6

Monday, July 18

海の日。青木淳悟『私のいない高校』(講談社)には文学的に特異な記述もなければ複雑な構成もないのだから異様さをかもしだす要素など微塵もないはずにもかかわらず読んでいてどうかと思うくらいに異様に感じる小説もめずらしくて、周密な記述を飄々とした文体でつむぐその小説のあらすじを追うならば海外からの留学生をふくむ日本の高校生が修学旅行に行くというただそれだけの話なのだが、最後の最後で面食らうし、なんかへんなもんがでてるよこの小説。ちなみに『私のいない高校』でいちばん好きな一節は

海鮮味噌汁のお椀の蓋が異様に開けにくく、みな同じようにこれにずいぶん手こずっていた。

先日読んだ堀江敏幸『象が踏んでも』(中央公論新社)を経由して近藤耕人と管啓次郎が編集している『写真との対話』(国書刊行会)という本の存在を知って、畠山直哉や港千尋のインタビューなどを中心にぱらぱらと読む。堀江敏幸が「毎年、夏休みに本棚の隅から取り出してながめるのがならわしの写真集」と書くクリスチアン・ルイ『国道七号線』が気になる。

夜ごはん、白米、味噌汁、豚肉と葱の味噌炒め、ひじきの煮物、冷奴、キムチ、麦酒。

Tuesday, July 19

世間的には蹴球にかんする話題で盛りあがっているらしいことをミルクチャン(@SuperMilk_chan)のツイートで知る。山本太郎『感染症と文明―共生への道』(岩波新書)と依田高典『次世代インターネットの経済学』(岩波新書)を読了。

夜ごはん、白米、味噌汁、鯵の塩焼き、キムチ、麦酒。

Wednesday, July 20

『春にして君を想う』(フリドリック・トール・フリドリクソン監督、1991年、アイスランド)を鑑賞。『レイモン・サヴィニャック フランス ポスターデザインの巨匠』(ピエ・ブックス)を読む。

夕方、所用で銀座。『クウネル』の最新号を読んでいたところ「すべからく」の誤用があり、ちょうど銀座にいたのでマガジンハウスに出向いて指摘するのも一興であるが、私はそこまでの「すべからくパトロール隊」ではないので遠慮する。夜、煉瓦亭でハヤシライスと黒麦酒。年代物のレジスターがかっこいい。煉瓦亭の店内の調度品やテーブルは1964年の改装以来ほとんど変わってない、というのは『クウネル』2007年1月1日号の特集「銀座わがまち。」からの知識。

Thursday, July 21

台風が南太平洋へ移動するのを確認したのち、馬喰町。フクモリでお昼ごはん。アガタ竹澤ビルにて「Humid but cool, I think.」(TARO NASU)「川内倫子写真展/Illuminance」(FOIL GALLERY)「αMプロジェクト2011 成層圏 Vol.3 下道基行」(Gallery αM)「ポーランドの陶器展」(チェドック)。ちょっと歩いて「The Myth of Superflat: Slow Reveal: Another Japanese Photography in the 1990’s」(motusfort)。

ポーランドの陶器展でカップを買ってしまう。毎朝の珈琲をいれるカップとしてポーランドの陶器が使われることになるだろう。食卓におけるポーランド侵攻。蔵前の隅田川そばのシエロイリオでマンゴージュースを飲んで休憩。土用の丑の日だからと鰻を食べるなどという習慣をもちあわせていないのだが、なんとなく流れで山手線の西日暮里駅から歩いて稲毛屋に赴き、鰻重の梅を注文。店内でミルクチャン(@SuperMilk_chan)の

「梅」を頼んだら、「ぎゃふん」とするくらい鰻が小さくて、なんか恥ずかしくなって、途中から隠しながら食べた。

というツイートを閲覧しておなじく「梅」を注文したことにいくばくかの心細さが襲うものの、運ばれてきた鰻重の蓋をあければ杞憂に終わったことが判明してひと安心。古書ほうろうで二冊。

Friday, July 22

船津靖『パレスチナ―聖地の紛争』(中公新書)を読む。

カクヤスで麦酒と第三の麦酒を大量入荷。麦酒が売れないというニュースと自宅の冷蔵庫内における麦酒回転率を思う。夜ごはん、白米、豆腐と葱の味噌汁、鰯の塩焼き、小葱と鰹節の冷奴、麦酒。

Saturday, July 23

大暑。涼しい。ノルウェーでテロ。サミュエル・R・ディレイニー『ダールグレン』(大久保譲訳、国書刊行会)を読む。最近は『V.』とか『私のいない高校』とかわけのわからない小説ばかり読んでいる。

夜ごはん、野沢菜と卵とベーコンのチャーハン、青梗菜と椎茸の中華風スープ、麦酒。『ファッションが教えてくれること』(R・J・カトラー監督、2009年、アメリカ)を鑑賞。

Sunday, July 24

朝起きたらエイミー・ワインハウスが死んでいた。

『ひまわり』(ヴィットリオ・デ・シーカ監督、イタリア/フランス)を鑑賞。夜ごはん、根津のCAUZT CAFEでチキングラーシュ。公園で花火。就寝前の渋谷毅ソロと菊地成孔のラジオ。