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Saturday, October 14

飯田橋のカナルカフェでお昼。お堀沿いを歩く。曇天の下、行き交う人々はもう初冬の服装になった。

ミヅマアートギャラリーで「青山悟 News From Nowhere」を観る。古い時代の雑誌に掲載されたエッチング作品と思しきイメージに、レディ・ガガからアリアナ・グランデ、ミシェル・オバマ、ビョーク、ベイビーメタル、草間彌生まで現代を生きる女性たちをモチーフに刺繍、ドローイング、コラージュを施したシリーズ。青山悟の自画像などもあって、それがまたウィットに富んだ画になっていた。相変わらず上品でクレバーな青山悟の作品。

銀座。ポーラ ミュージアム アネックスで「アルベルト・ヨナタン TERRENE」を観る。陶器を使ったインスタレーションだけでなくドローイングや映像作品もあった。同じ形象が限定的に反復されることで突如として現れる異界。そのスリリングな出現の仕方に目を奪われる。イメージにしろオブジェクトにしろそれが反復していくという現象がたまらなく好きだ。ヨナタンは展示に際して

数年間、粘土やセラミックを用いて制作を続けてきたおかげで、粘土の唯一の可塑性や適応性、さらにはその全ての技法をじっくりと感じることができました。陶磁器制作では繰り返し行う過程が非常に多く、これらのプロセスは物理的現実を思い出させるものとして、世界に存在する具体的かつ身体的経験と物質性へのつながりを考えさせるのです。

この現象こそが、私が陶磁器制作の(原始的ともいえる)手作り過程を大切にしている理由のひとつです。完成されたオブジェクトの美しさではなく、制作過程の瞬間を、作品を通して認識し、強調していきたいと思います。現在の急速な社会発展とは対照的に、陶磁器制作における繰返し過程が解毒剤のような役目を果たしていくのではと思います。全てが速いペースで実行・成長していく脱工業化社会に対する私個人の抵抗とも言えます。

と述べており、この表明も興味深いけれど、わたしとしては、制作過程のクローズアップもよいが、やはり完成されたオブジェクトの美しさや反復形態に快哉を叫びたい。