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Monday, March 19

曇り。
ロシアの大統領選挙は予定どおりウラジーミル・プーチンが勝利。この圧勝にどこまでの演出が入っているのかはわからないけれども、他国の選挙にあれほど干渉してきたロシア当局が自国の選挙でなにもやっていないと考えるほうがむずかしい。
日本銀行が公表している「金融政策決定会合における主な意見」は、各審議委員の発言の要約を匿名で記しているが、読んでいるとどれが片岡剛士によるコメントなのかが容易に推測でき、この人の発言にかんしては匿名の意味があまりないような。
ラジコのタイムフリー機能でJ-WAVEの「LAUGH SKETCH」を聴いたら来週で最終回だという。いまいちばん楽しみに聴いているラジオ番組が終わってしまう。

Tuesday, March 20

雨のち曇り。
読みさしになっていた文庫本二冊を最後まで。大西巨人『神聖喜劇』(光文社文庫)の第2巻とイマヌエル・カント『実践理性批判』(波多野精一・宮本和吉・篠田英雄/訳、岩波文庫)。
夜、映画を見る。『ムーンライト』(バリー・ジェンキンス監督、2016年)。

Wednesday, March 21

春分の日。冷たい雨が昼前雪に変わる。
戦前の日本について調べようと思って、そのての本を漁っている。加藤陽子『戦争の論理 日露戦争から太平洋戦争まで』(勁草書房)、小谷賢『日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか』(講談社)、北岡伸一『清沢洌 外交評論の運命』(中公新書)、筒井清忠『昭和戦前期の政党政治 二大政党制はなぜ挫折したのか』(ちくま新書)、伊藤隆『大政翼賛会への道 近衛新体制』(講談社学術文庫)を読む。この時期に関する文献は山のようにあるので、しばらくは読む本に困ることはない。それはそうと、目をとおした本の書き手の思想信条というか政治的な立ち位置は、見事なまでにバラバラである。
夕方、まだ雪が舞っている。
『三島由紀夫全集』第8巻(新潮社)所収の「宴のあと」を読み、江國香織『物語のなかとそと』(朝日新聞出版)を読み、熊野純彦『カント 美と倫理とのはざまで』(講談社)を途中まで読む。テーマを設けた読書を離れた瞬間、手にとる本に脈略がなさすぎる。

Thursday, March 22

曇り。寒すぎる昨日に較べて暖かくなるかと思いきや、それほどでもなく。
高坂正堯『国際政治 恐怖と希望』(中公新書)を読了。昨年改版されたもの。もともとは冷戦期の1966年に刊行された国際政治分析の入門書だが、いまなおその叙述の効力は失われていない。しかしこのご時世において本書の改版を刊行するという中公新書編集部の目利きには、やや不穏なものを感じなくもない。
近藤聡乃『A子さんの恋人』1巻(KADOKAWA)と安部かすみ『NYのクリエイティブ地区 ブルックリンへ』(イカロス出版)を読む。

Friday, March 23

曇りのち晴れ。病院で花粉症の薬シダトレンを処方してもらう。去年と比較して花粉の飛散量は多いらしいが、症状は深刻でないのでシダトレンはそれなりに効いているのかもしれない。シダトレンの効果を確認したくて外出時にマスクは一切しない。
熊野純彦『カント 美と倫理とのはざまで』(講談社)を読了。

またたとえば、である。心痛のあまり一晩で白髪になった、などという話を耳にすれば、ひとはかえって鼻じろむ思いがするだろう。これに対して、ある商売人がインドからヨーロッパに帰る途中で暴風雨に遭遇して、全財産と引きかえに入手した商品のすべてを失って、「その夜のうちにかつらが白髪になってしまった」とする。後者の噺のばあい、およそどうでもよい対象に対する勘ちがいが笑いを生むのだ。
カントの挙げている小咄が笑えるかどうかは、問わないでおく。労苦に満ちみちた生の代償として、天は私たちにふたつのものを与えた。希望と睡眠である。ヴォルテールがそう書いているよしである。カントは、これに笑いをくわえるべきだと主張するのである。

