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Monday, July 23

いささか食傷気味のツイッターに替わって、ちょっとした隙間時間を埋める役割をあらたに担いはじめたのはコウビルド英英辞典で、iPhoneを手にとるたびに、英単語の説明を噛み砕いた英文でしてくれる辞典のアプリを凝視している。

コリンズ社の COBUILD English Dictionary を好きなのは、優しく語りかけるように説明してくれるからで、たとえば普通の辞書なら、語句の意味を体言止めの箇条書きにするところを、この辞書は「もし誰かが○○した場合、それは……」といった具合に文章で教えてくれるのだ。その語句がいい意味で使われるのか悪意をこめて使われるのか、くだけた表現なのかフォーマルな語彙なのかを教えてくれるところもいい。シンプルでよく使われる言葉、たとえば動作や感情や身体にかかわる言葉を引くと、この辞書のありがたみがよくわかる。(『気になる部分』、岸本佐知子/著、白水社)

夜、蛤と茄子と玉葱と黄パプリカとベーコンと水菜を和えたパスタ、ビール。

『ドラゴン・タトゥーの女』(デヴィッド・フィンチャー監督、2011年、アメリカ/スウェーデン/イギリス/ドイツ)を鑑賞。

Tuesday, July 24

『クウネル』(マガジンハウス)の連載「高橋みどりの伝言レシピ」に「めざしリスボン」というメニューが載っていて、フライパンにオリーブオイル、ニンニク、赤唐辛子と一緒にめざしを入れて加熱し、焼きあがったら皿に盛り、胡椒をふって、パセリのみじん切りをたっぷりのせるというその料理を真似してつくってみて完成したところで、あまりパセリが好きじゃなかったことに気づく。

Wednesday, July 25

有給休暇。図書館から借りだした古井由吉を特集した『文藝』(河出書房新社)の古井由吉にかんするページだけを熟読していたら、古井由吉の対談相手として登場するのはやっぱり堀江敏幸。昼、素麺、薬味に生姜と葱と茗荷、トマトと胡瓜のサラダ、枝豆、ビール。夕方、横須賀線に揺られて鎌倉に向かい、いがらしろみのジャム専門店で、原材料名に桃とビートグラニュー糖と白ワインとレモン果汁とスペアミントと記されたジャムと、バターナイフを購入。鎌倉駅周辺が尋常でない人の数で溢れかえっているのは花火大会があるからで、駅から歩いてもっとも近い由比ヶ浜周辺は実況のアナウンスだとか音楽だとかが喧しいし、鎌倉の花火はちょっと中心部から離れても浜辺から遠ざからなければ綺麗に見えることは知っていたので、材木座海岸を少しばかり歩いて人気のいくぶん少ない場所に焼きそばとビールをもって移動して、海面に浮かぶ船から打ち上げられる花火を一時間ほど眺めていた。

Thursday, July 26

夜、白米、葱と人参の味噌汁、水菜と鶏肉のしょうが焼き、煮南瓜、人参と大根のなます、ビール。『戦火の馬』(スティーヴン・スピルバーグ監督、2011年、アメリカ)を鑑賞。

Friday, July 27

ベルギーのビール(シメイ・ブルー)と日本のビール(ヱビス)をつづけて飲んだらどんよりと酔う。

Saturday, July 28

午前中にテキスタイルを特集したなかなか充実した内容の『装苑』九月号(文化出版局)とアマゾンのレビューでたいへん評判の悪い『みんなの機内食』(機内食ドットコム Rikiya/著、翔泳社)を読んでから商店街へと買いものに向かう。いつもの八百屋と魚屋で食材を買い、いつもの花屋で食卓に活ける花を買う。

昼、この夏二度目の鰻の蒲焼き、蛸とわさび醤油、大根と葱の味噌汁、烏龍茶。食後に『ハーブ&ドロシー』(佐々木芽生/監督、2008年、アメリカ)を鑑賞。

ポンピドゥー・センターで買ったゲルハルト・リヒター回顧展のカタログをちゃんと読んだら、本展はロンドンのテートモダンとベルリンのナショナルギャラリーとパリのポンピドゥーを巡回するという飛行機で日本から十時間以上かかる場所でばかり催されるようで、ひょっとして日本でもやってくれるんじゃないかという淡い期待は撃沈する。

Sunday, July 29

読みさしの本をいくつか読み、そのまま読みさしのまま終わった日曜日。夜、白米、胡麻塩、牛肉のソテー、蒸し人参、煮南瓜、トマト、白ワイン。

『100,000年後の安全』(マイケル・マドセン監督、2010年、デンマーク)を鑑賞。