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Monday, October 23

衆議院選挙は自民党と公明党あわせて3分の2を占める結果に。数字の上での与野党の勢力図にさして変化はなく、選挙中に野党の改編があったとはいえ、はたして多額の税金を投入して選挙をやる意味があったのか疑問。合理的な金の使いかたとはいえない。

合理的でないといえば、安倍政権の目指す憲法改正もおなじで、9条2項をそのままにして自衛隊の存在を明記する改憲にどれほどの意味があるのかわからない。最近の安倍首相は、自衛隊は違憲だとする憲法学者がいることを引き合いに出して、改憲の必要性を主張している。9条の解釈で自衛隊を違憲とする憲法学者が相当数いるのは事実だが、歴代の政権(というか内閣法制局)は、いささかアクロバティックな9条解釈をもって自衛隊違憲論を無視してきた。これまでも無視してきたのだから、これからも無視すればよい。いまになって憲法学者の見解をなぜ気にするのか不明である。集団的自衛権の行使を容認する閣議決定にあたって憲法学者の意見など意に介さなかったことを考えれば、あまりにご都合主義的であろう。自衛隊の存在を明記するだけの改憲など時間と労力の無駄だと思うのだが。改憲にあたって多額の税金が投入されることを考えれば、その金を国防費にまわしたほうが合理的である。

岡田秀則『映画という《物体X》 フィルム・アーカイブの眼で見た映画』(立東舎)を読了。

Tuesday, October 24

山下肇『ドイツ・ユダヤ精神史 ゲットーからヨーロッパへ』(講談社学術文庫)を読む。

Wednesday, October 25

ラジコのタイムフリー機能で佐藤オオキの番組「LAUGH SKETCH」を聴きながら都内を移動していたら、「清川あさみ×宮沢賢治、すみだ水族館を彩る」というポスターが目に入ってしまい複雑な気分になる。

Thursday, October 26

アベノミクスが失敗だと主張する人は経済の数値的な結果をいっさい無視して、たんに安倍晋三という人間が嫌いなだけであろう。感情論は建設的な議論を生まない。では成功かといえば、それもまた微妙な話で、失敗ではないが成功ともいえないのが現時点でのとりあえずの結論だろうか。株価は上昇しているがETF購入により日銀が下支えしている面もあるし、雇用の改善はたんに労働力不足が深刻なだけだと映るし、なぜか物価は上がらず、政府が主導しなければ賃金の上昇も見込めない。つまるところ「道半ば」である。便利な言葉があったものだ。リフレ派の一部はいまだ強気の姿勢を崩していないが、しかしこれほどまで長きにわたって「道半ば」がつづくと想定していたのだろうか。

Friday, October 27

夜、自宅シネマ。オタール・イオセリアーニ『群盗、第七章』(1996年)を見る。

Saturday, October 28

台風接近中のなか下北沢へ。下北沢ケージで開催中の「TOKYO BOOK PARK」に参戦ののち、ほん吉、古書ビビビ、クラリスブックスをめぐる。夜は「couscous Rougir」で食事。赤ワインを一本空ける。

Sunday, October 29

台風の影響で土砂降りのなか、髪を切りにいく。

赤澤かおり『本棚の本』(アノニマ・スタジオ)を読む。著者の筆致はあまり好きになれないが、知人の本棚を覗きにうかがうテーマ自体はおもしろい。いちばんおもしろかったのは後記として紹介されるアノニマ・スタジオweb編集・広報の人の本棚で、本が本棚からはみ出している。「食事をするときのテーブル代わりにしているという棚にも、もちろん本が詰まっていた。そのほとんど、いや、すべては小林秀雄に関するもの。小林秀雄好きが高じて、彼が暮らしていた鎌倉にわざわざ居を構えるほどの徹底ぶり」。不思議なのは、なぜそれほどまでの小林秀雄好きがアノニマ・スタジオで働いているのかという点だ。