笑えるかどうかは、問わないでおく。というか、その小咄はぜんぜんおもしろくないぞ、カント。
日経平均が1000円近く下落。近所のスーパーでほうれん草一束が98円から78円に下落。

Saturday, March 24

桜がほぼ満開に近い上野公園は朝から大混雑。
上野の森美術館で「VOCA展」を見る。今年のVOCA賞受賞作品は、出品された作品の中ではいちばんVOCA賞としてふさわしいので受賞に異論はないものの、しかしひろく日本の現代美術作品のなかで突出したものがあるかといえばそんなことはなく、 VOCA展 のおもしろみのなさが浮き彫りになってしまっている。VOCA展の趣旨とあまり親和性の高くなさそうな(つまりは VOCA賞 を受賞しなさそうな)髙田安規子・政子と田幡浩一の作品が印象に残る。
昼食はBrasserie L’écrinにて。フランス料理と赤ワイン。上野公園の桜を眺めて、「パルコヤ」を少し覗いてから恵比寿に移動。
NADiff a/p/a/r/tで山口晃「すゞしろ日記」を見て、あわせて『すゞしろ日記 参』(羽鳥書店)を購入。
ビヤステーション恵比寿で休憩してから、東京都写真美術館で「清里フォトアートミュージアム収蔵作品展原点を、永遠に。-2018-」と「『光画』と新興写真 モダニズムの日本」を鑑賞ののち帰宅。

Sunday, March 25

晴れ。石川薫+小浜裕久『「未解」のアフリカ 欺瞞のヨーロッパ史観』(勁草書房)を読む。
大岡山駅近くの東京工業大学に桜を見に行く。家族づれを中心にこぢんまりと花見がおこなわれており、辟易するような混雑ぶりでないのがよい。
夜、菊地成孔『菊地成孔の粋な夜電波 シーズン1-5 大震災と歌舞伎町篇』(キノブックス)を読了。2011年の震災直後にスタートしたTBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」を、初回放送分から聴いているかは記憶がいまいち判然としないものの、初期の頃の菊地成孔のおしゃべりを再録した本書を読むと、たしかにこんな話をしていたなとけっこう覚えていて、とりわけつぎのくだりなどは、一言一句をほぼ正確に脳内で反芻できるのであった。

あとはそうですね、二発目のでっかい余震があったじゃないですか? あの時、アタシ、デパートの地下のカフェにいたんですよ。フランスから美味しいパンを入れてるブランドが、カフェを併設してって、よくありますよね。そのイートインでパン喰ってたんですよね。そしたら、グラグラグラって揺れたじゃないですか。もう、ワーキャーなりまして、ちょっとした騒ぎになったんですけど、一人、アタシの勘だとキャバ嬢さんだと思うんですけど、いわゆる素人小悪魔agehaではなくプロ小悪魔agehaっていう、どこで見分けてるんだ、お前って、この話長くなっちゃうんですけど(笑)。この話しているとTBSラジオじゃなくて、「トゥナイト2」になっちゃうんで(笑)、TBSラジオがトゥナイト2になるとね、マズいですから、割愛しますけど。分かるんですね、プロが見ると。何のプロだよ(笑)。
この人がね、カフェオレのボウルがもう、こぼれそうになってですね、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさゆっさ、揺れて。ほとんどもう、ボウルのふちギリギリまでカフェオレ来ているんですけど、求人雑誌見たまま、微動だにしないんですよ。わーあの人、求人雑誌読んでる。と思いながら、こっちはテーブルの下に隠れてるわけですよね。隣でキャーって言って、間にジャンボンクリュ、生ハムが入ったパンがころころって転がっちゃって、おばさんがまた「キャー」って言いながら、その転がったパンを取って、周りをキョロキョロっと見て、テーブルに何気に載せたりしてね(笑)。庶民の強さっていうんですかね。やっぱりカフェでカフェオレ呑みながらパン喰ってる奴の底力っていうのを見ますよね。グラグラグラっとね。あのカフェオレがね。あれ神の采配ですよ(笑)。こぼれなかったんですね、ギリギリに。ちょっといいもの見たなっていう感じのまま、そのカフェを後にしましたけどね。