズに誘われて「ビアガーデンがある、麻布十番の意外な大使館」へ。東京さぬき倶楽部でジンギスカンとビール。

Sunday, September 2

いつもの花屋でソフォラ・ミクロフィラを購入。『一冊の本』(朝日新聞出版)9月号、『図書』(岩波書店)9月号、『文学』(小野正嗣/著、岩波書店)を読む。