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Monday, July 9

うだるような暑さ。うだっている。

伊達聖伸『ライシテから読む現代フランス 政治と宗教のいま』(岩波新書)を読む。フランスでのライシテをめぐる議論について、微に入り細を穿つ紹介がなされていて勉強になる。

夜、映画を見る。『希望のかなた』(アキ・カウリスマキ/監督、2017年)を鑑賞。カウリスマキのいい加減にもほどがある日本料理の解釈に笑う。

Tuesday, July 10

イギリスのEU離脱交渉をめぐり、デービスEU離脱担当相の辞任につづいて、外相のボリス・ジョンソンも辞めるという。なんだか迷走している。

玉木俊明『ヨーロッパ 繁栄の19世紀史 消費社会・植民地・グローバリゼーション 』(ちくま新書)を読む。

夜ごはん、焼きそば、麦酒。

Wednesday, July 11

毎日暑いのでもう夏バテ気味である。早く夏が終わってほしい。

加藤節『ジョン・ロック 神と人間との間』(岩波新書)を読む。

いうまでもなく、『統治二論』をつらぬく最大の関心の一つは、政治的統治の正統性の問題であった。その場合、ロックは、この正統性の問題をフィルマーの王権神授説に代わる社会契約説によって解釈したと考えることは、もとより不当ではない。
しかし、その解釈は、なお一面的であるといわなければならない。ロックの正統性論は、聖書解釈にもとづく神学的前提をともなっていたからである。それは、「いかなる政治的共同体においても最高の政治権力は神に由来する」として政治的統治の淵源を「神の意志」にもとめる視点であった。実は、ロックの正統性論の真の独自性は、この視点と社会契約説とを「神学的パラダイム」の枠内で結びつけたことにある。

夜ごはん、素麺、枝豆、きゅうりと味噌、鮪のたたき、麦酒。

Thursday, July 12

村上信一郎『ベルルスコーニの時代 崩れゆくイタリア政治』(岩波新書)を読む。ベルルスコーニの人生から見る、現代イタリア政治史。

夜ごはん、豚肉のステーキ、枝豆とグリーンリーフのサラダ、麦酒。

Friday, July 13

ここ数日ニュースをまともに追っていなかったので、エコノミスト誌の訃報欄でクロード・ランズマンの死去を知る。

ウォルマートが西友を複数の流通大手や投資ファンドなどに売却する計画だと日本経済新聞が報じたが、ウォルマート側は完全に否定。飛ばし記事?

ドナルド・トランプの訪英にともないロンドンで抗議デモが起きているというが、トランプの幼稚な政策を表現したらしい巨大バルーン「トランプ・ベビー」の存在を報道で知った。ガーディアン紙がその模様をYouTubeにあげている。

かわいい。かわいくしてどうする。

夜ごはん、醤油ラーメン、麦酒。

Saturday, July 14

『アニエスの浜辺』(アニエス・ヴァルダ監督、2008年)を見てから、外出。きびしい陽射しと湿度。

原宿駅下車。アニエス・ヴァルダ「Bord de Mer」(BLUM & POE)、草間彌生「Flower Garden」(SAKURADO FINE ARTS)、ベルトラン・ラヴィエ「Medley Works from the Collection」(エスパス ルイ・ヴィトン東京)、レイチェル・ハリソン「House of the Dolphins」(ラットホール・ギャラリー)、マッシモ・ヴィターリ「Coastal Colonies」(スパイラル)を見てまわる。

表参道から千代田線で西日暮里まで移動し、山手線で上野へ。国立西洋美術館の常設展を鑑賞。本日は常設展の無料観覧日。お目当ては「リヒター/クールベ」と題された展示。ゲルハルト・リヒターの自邸にはクールベの風景画が飾られており、隣りあう部屋には自作の《シルス・マリア》があるらしく、本展はそれを模した展示で、クールベの作品が一点とリヒターの作品が二点というとても小さな企画だがおもしろく見る。

美術館をあとにし、あまりの暑さに辟易しながら喉が乾いたところで、夜ごはんは上野精養軒のビアガーデンにて。

帰りの電車で、きのうから読み進めてきた麻田雅文『日露近代史 戦争と平和の百年』(講談社現代新書)を読了する。たいへんためになる本だった。

Sunday, July 15

『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』(アルバート・メイズルス/監督、2014年)を見る。ファッション界隈のメディアでしばしば見かけるアイリス・アプフェルがどういう人なのかを、いまさらながらようやく理解する。鑑賞後に情報を確認したところ、アイリスの夫もこのドキュメンタリーを制作した監督も映画公開の翌年に亡くなっていた。映画にでてくるアイリス夫婦を撮影するビル・カニンガムもこの世にいない。アイリス・アプフェル本人はいまなお健在。

国民国家単位に峻別されて対戦する運動競技の結果など私の人生にはなんの影響もないので、日本を含めてFIFAワールカップでどこの国が勝利しようが知ったことではない話だとはいえ、今大会で注目して見ていたのはイングランド代表である。なぜならガレス・サウスゲート監督のウェストコート姿がなかなか洒落ていたから。監督の服装で見るワールドカップ。インターネットを覗くとこの監督の服装はそれなりに脚光を浴びているようで、ニューヨークタイムズ紙のファッション欄が記事にしていた [1]。ところで、インターネット経由でワールドカップの試合を事後的に見られるようになったので、いくつかの試合を見ているのだけれど、見れば見るほどフットボールというスポーツの野蛮さに感心する。そんな野蛮な競技のなかで今大会いちばん洗練されていたと思うのは、フランス対アルゼンチンの試合である。野蛮さのなかに美しさがある。

夜ごはん、サーモンと大葉のパスタ、麦酒。

  1. How Gareth Southgate Made the Waistcoat a Surprise World Cup M.V.P. []