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Monday, August 20

小学生時分に読んだ本のひとつに『アニメの世界』(おかだえみこ、高畑勲、鈴木伸一、宮崎駿/著、新潮社)がある。けして子ども向けとして出されているわけでない新潮社の「とんぼの本」を当時どれほど真剣に読み耽っていたかは怪しいもので、掲載されているアニメにまつわる「ヴィジュアル」をただ眺めていただけなのが実際のところであったろうが、幾度も繰り返し手にとったことは確かな記憶として残っている。自宅の書棚から失って久しいこの本を図書館から借り出してあらためて中身を確認したのは理由があって、この夏スタジオジブリの作品のいくつかをまとめて鑑賞したから。ラインナップは『耳をすませば』『紅の豚』『天空の城ラピュタ』『ルパン三世 カリオストロの城』『風の谷のナウシカ』『ホーホケキョ となりの山田くん』の六作品。

大人になってからのジブリ映画鑑賞の愉しみ方として今回気がついたのが、映画を見終えたあと余韻に浸る間もなくすかさずパソコンに向かい、ウィキペディアなどで作品制作にまつわるスコラ的な話題をあれこれ披見するというもの。宮崎駿をはじめとするジブリのスタッフたちは大抵喧嘩ばかりしている。仲が良いのやら悪いのやらの揉めてばかりの人たちが、たったいま見た素晴らしいアニメーションをつくったのかと、アルコール片手にしばし感慨に浸るが乙である。

夜、茄子とベーコンとパプリカと玉葱のパスタ、コート・デュ・ローヌの赤ワイン。

Tuesday, August 21

ちなみにジブリのなかでいちばん好きなのは、宮崎駿のもつコミカルな要素が洗練され趣味のよいかたちで発揮されている『紅の豚』。夜、白米、辛子明太子、茄子と油揚げと茗荷の味噌汁、刻み葱と冷や奴、鰤の塩焼き、胡瓜、もやしのナムル、サッポロ黒ラベル。

Wednesday, August 22

夜、パセリをまぶした白米、茄子と油揚げの味噌汁、牛肉のソテー、マッシュポテト、キャベツとピーマンの炒めもの、サッポロ黒ラベル。

Thursday, August 23

夜、イエローカレー、サラダ(サニーレタス、ベイビーリーフ、コーン、赤パプリカ、玉葱)、サッポロ黒ラベル。

Friday, August 24

最近の読書。
『倉俣史朗着想のかたち 4人のクリエイターが語る。』(鈴木紀慶/編著、六耀社)
『遊戯の終わり』(フリオ・コルタサル/著、木村榮一/訳、岩波文庫)
『定義集』(大江健三郎/著、朝日新聞出版)
『小説的思考のススメ 「気になる部分」だらけの日本文学』(阿部公彦/著、東京大学出版会)

夜、素麺、辛子明太子、枝豆、胡瓜と味噌、サッポロ黒ラベル。

Saturday, August 25

辟易するほどの陽射しが地面を照らす夏の土曜日、小田急線の代々木八幡駅で降りてから少し歩いてハンバーガーにありつくためにウエストパークカフェへ。WPCバーガーとコーラを注文。

食事を済ませて古本屋。自宅の近所には毎週のように通いたくなる美味しい珈琲の飲める居心地のよいカフェはあるものの、毎週のように棚を覗きに行きたくなるような古本屋がなくて、たとえば代々木上原駅ちかくの古本屋ロスパペロテスのような店があると嬉しいのにといつも思う。ロスパペロテスで『時間』(吉田健一/著、新潮社)とトーベ・ヤンソンを特集した『ユリイカ』(青土社)1998年4月号を購入。

ヤンソン特集の『ユリイカ』には堀江敏幸による「のぼりとのスナフキン」の原稿が収められていて、これはのちに同じく青土社から刊行される『おぱらばん』の最後を飾ることとなるのだが、なんでも『ユリイカ』の原稿依頼と『おぱらぱん』のあとがきの執筆依頼の締切がほぼ一緒で、雑誌と書籍の両方の編集部から督促されてあみ出した離れ業が、雑誌掲載の原稿をそのまま単行本のあとがきとして使うというものだったらしい。作家本人が青山ブックセンターのトークショーで吉増剛造を相手に説明していた。だから単行本のなかで、あの文章だけ、ちょっと浮いてる。

Sunday, August 26

夏休みの課題図書である『トムは真夜中の庭で』(フィリパ・ピアス/著、高杉一郎/訳、岩波少年文庫)を読む。夜、白米、茗荷とネギの味噌汁、お刺身、キムチ、胡瓜と味噌、サッポロ黒ラベル。